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通常に戻った街、空を飛ぶ変態

 商人の馬車に向うと、牢屋のような場所に佇んでいる緑色の男がいた。

 少年、というには少々年がいっているが、若作りなので少年と勘違いされたようだ。

 青年だろう。商人に指摘すると、少し金額が高くなるので少年としているらしかった。


 ナイチンゲルダさんにお注射してもらい、彼を正気に戻す。

 どうやら奴隷になると気付いてなかったようで、売られると知った途端泣きじゃくって必死に助けを求めて来たんだけど、流石にちょっと助けられそうにない。


 可愛らしい女の子だったらお金使ってでも助けたけど、商人さんもぼーっと路地裏で立っていた彼を捕獲して奴隷として売ることで生計を立てる立派な商売らしいので無理矢理奪えば盗賊扱いにされてしまう。

 なので、悪いけど彼には奴隷商のところで誰かの奴隷として売られて貰うしかあるまい。

 奴隷商の所に行ってみると、奴隷商は揉み手しているだけで無事だった。ここにはゾンビ化の波が押し寄せていないようだ。


「おやおやいらっしゃいませダイスケさん」


 名前教えてない筈なのに名前を言われるという恐怖。

 神様のせいで知らない人でもプレイヤーの名前言えちゃうんだよなぁ。ここはちょっと変えてほしいぞ神様。

 まぁ細かすぎるだろうから指摘はしないけど。


 ふむ、ゾンビ化してないなら僕はここに居る必要ないな。

 皆さんに暇を告げて店を出る。

 その後はネビロヌと二人で街中を探索する。

 ナイチンゲルダたちはストックに戻させて貰った。


 街中は平常の賑わいを取り戻したようだ。

 兵士達が闊歩し、犯罪者を取り締まっている。

 そう、大通りを全裸で紳士的に歩いているド変態とかを。


「な、なんだねチミたちは!?」


「黙れヒリンダース! 貴様の悪行は既に100件を越えている。これ以上は監獄行きだぞ!!」


「さっさと服を着ろ変態め!!」


「いつもの店が汚物に塗れていたと報告を受けているぞ、貴様いつの間に事を起こしたッ!!」


「ああ、それなら皆さんがゾンビ化している時に、私は隠れて行うようなチンケな行動は行わないのですよ」


「堂々と言うことかッ」


 うん、アレは絶対に仲間にしてはいけない奴だ。


「フッ、よいでしょう。私を捕まえようと言うのならば、それ相応の御覚悟を」


 なんかカッコよさげなポーズをした変態が浮き上がる。

 ホワッツ!?

 え? 何アレ、どっかのラスボスみたいに、だらんと垂らした両手の平を開いて不敵に微笑む全裸男が空中高くに浮かんじゃってるんだけど。

 神様、アイツに一体どんな能力付けたんだよッ!?


 ―― 知らない、あんなの知らないぞ!? ――

 ―― あ、その人なんか面白そうだったからギフトしといたよ ――

 ―― ブチ殺すぞ駄女神ッ!! ――


 成る程、駄女神さんまだやらかし足りなかったようだ。


「クソッ、汚物が来るぞッ」


「まいどまいど傍迷惑なッ」


「ふふふ、我が庭にようこそジェントルメン達。おもてなしさせて貰おう。我が奥義を喰らえることを光栄に思い給え、|祖は全ての(downpour)|視線に返礼する(excrement)」


「ひ、怯むな、汚物が降り注ごうと奴をぎゃあああああああああああああっ!?」


 とりあえず兵士さん達が災厄の魔王と激闘繰り広げだしたので放置して村の入口へと向う僕だった。

 うん、奴が気付く前にこの村を出よう。皆集合ー。

 神様にお願いして仲間に連絡。入口に集めて貰うことにした。


 全員が集まって確認を終えたら。神様にも集合漏れが居ないか確認して貰って村を脱出。

 砂漠の町には二度と近づかないようにしよう。


「あ、お待ちくださいダイスケさんッ、私を……」


 空中浮遊で近づいて来た変態が居たので僕は即座に出立を伝えて皆と共に脱出する。


「ふっ、つまり追いかけっこということですな。追いかけるの得意なのですぞ?」


「居たぞ逃すなッ」


「ふぁっ!?」


「変態めッ逃して堪るか!」


「貴様の行きつく先は豚箱だッ」


「石だ、石を投げろッ。槍を投擲して殺すよりだいぶいい。生きたまま捕らえて罪を償わせろっ」


 兵士さん達に邪魔されて地面に落とされる変態。

 皆さんで囲んでタコ殴りが始まった。

 よし、皆今のうちだ。


 シュヴァイツァーのヘリコプターで殆どのキャラを移送する。

 下を走るのはアニキのバギー。

 砂漠を滑走するアニキが無駄にキマっていた。流石世紀末を生きるだけはある。

 兄貴には荒野が似合うぜ。


「しかし主様よ、さっさと出て来てしまったが特殊召喚石は良かったのか?」


「ああ、砂漠村の石は既に見つけたからね。あいつはありもしない石を探し続けるのさ。二度と会わないことを願うぜ」


「それ、フラグじゃないの?」


「ルーカ黙ってろ。本当にフラグだったら怖いだろうがっ」


 ルーカのせいで一抹の不安がよぎってしまう僕だった。

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