雪だるまは動かない
さて、他のキャラは何かいなっと。
エルナバスから貰ったのと宝石商の奥さんから窃盗したのが残ってる。
とりあえずエルナバスから貰った奴見てみるか。
魔法陣出現。二度目ともなるとクレイズも驚くことは無く、まだあるのか、と困った顔をして成り行きを見守り始める。
魔法陣から光が溢れ、そして……
「我、降臨りんりん……」
ピラミッド地帯に出現しそうな独特のファラオ系髪型をしたムキムキなおっさんが現れた。
というか、おっさん? おっさんの像? ちょっと身体が金属質っぽい。
名前を見れば古代神ファラシオン。
ステータスを見るに、ナルタと同じ機械系生物のようだ。古代兵器というよりは、普通に王様っぽいんだけど、まぁそれなりに使えそうではある。
ファラシオンの呪いとか火炎ブレスとかそれなりに有用そうなスキルを持ってるし、防御力も高いようでナルタともども壁役として役立ちそうなキャラだ。
もう一つの特殊召喚石は、っと。
キラキラエフェクト共に出現したのは、ほっかむりを被ったおっさん。
ちょっと怯えた姿のおっさんは、口元を円を描くように口髭生やした見るからに泥棒ですといった姿だった。
唐草模様だっけ? 彼の背中には昔の泥棒特有の風呂敷が結わえられていた。
既に何か盗んでいるのか膨らんで見える。
「お、おお。オイラを召喚するとか、あんたも同類って奴だな」
「うるさいよ……」
確かに盗んだ召喚石から出て来たキャラだから何も反論出来ないけどさ。お前には言われたくないなぁ。
どう見ても盗人だもんよ。
まぁいい、とりあえずこれで召喚石は全て使いきったし、オリキャラも三人増えた。
後はこの国のバグ探しでもしてしばらくゆったりしよう。
暑くも無いし寒くもないし、ゾンビが湧いて出ることもない。
いい国じゃないか。変なバグもないならこのまま住んでもいいくらいじゃないかな?
皆で揃って宿を出る。まずは街の中を探索だ。
適当にぶらついてデート感覚で過ごそう。
……と思ったんだけど、一人来てない。
「あの雪達磨がきとらんな」
何してんだ雪達磨野郎は?
宿屋の一室に戻ってみた僕は、そこにぽつねんと取り残された雪達磨を目撃。
どうやらマジで自力で動けないようだ。
というか、何処が動くよ雪だるま。なんだよ、全然動かないじゃん。
持ち運ぶのも面倒だったし、ストックに入るコピーキャラでもないので、仕方なくここに放置することにした。
多分そのまま僕らは忘れるだろう。
こいつは動くことなくここにずっと放置されるのだ。
すまん、君を動けなくした駄女神を恨んでくれ。では、さらばっ!
僕は動くよ雪だるまをここに置いて行くことに決めた。
そっとドアを閉じる時、円らな瞳でこちらを見つめ続ける雪達磨になんだか罪悪感を覚えてしまう僕だった。
すまない、僕にはお前をわざわざ持ち運びながら移動する余裕は無いんだ。面倒だし。
さて、メンバー全員揃ったってことで街中を見に行くか。
一人足りない? 気のせいだよシークレット。
雪達磨は、きっとセレスティアだったかの国に戻ったんだよ。
街中を見た感じは殆ど変わったところは無い。
西洋系のよくあるゲーム様式な街並みである。
行き交う人々は多種多様。
黄色人種に白人黒人、亜人変人様々な人種が行き交う。
今、一瞬ヤバいの見掛けた気がするけど多分気のせいだ。
ボンテージ姿の厳ついおっさんがいた気がするけど、胸毛惜しげも無くだしながらバタフライマスクしてたおっさんが鞭持って歩いていた気がするけど、気のせいだ。気のせいの筈だ。
それ以外に気になるモノは見当たらないし、問題な……おいおい、なんだありゃ?
象がいます。象が人に乗ってます。
何を言ってるのか分からないって? 僕も意味が分からない。
お兄さんの肩と背中に四足置いて器用にバランスを取った象がいるんだ。大人サイズの象が。
あれ、お兄さん潰れないのが不思議な状態なんだけど。
―― おい、駄女神、アレ逆だろ ――
また駄女神製か。
―― ちょっと、なんでもかんでもあちしのせいにしないでよね、ぷんすかーっ。あれほいほい君担当でしょーっ ――
なるほど、責任転嫁してたのか。
犯人はホイホイ君。だめじゃん神様。流石に他人のせいにするのはどうかと思うよ?
そのまま神々のなすりつけ合いが発生し。最終的にグーレイさんが犯人ってことで落ち着いた。
この場に居ない神様犯人にするとか、二人とも神として最悪だと思います。
とりあえず神々のメール打ち合い巻き込み泥仕合に巻き込まれないようにメールを放置して次のバグを探すことにした。
この国はかなりバグが残ってると見た。直されるより先に見つけまくってやる。