10章ピックアップガチャは勇者様
宿で一泊した僕らは、一先ず氷の街を見回った。
雪だるま化が解除されたせいで宿屋のおっさんとか雪だるまにされてた人々が普通のおっさんおばさんに戻って活気が溢れている。
相変わらず寒そうなのだけど、皆もこもこファッションであったかそうでもある。
雪かき用のスコップなどを持って雪かきしている姿が見られた。
兵士さんも毛皮のもこもこを被っているのでどっかの山賊に見えなくもないのだが、結構な数が街の警護を行っている。
そして……残念なことにバグがない。
どうやらポポスポ倒してる間に駄女神に鞭打って必死にバグ消去したらしく、眼に付くようなバグが見当たらないのである。
くそう、ポポスポに邪魔されなければ見付かったかもしれないのに。
仕方無いから腹いせにガチャでも引くか。
えーっと次の10章用のキャラが出るんだよな。
誰かなー。誰が出るかなー。とりあえずヘイグルは出て来ないでください、マジで。
「と、言う訳で、ガチャを引きます」
宿から出た僕は皆にそう告げた。
なんでまた急に告げて来たのだろう? 小首を傾げる皆に変わり、セフィーリアさんが撃鉄を起こす。
「つまり、またゾンビが出たら駆除よろしく。そう言うことでしょう?」
「ああ、なるほど」
シークレットも分かって無かったか。
魔王はゾンビ? と小首を傾げている。察して残念魔王様。
そんな彼らに見つめられながら、僕はガチャ画面を開く。
9章ピックアップは、☆5四天王ゲリンデル、四天王ポポスポそして、勇者ヘタレー。
おい、勇者、名前、名前がヤバいぞ。ヘタレ勇者かよ!?
ちなみにポポスポはショタッ子状態だ。
うお、ゲリンデルさんめっちゃ美人。
エルフでもないのに整った顔に怜悧な瞳。出来る女性を思わせる銀髪の麗人は青系の衣装を身に纏い、軍師よろしく軍配を持っていた。
こりゃ知将タイプだな。そして勇者が出て来ていることからこの二人が戦闘している国が次の舞台と見た。
ヘタレーくんがどれくらい強いかが気になるところだが、☆5だしそれなりに使えるんだろうか? とりあえず、ガチャるだけガチャッてみよう。
石はなんか知らないうちにめっちゃ溜まってるから100連くらい回せるし。とりあえず10連だけで。
おお、いきなり☆5来た!
誰だ、誰だ。ゲリンデル来い、げり……
「くははははは。我が名は魔王グレヴィウスリーハである。図が高いぞ我が主よ! はーっはっはっはっは」
魔王、来たぁ――――ッ!!?
ちょ、これ5体目。本人合わせればパーティー全員魔王に出来ちゃうよ!?
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Cだぁ」
「オーケー、俺がレッドだ!」
「ひゃはははははは、次に殺されてぇ奴はどいつだぁぁぁぁぁ!?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「ふぉっふぉ、この老婆の助成が必要かの?」
「ヒィヤッハー!!」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「わわ? あれ? どこここー。えっとねリーシャだよ?」
来た、煌めき! 誰だ誰だ誰だっ!!
「仕方ないから手伝ってあげるわ」
「ゲリンデル来た――――ッ」
魔王四天王ゲリンデルさん登場。
そして眉をしかめた彼女が見たのは、6体の魔王様。
「疲れているのかしら? 陛下が6人も居る気がするわ」
「あ、それ普通に居ます」
「なんで増えたのかしら。こんなの増えても扱いに困るだけでしょう」
ごもっとも。というか陛下の手下なのに陛下に手厳しくないか? いや、リーハもリーハで結構薄情ではあるけどな。
互いに薄情者同士ってことか。
「そんなものでしょう、実力社会なんて」
セフィーリアさんは実も蓋もありません。
そこはもうちょっとオブラートにつつもうか。
四天王ゲリンデル
必殺:
風絶圧縮殺
敵全体に風属性の超ダメージ。
スキル:
風圧爆破
敵全体に風属性大ダメージ。
智謀の陣
味方全体の戦闘能力をUP。敵全体のステータス低下。
花鳥風月
敵全体に風属性の連続攻撃。80%の攻撃力で1~3回。沈黙付与。
パッシブ:
風属性
土属性に強く火属性に弱い。
致命一打
最初の攻撃に限り奇襲攻撃となり即死属性が付与される。通常攻撃に混乱付与。
うあ、最後のパッシブがエゲツねぇ。
風圧爆破とか花鳥風月と合わせるだけで全体に奇襲致命攻撃確定だってよ。
今のうちにこのスキル知っといてよかった。
無策でリーハ闘わせてたらまた魔王様即死案件になる所だった。
やっぱ魔王四天王魔王より強いのばっかりじゃないのか?
リーハって結局火力で押せ押せタイプだし、ゲリンデルと闘ったら負けるんじゃ……
まぁエルナバスとかポポスポ相手でも負けてたけどね。




