巫女たちの会合
山猫マロンとかいうよくよく考えたら駄女神産っぽいカフェに戻ってきた僕らは、カフェでお茶を嗜んでいた面々の中から巫女で関係ありそうなコピーキャラを呼び集める。
一つの机に陣取って囲むように座らせ、対面にサクヤオリジナルとリーハンを座らせる。
「これは、私のコピー体、ですか」
「やっぱ分かるかー。この識別力は神様仕様ってことかな」
「それで御館様、オリジナルの私を連れて来てどうしたんです?」
「ああ、いや、偶然会ったからお茶でもどうかと」
「まぁ御館様ったらナンパはいけません。オリジナルなど不要ですから私をナンパしてください」
「ちょっとそこのコピー、私の知らぬこととはいえ見知らぬ方に媚を売らないでください見苦しい」
「何ですって!?」
「まぁまぁ落ち付きなさい二人とも」
面と向かってがるると威嚇し合うオリジナルとコピー。自分同士だと相性悪いのかな? ゲリンデルも争ってたし、いや、でも陛下はなんやかんやで意気投合して高笑いしてるしなぁ。でも最初は敵対してたっけ?
「誰よあんた?」
「え? チハヤじゃが?」
「ああ、この人老巫女のチハヤさんのコピーよ、若返ったの」
「は? 若返っ!? はぁぁ!?」
理解が追い付かなかったらしいサクヤさんがチハヤを二度見する。
よくよく見て知り合いの顔に確かに似てることに気付いたようだ。
「な、なるほど、確かにチハヤさんっぽいような……コピーって凄いのね」
コピーの性能とかじゃないけどな。
「ま、まぁいいわ。それよりも魔王よ」
「うむ、我に付いて何を知りたいのだサクヤよ」
「そうねまず……なんで六人も居るのよッ!!」
魔王が本物かどうかを聞こうと思っていたサクヤさん。案内された場所に来てみれば、魔王が六体に増えていた。
「ガチャったら増えました。てへぺろっ」
「増えました、じゃないでしょ、何よこの凶悪な布陣。ラスボスが増えるとか悪夢しかないじゃない」
悪夢? そりゃゾンビヘイグル君のことか? あれは確かに悪夢だったよ。
「リーハが増える程度ならむしろ可愛いもんじゃないか」
「だ、ダイスケ!?」
僕の言葉が恥ずかしかったのか一気に耳まで赤くなるリーハたち。
「僕としてはセフィーリアさんが増える方が怖……いえ、ナンデモアリマセン」
カチャリと金属的な音がしたので慌てて否定しておく。
僕だってそう何度も死にたくないんです。
「まぁ、そういう訳で六人居ます」
「はぁ……まぁ、貴方がそれで問題無いと言うのであればいいのでしょう、多分」
全く納得行っていない感じがするけど、サクヤさんに何を言われてもリーハだらけ状態を直す気はないので問題なし。
「それでぇ、そいつら結局魔王でいいのぉ?」
そして今まで視線を一切合わせてなかったリーハンが爪を確認しながら面倒臭そうに告げる。
この人なんか言動がイラッと来るな。
やる気なさそうながら話を元に戻した彼女に同意し、サクヤがどうなんです? と確認して来る。
「魔王様で合ってるよ。魔王城に誰も来ないから暇なんだって」
「やっぱり、魔王本人なんじゃない!」
「「「「「「ふははははは。そうだ、我こそが魔王……」」」」」ってこら貴様等、我の台詞を真似るでないわ!」
「「「「「なんだとぉ、我のオリジナルだからと調子に乗るなよ!」」」」」
ギャースと咆えながら争い始める魔王共。
争い方がキャットファイトだったので放置することにしておいた。
何と言うか……子供かっ!?
六つ子が喧嘩してるようにしか見えないよ。
微笑ましい光景を見せられてほっこりする僕と喧嘩を見て眼を見開いて呆れているサクヤオリジナル。
気持はわかるよ。倒すべき魔王が低俗な喧嘩してるんだもんね、え、私これ倒すために旅してるの? とかショック受けてるの良く分かる。
「おーい、サクヤー、リーハンー」
あ。もう一人の仲間が勇者ヒーロー引き連れてやって来た。
若干ヒーロー君の顔がやつれて見える。
「やぁ、酷い目にあったよ。あの後釈放されたのに周囲の人から石投げられるんだ……」
「なんか、その、ごめん」
暴れまくってたヒーロー君にも非があると思うんだけど凄く悲惨な目にあったっぽいんでとりあえず謝っておくことにした。
無事釈放おめでとうございます。
お勤め、ご苦労様です。
「で、なんだこりゃ? 魔王っぽいのが六人でサクヤが二人?」
「何をどうしたらこんな状況になるんだよ」
「とりあえず、改めて自己紹介から始めましょう勇者様」
サクヤに促され、彼女の隣の席に着く二人。
「俺は勇者ヒーロー。魔王を倒す旅の途中だ。この街に勇者大会が合ってね。パーティーと共に優勝して商品の勇者の剣を手に入れようとしてるところなんだ」
勇者の大会で貰える商品が勇者の剣って……
「ほほぅ、勇者の剣、とな」
魔王が喰いついた。
おお、見事コピー共の争いから抜けてやがる。
勝手に潰し合うコピー達、これはさっきあった勇者大乱闘を経験していた故か?
「面白そうだな勇者よ。その剣、この魔王グレヴィウスリーハが貰ってやろうではないか」
「何ッ!? やっぱりお前が魔王じゃないか」
「くはは、それがどうした。折角の暇潰しだ、大会とやらに出るぞダイスケ!」
「あはは、了解」
「「「「「待て! 我も出るぞ、オリジナル等にくれてやるものか! 勇者の剣は我が貰い受ける!!」」」」」
えー、どうすんだよこれー。