魔王様を見逃して
「全員、突撃ーっ!!」
あー、やっぱり戦闘だ。
メンバーをせっかくなので全員リーハに変えて戦闘開始。
魔王六体が一斉に前口上を告げる。
「「「「「「くははははは、我に逆らうとはなァ有象無象が付け上がるなよ。我こそが魔王であることを貴様等の魂にきざみこんでやろう。ハーッハッハッハ」」」」」」
そしてオリジナルリーハによる開幕必殺。
正直怖いわ。同じ顔が揃うとここまで酷いのか。
あ、兵士長強い。開幕必殺生き残……
「「「「「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺!!」」」」」
鬼かお前らーっ!?
っていうか1ターン目からなんで必殺使ってんだよ。どうやって必殺ゲージ溜めたのお前ら。
戦闘もバグだらけじゃないか神様ーっ!!
戦闘終了、折角ドット数ミリ残っていた兵士長も普通に消滅してしまった。
そりゃ一撃耐えた次の瞬間その五倍のダメージ喰らったら、ねぇ。死ぬに決まってんだろ。
やった側だけど言わせてくれ。勝てるかッ!!
もはや勝利不可能な兵士達に黙祷捧げていると、戦闘リザルトが終わって兵士達が復活。
その場に倒れ伏す兵士達の前で魔王様が高笑いを上げている。
あーあ。大事になりそうだなぁ。
「な、何事だっ!」
あ、なんか増援来た。
兵士さんの増援が来てしまった。
逃げるかどうか考えたんだけど、とりあえず会話から入ろう。
「あー、すいません、代表の方います?」
「む、私だが、一体何事だ?」
兵士長さんさっき倒れた兵士長と顔一緒だぞ? 神様手抜き過ぎだろ。
「実はですね。僕の連れが魔王に似てるからっていきなり兵士さんが攻撃仕掛けて来たんです」
「魔王に似ている?」
と、兵士長はリーハを見る。
「確かに似ている。というか本人にしか見えないのだが」
「またまたぁ、魔王がなぜこんな場所に来るんすか。この娘はリーハ。僕の仲間ですよ」
御冗談を。といいながらフレンドリーに話しかける。
兵士長も戸惑いはしたものの、僕が友好的でその知り合いが魔王に似ている存在だとなれば、魔王が大人しいのも相まって頷くしかなかったようだ。
「しかし、本当に暴れないのかね?」
「気になるならしばらく一緒に警護して貰ってもいいですよ。街中を探索したり宿に泊まったりするだけのつもりなので。もちろん襲ってくる敵がいれば闘いますが」
「ふむ……わかった。クレイズ、すまんがこちらのパーティーが国を出るまでお前が見定めてくれ」
「え、俺っすか!?」
想定外だったらしいクレイズさん、自身を差して嫌そうに告げている。
兵士の一人らしくアーメットっていうんだっけ? 兜と銀色の鈍い光沢を持つ鎧を着込んだ一兵士にしか見えないお兄さんだ。おそらく若いことからして新人さんだろう。
「あ、じゃあよろしくっす」
「はぁ。問題起こさないでくださいよ」
という訳で、兵士さんに監視されながら国での自由行動を許された僕らであった。
魔王様よ、マジで問題起こさないでね?
とりあえず2話目はタップしないで宿を取る。デイリーミッションを適当にこなして一息。
落ち付いたし貯まった召喚石でも使ってみるか。
今あるのはエルナバスから貰ったのが一つ。後頭部を襲撃して来た雪玉に入っていたのが一つ。宝石商の奥さんから窃盗したのが一つ。合計三つの召喚石を持っている。
適当に一つを取って使用。どうやら雪玉に入っていた奴のようだ。
魔法陣が出現し、クレイズさんがなんだっと驚く。光り輝く召喚陣から現れたのは……スノーマンでした。
別な言い方で言うとただの雪だるまだった。
名前も、動くよ雪だるま。
うん、ほぼ確実に駄女神作だな。
「やっちまったな駄女神」
―― 速攻バレた!? なんで!? ホイホイ君が作ったキャラかもしれないじゃん!? ――
「こういうキワモノ系を作るのはあんただ。僕は確信を持って告げる。犯人は、あんただ!」
―― げはぁっ!? い、いいじゃない。雪だるま可愛いじゃない ――
雪だるまだけなら確かにホイホイ君な可能性はあった。サンタ服に身を包んでいなければ。そして、顔がジャックオーランタンになっていなければ。
お前どんだけ盛ってんだよ。これ絶対悪ノリしただろ!!
動くよ雪だるま
必殺:
固定砲台・南瓜粉砕砲
敵全体に氷属性の超ダメージ。凍結付与。
スキル:
トリックオアトリート
ランダムで味方のHP回復、もしくは敵複数にランダムダメージを与える。
ブリザード
敵全体に氷属性の大ダメージ。凍結付与。
ランタン投擲
敵範囲に火属性ダメージ。燃焼付与。
パッシブ:
衝撃脆弱
物理属性に弱い。
水属性
火属性に強く土属性に弱い。
氷雪復活
フィールド属性が氷、雪原地帯である場合、確率でガッツがかかり、HPが全快する。
固定砲台
自力では動きません。
スキルはそれなりだけど使えない。特に固定砲台な上に物理脆弱なのが使えない。さすが駄女神作のキャラクターだった。




