雪だるまは動くのがデフォルト
結局、あいつら全く働かないでやんの。
ミゼラとナルタしか働いてくれなかったので火炎男倒すのにむっちゃ苦労した。
水属性キャラ入れときゃよかった。この男共寒さには強いみたいだけど全然役に立たなかったよ。
なんとか倒せたインフェルノォォォォゥは炎が消えた状態でその場に倒れ込む。
焦げた人にしか思えないぞ?
しかも倒れたまま動かなくなったし、消滅もしない。
なんか殺人しちゃった感が物凄いんだけど……
ルーカ、これでいいのこいつ?
「いいんでない?」
適当だなオイ。
「まぁいい、とりあえず休息しよう。宿屋探して一旦休憩だ。危険な国から生還できたから落ち付きたい」
まさにスピード攻略だったと思う。
もう二度とハレン・チー王国にはいかない。行きたくない。行ってたまるか。
あ、しまったコピームナゲスキーとか放置して来るの忘れてた。まぁいいか。
宿屋は直ぐに見付かった。
雪だるまが雪かきしている横を通り抜けて宿屋に入る。
宿屋では雪だるまが受付をしており、宿帳記入を終えると、部屋の鍵を渡された。
そのまま宿の部屋へと入る。
「え? あれ? 今、この宿雪だるまが普通に動いてたっていうか仕事してたんだけど」
「あっはっは、何言ってんのダイスケ、アレは雪だるまじゃないわよ。きっと雪だるまに見えるだけの人よ」
「いえ、どう見ても雪だるまだったでしょルーカ。現実を見なさい」
「バグか素か。それが問題だ」
まぁ、ほぼ確実にネタだろうけどね。しかも駄女神作。
「落ち着いたらバグ探索しよう。ちょっとしばらくは話進めずゆっくりしたい」
「まぁ、前の章が気が抜けなかったもんねぇ」
全くである。
二度と行きたくない島だった。きっとこの章がいの中で一番身の危険を感じた場所となるだろう。
死ぬより恐ろしい場所であった。
ベッドに腰かけ一息付く。
ここに来るまでかなりな日数を過ごした気がする。
果たして何日掛かっているのか、今ではそんな日付の感覚すら全く分からない。
まぁ数える気も無いんだけどね。
とにかくようやくゆっくり休める。
僕は永眠するように眠りに付いた。
そして起き上がる。
全員が再起動したようだけど、セフィーリアさんは何してんの?
なんで銃をこちらに向けてるのかな?
「おや、起きてしまいましたか?」
「なにしてんすか?」
「ちょっと練習を。ノーモーションからの速射を練習中です。大丈夫。間違って引き金を引いても生き返りますから」
それ、全然大丈夫じゃないよね?
肝が冷えたことで一気に覚醒した僕は皆と宿を後にする。
さて、一度寝れたことだしこの国のバグを探して行こうか。
にしても、この国雪だるまが多いな。
しかも動く雪だるまが。
雪道をずりずりっと身体を引きずって移動しているのは白い丸を二つくっつけた生物。
手は木の枝。頭にバケツ。眉と眼と口は多分炭だろう。
木の枝の先には子供用手袋と思われる赤い毛糸の手袋が嵌められていて、首となる丸と丸の繋ぎ目部分にマフラーが掛かっている。
そんな雪だるまたちが民間人に混じって普通に生活していた。
おばさまなんか雪だるまと世間話に花咲かせてるし、あいつら声出さないのによく会話が成立するな。
「なんでしょうね、この雪だるまたち」
「んー、神様のミスだとすれば一般の人たちが画像変更されてるってとこだけど、多分仕様だと思うから、もともとこういう生物か、あるいは何らかの魔法により姿を変えられた一般人か、だろうね」
「ところでダイスケよ。アレはなんだ?」
あれ?
シークレットと会話を楽しんでいた僕に魔王陛下が指で指し示す。
そこにあったのは……エルナバスだった。
「ファッ!?」
え? エルナバスがいる。しかも生エルナバスが道の中央に立ってる。
「エルナバスではないか、死んだのではなかったのか?」
「おお魔王様、このような所にわざわざ居らっしゃるとは。はて、エルナバス? あんな筋肉馬鹿と一緒にしないでででででろぼぁ」
ぎゃあぁ!? 突然エルナバスが痙攣し始めたと思ったらぎゅにゃっと潰れて容姿が変化。
可愛らしいショタッ子に変身してしまった。
肌色が透き通るような白。まるで雪の精霊のようだ。
うん、これは仕様じゃなくてバグだな。
おそらくホイホイ君がこの魔王四天王を創る際エルナバスを一度コピーしたんだろう。
キャラを一から作るの面倒臭がったせいで容姿とステータスをちょこっと変えるだけにしたようだ。
そのせいで容姿を変え忘れたんだろう。
エルナバスに見えてこいつは新たな四天王。
「なんだポポスポではないか。なぜエルナバスの恰好をしておったのだ」
「エルナバスの恰好なんてしてないよっ!?」
余程間違われたのが嫌だったようで、激昂したポポスポ。
直ぐに相手が魔王陛下だと思いだして「失礼」と一言。気を取り直して丁寧な話し口調へと戻る。
「四天王が今行っていることについてはご存知ですか?」
「うむ。ガルガンラヴォスに聞いておる」
「僕はここ、氷の王国セレスティアを攻め滅ぼすことにしたんだ。でも直ぐに滅ぼすと面白くないから色々遊んでいるところですよ。今は住民全員を雪だるまに変えてるところです」
「相変わらずやることがアホだな」
「あっはっは。殺しますよ」
笑顔でイラつくポポスポ。
その言葉に魔王陛下がほぅっと眼を細めた。
気のせいかな? 眼と眼の間に火花が散った気がするよ?




