氷の村の特殊召喚石二つ目
そういえば、ここに来た時からイベントラッシュで特殊召喚石探してなかったな。
なんかイリスが言うには二つあるそうなのだ。一つ目は僕の頭に直撃してきたんだけど、もう一つあるってことなら探さないといけないだろう。何でここだけ二つあるんだろ?
と、いうわけで、今回は10章行きの前にこの街を探索し直そう。
昨日回った感じだとバグは無かったけど、特殊召喚石に関してなんもわからなかった。
なので今日は人と会話しながらヒントを探して行くことにしようと思う。
皆に告げて、別れて探すことになった。
折角なのでNPCキャラも使って人海戦術を行うことにする。
まぁ、ムナゲスキーたちは放置しといたけどね。
はぁ、やっぱこいつ等は向こうに置いておくべきだったかなぁ。
いや、ストックにいれてあるぶん国に置いとくよりマシか。
「あ、そこのおっちゃん、特殊な召喚石って知らない?」
「私は女よッ!」
厳ついおっさんに話しかけたら濁声で怒鳴られた。
ごめん、おっさんにしか見えんわ。
「あ、すいません、えっと、お姉さん召喚石って知ってます?」
「あらやだこんなオバサン捕まえてお姉さんだなんてぇ」
分からねぇよ!?
お姉さんなのかおばさんなのかお婆さんなのかはっきりしろよ。
おっさんだろ、おっさんだって言ってくれよ。というかこれ……バグか?
容姿はおっさんだけで心はおばさんそう言う人なのか、それともおばさんなのにおっさんの容姿にされているだけなのか、どっちだ?
まぁ、この程度のバグなら分かりずらいし放置でいいか。
「石ねぇ、そういえば宝石商の奥さんが変わった石を拾ったとか……」
宝石商か。
おっさん、じゃなかったおばさんにお礼を言って別れる。
宝石商の場所を聞いておいたので、僕はオリジナルキャラたちと共に向うのだった。
というかゲリンデルさんや、そろそろ魔王六人に慣れてくれないかな?
やっぱり六人いるのは変です。とか、やかましいですね、潰していいですか? とかいちいち僕に聞かないで。
そして魔王共はゲリンデルで遊ぼうとしないで、怒らせるのは遊びじゃないよ。
しかも六人から順々に言われるせいでゲリンデルさんの怒りがさらに募ってるし、開幕必殺で下剋上されちゃうぞ。
「ここかな、宝石商」
「はいらっしゃい」
揉み手の怪しい商人が現れた。
思わず回れ右して逃げようとして、回り込まれる。
「本日はお買い上げですか? お売りいただけますか?」
「あーその、ここに特殊召喚石ってないっすかね?」
「特殊召喚石?」
眼をぱちくりさせる店主。この人は知らないようだ。
となると、おばさんが話していたここの奥さんが本命、だな。
「え、家内ですか?」
うーんと考える宝石商。
「そうですなぁ、家内の居場所でしたら、何か買っていただければ思い出すかもしれませんぞ」
無理矢理買えってか。どうしようかな。
お金自体は殆ど買い物しないせいで溜まってるっちゃ溜まってるんだよね。
というか、貰えるお金が多いせいで余り気味です。
「ま、いっか、シークレット何かほ……」
「あら、これステキね」
せ、セフィーリアしゃん!? そ、その輝きは、まさか……
「これはお目が高いッ。それは七色に輝くダイヤモンド、レインボーダイヤと呼ばれるもので見る角度によって色が変わって見えるのですよ」
店主の揉み手速度がどんどん上がっていく。
完全にゴマすり状態。上客逃すか! という気迫が手に現れている。
「あら、それは素敵ね。このダイヤの指輪とても素敵よ。でもこんな素敵なのだから、お高いんでしょう?」
手に填めてうっとりしていらっしゃるセフィーリア。完全に買う気満々じゃないか!?
「そうですねこちらは……」
た、たけぇ!? いや、買えちゃうんだけど。買えちゃうんだけど今のお金が全て吹っ飛ぶ金額だ。
セフィーリアは買う気になっている。僕は焦りながら周囲に視線を向ける。皆が顔を逸らした。
誰も関わる気は無いらしい。
これ、強制イベントじゃね? イベントとして作成されてない筈なのに強制イベント発生してなくね?
ねぇ、ねぇ、ねぇぇぇぇぇ!?
―― 説明しよう! 侯爵令嬢であるセフィーリアは令嬢であるがゆえにきらきらした高いモノに眼がないのであーる ――
ちょぉぉ。駄女神ぃぃぃ――――ッ!!
お前何実況してんの!? っていうか何喧嘩売ってんの? 買うぞコラ!?
―― さぁ、ダイスケ選手はこの局面をどう乗り切るのかァッ!! お金を払って無一文にされてしまうのか!? それとも自滅覚悟で心を鬼に買わない選択を選ぶのか!? 血の惨劇が始まるのが期待されますねぇ、解説のホイホイさん ――
―― 君が血の惨劇に見舞われそうだけどね。まぁいいや、それよりまだバグ取り切れてなかったみたいだからここの変更やっておいてくれ ――
ホイホイ君がノッてないのがせめてもの救いか。駄女神さんの独壇場らしい。
取り合えずホイホイ君に駄女神潰しといて。とお願いして商人との交渉を開始する僕だった。
ちょっとでも値下げしたいんだよ僕は。