いざゆかん第8章
終わってしまった。
何がって? 決まってるだろ、特殊召喚石探しが、さ。
だって、これが終わったら次に向かう場所はハレン・チー王国なんだぜ。
あのムナゲスキーのオリジナルが治めるド変態王国なんだ。
なんだってこんな国作ったんだよ神様。
もしかしてゾンビマニアなだけじゃなくそっち方面も!?
―― 失敬な。参考にしたゲームにBL系が混じっていたんだよ。そもそもこの世界にやってくるのは男性だけじゃないからね。駄女神とかこういうの好きだし ――
―― ちょっと、あちしあんな趣味ないからーっ。ムナゲスキーとかぜんっぜんキモいだけだから。ホイホイ君はちょっとずれてるのよ。あそこは髭もじゃ親父じゃなくてダンディズムただようおじ様とかイケメンとかショタにすべきなのよ、なんでおっさん同士でキャッキャウフフしてんのよ、馬鹿じゃないの!? ――
うっわー。引くわー。
結局似たようなもんじゃないか。
でも、なるほど、それなりに需要があるからホイホイ君は用意したってことか。
とはいえ、その趣味が無い人にとっては苦痛な王国である。
というかホイホイ君、この世界、無理にソシャゲにしなくてもオープンワールド系のRPG世界で良かったんじゃね?
さすがに本人にこれを告げるのは酷かもしれないから黙っとくけど。
8章1話を選んでみると、また全員でジャンプするように指定された。
どうやらまた遠くの国に行くことになるようだ。
一度外にでてから皆揃ってジャンプ、新たな国の手前へとやってくる。
周囲が海に囲まれた海岸に出現しました。
左右後が海、目の前に国への入り口がある。
どうやら小島をそのまま国に作り替えたような王国らしい。
ところでこれ、どうやってでればいいんだろう? 船すらないんだけど?
どっかに港があるのかな?
とりあえずヤバそうなところだし、宿で休息はせずにさっさとクリアしてしまおう。
悪いけどホイホイ君、ここのイベントは特殊召喚石以外放置するしバグ見付けても放置するからね。
国には門番が居なかった。
まぁ砂浜しかないし……いや、普通そういう場所でも門番くらいい……
門番は、居た。
屈強な男二人が岩場の影に重なり合って、片方がもう一人のおっさんの顎を掴んで不敵な笑みを浮かべている。
「い、今任務中だぞ?」
「いいじゃないか。どうせ砂浜から来る奴なんていないさ」
なんてことをおっしゃっていらっしゃった。
僕らは即座に気付かなかったことにして国内に入る。
……女性が、いない。
否、居ることはいる。でも殆どの女性は男達がキャッキャウフフしているのを眺めて涎垂らしながらやっぱりいいわ~と怪しい笑みを浮かべる変態ばっかりだ。
つまり、この国の噂を聞きつけてやってきた変態女性冒険者くらいしか見当たらなかったのである。
夫婦が居ない。夫夫はいるけど女性とくっついてる男が居ない。
これ、子供産まれないよね、どうやってこの国保ってんだ?
神様その辺りどうなの? その内滅びるんじゃねこの国?
―― 大丈夫、放っといても他の国から新しい男達が噂聞きつけてやってくるから ――
ああ、そういうことか。
砂漠の村辺りにも変態二人いたしな。
まぁ、どうでもいいからこの話題はここまででいいや。
街中を探索する。
正直眼が腐るような光景がたまに見受けられるが、スルーすることにしているのでそれなりに……いや、やっぱ無理。
そこのデブ、なにショタッ子路地裏に連れ込もうとしてんだ。
セフィーリアさんがいらっとしたようで鉛玉をブチ込み少年を救っていた。
お礼を言って来たのでとりあえず召喚石のありか知らないかと聞いておく。
すると僕を見た少年は顔を赤らめもじもじとしながら、ごめんなさい知りません。あ、でも一緒のベッドで寝てくれたら思い出すかも。
とか言われてぞわっとした。
聞こえなかったことにして少年と別れる。
凄く哀しそうな顔をしてたが保護したら恐ろしいことになりそうなので触らぬ神に祟りなしの精神で近づかないことにする。
その後も、適当なおっさんに聞いてみるが、十中八九ベッドに誘われる。
なんなのこの国。
肉屋のおっさんがサムズアップできらりと白い歯光らせて俺の肉を味わってみないか? とか意味不明なこと言って来るし。売ってる肉を買う気にすらならなかったよ。
八百屋なんて俺の大根は美味いぞぉっとなぜか下半身に大根を近づけ剣みたいに持って告げていたりしてキモかった。
ダメだ。この国にいたらいろいろとヤバい気がする。
男性メンバーもオリジナルキャラ以外は全員ストックに入れとこう。
アニキとか襲われたら大変なことになっちまう。
村人君、絶対に襲われるなよ、助けられる自信がないからな。
女性キャラを召喚して周囲を固める。ナルタとコピーリーハ全員と、サクヤと……とりあえず皆男性を守ってくださいッ。