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召喚石から出て来たモノ

 残る特殊召喚石は皇国だけだ。

 ここにある石を手に入れてしまったらついにハレン・チー王国に向うしかなくなってしまう。

 嫌だなー。

 なんとかならないかなぁ。


 とりあえず、マルボリック皇国に辿りついた僕らは宿を取って休息。

 特殊召喚石二つから召喚を行うことにしたのである。

 ワクテカしながら石を使う。

 まずは王国で手に入れた分だ。

 ゾンビかなにかが出てくるんだろうか?

 そう思いつつも期待が膨らむ。


 アイテム使用。特殊召喚石、オリジナルキャラ出現せよーっ。

 きらきらきら~。

 ☆5エフェクトと共に魔法陣が光り輝く。

 現れたのは……猫だった。


 黒と灰色の縞模様の愛らしい猫だ。

 普通に大きさも変わらず。巨大猫なんてこともない。

 まんま日本で見かけるような猫である。


「ニャー」


「猫だコレーっ!?」


「猫……ですね?」


 ―― それ、駄女神作のアサシン猫だってさ ――


「珍しい、駄女神さんがまともなキャラ作ってる」


 ―― ちょっと、珍しいってどういうことーっ!? ――


 珍しいモノは珍しいだろう?

 だってここまで暴走続きだった駄女神さんが作ったキャラなのに、まぁ容姿が人間じゃなくて猫なのは置いといて、だ。

 まともだろ。可愛い猫だから傍に居てくれるだけで癒し要素満載だ。

 多少の暴走など気にならないくらいに、可愛いは正義である。


 女性陣が駆け寄って猫と戯れる。

 くぅ、セフィーリアさんまでがなんという慈しむ笑顔を……

 シークレットもあんな楽しそうな顔初めて見たぞ!?


 ぐぬぬ、まさかのライバル出現かッ!?

 って、魔王様は行かなくていいの?

 僕の隣で腕組んで何やっとるんだあやつらは? といった顔をしているリーハさん。猫の魅力に取りつかれる気配は無いようだ。


「リーハは愛でにいかないの?」


「所詮獣であろう? 何故そんな生物に媚びねばならん?」


「おおっ! さすが魔王。あんただけだよ、奴の魔粧に負けなかったのは」


 思わず抱きしめる。


「のわっ!? ちょちょちょ、ちょっと待て、いきなりにゃにおぅ!?」


 シークレットが浮気したみたいでやるせないのです。こうなったらもう魔王リーハちゃんを子猫のように愛でるしかない。

 ああ可愛い可愛い、可愛いねぇ。


「あああ、頭を撫でるにゃぁっ、や、やめよ我はまおぅ……はにゅぅぅぅ」


 顔を真っ赤にしているのは恥ずかしいからだろう。だが僕はシークレットに当てつけるように全力でリーハを愛で続ける。

 って、さっきまで凄い暴れてたのに急に大人しくなったな?

 顔俯けて、真っ赤になって必死に耐えているような気がするけど、凄く嬉しそうに見えるな。

 じゃあこのまま続け……ひぃっ!?


 直後真後ろから恐ろしい殺意をぶつけられた僕は一瞬で硬直した。

 僕の可愛がりが無くなったことに気付いたリーハがもう終わりか? と僕を見上げ、そして僕同様に固まった。

 あの魔王様が、恐怖に怯えて僕から距離を取って行く。


 ヒタリ、僕の肩に手が置かれた。

 片方だけじゃない両肩に手が置かれたのだ。


「おやおやダイスケさん……」


「随分とお楽しみですねぇ」


 シークレットとコピーパルマが視線だけで人を殺しそうな顔で僕の背後に立っていた。


「お、おおお。お二人しゃん?」


「私の面前で浮気ですか? そうですか」


「ま、待って、落ち着いて?」


「そんな浮気者は去勢した方が良いのでしょうか? ねぇ?」


「ち、違うんだ。シークレット達が猫に浮気してたから僕は……」


 無言で距離を詰めて来る二人から、僕は逃げることなど出来はしなかった。

 誰か、誰か助けてっ。

 しかし、僕の願いは届かなかった……




「さ、さぁ気を取り直して次の召喚石を使うとしようか?」


「「ふんっ」」


 僕の言葉にそっぽ向くシークレットとパルマ。

 おかしい、僕が悪いのか?

 シークレットが構ってくれないのが悪いと思うんだが。というかパルマが怒るのはおかしくないか?


 魔法陣が煌めき召喚が開始される。

 光の中から出現したキャラは……黒いスーツに黒いスラックス、皮の黒靴、サングラス。

 頭をポマードできっちり決めたシークレットサービスとでも言うべきか、何処のヒットマンだよ? と思える男がそこに居た。


 星5キャラ、地上げ屋トウドウ出現である。

 っておい、地上げ屋ってなんだよ!?

 トウドウは魔法陣から出てくると、僕の前にやってくる。


「フン、今日から貴様が我がクライアントか。冴えない面をしているじゃないか、つまらん仕事に成りそうだ」


 のっけから酷い上から目線!?


「ごきげんようトウドウさん。貴方の名に地上げ屋とございますが、何を成されている方なのです?」


 そんな藤堂に声を掛けたのはセフィーリア。


「ほぅ、これは立ち振る舞いの出来たお嬢さんだ。地上げとはその土地に住まう住民を条件を付けて退いて貰い、その土地にビルや公園などを立てるために立退き勧告などを行う者だ」


「まぁ、素敵なお仕事ですわね」


「ご入り用ならばいつでもご利用ください。仕事料はしっかり頂きますがね」


「ふふ、その時はぜひとも、一応聞いておきますが、城が相手でも可能ですか?」


「相応の金額を提示いただければすぐにでも」


 クク、ふふふ。黒い笑みで笑い合う二人を見ていると、出会っちゃいけない二人が手を組んでしまったんじゃないかと恐怖でガクブルしてしまいます。

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