死者を仲間に
どんな攻撃を仕掛けてくるのかは気になるな。
イベントボスだし、一応スキル確認しとくべきか。
そう思って僕はネビロスを確認してみる。
死霊王ネビロヌ Lv80
必殺:
死に惑え愚か者ども
敵全体に即死攻撃。攻撃で死亡したキャラをゾンビ化して支配下に置く。
スキル:
バインドボイス
敵全体に麻痺付加。
死霊召喚
ゾンビを2体召喚する。
デスストーム
敵範囲に死属性の攻撃。攻撃で死亡したキャラをゾンビ化して支配下に置く。
パッシブ:
闇属性
光属性に強く闇属性に弱い。
背徳者
味方に死霊が多いほどステータスに+補正。
うわ、結構凄いスキル構成……というか、ネビロスじゃねぇ! こいつネビロヌだ!?
これは名前ミスなのかそれとも仕様なのか、分からないから放置しといたほうがよさそうだ。
しかし、死亡後にゾンビ化って、仲間に出来たら凄いよな。
「あの、ネビロヌさん、会話って可能?」
「可能である」
めっちゃ流暢!?
「貴方を仲間にすることは可能ですか?」
「我を仲間に、か? 面白いことを言う人間だ。我は死者の王。生者の仲間にはならぺぬぷっ」
お話の途中でセフィーリアさんの銃撃。
「とりあえず、屈服させればいいのでは?」
「下手に戦闘で倒しちゃうとそのまま消滅しそうだし」
「お、おのれ貴様ッ、許さんぞ!」
「面白い冗談ですね。死が安息であることを不死の身体に刻み込んで差し上げましょう」
「申し訳ありませんが……セフィーリアさん、私にやらせてください」
やる気満々だったセフィーリアに、シークレットが告げる。
予想外の人物にセフィーリアは意外そうな顔をした。
「まさか貴女が立候補なさるとは。死ねばダイスケさんが無様に泣きますよ」
無様はどうかわからないけど泣くね確実に。
「それでも、です。この国で起こった落ち度は私たち王族の不始末。ここは私がやらねばなりません。やらせてください。それに……こんな悪人を断罪出来るチャンス、滅多にありませんから」
「仕方ないわね。なら私が満足できるやり方をお願いするわ」
「おまかせください」
そう言って、シークレットは魔法処女へと変化する。
「おやおや、我を相手にたった一人で挑むというのか」
愚かモノを見るようなネビロヌ。シークレットとの一騎打ちに余裕を見せ始める。
だが、シークレットは既に全力を振るう気満々だった。
「貴方の罪を数えましょ!」
って、開幕直後だよシークレット。何で必殺使えるの!?
驚く僕の目の前で、ネビロヌが必殺技をくらってしまう。
シークレットの拷問技オンパレード。
最初こそ憎まれ口や許さんぞ、など告げていたネビロヌだったのだが、シークレットの必殺が終わらない。
30分程続く責苦に、流石に無口になり悲鳴だけを上げ始めるネビロヌさん。
まさに恨み辛みを叩きつけるような拷問フェスティバルに。僕らはただただ合掌するしかなかった。
そう言えば罪科に応じた攻撃になるんだっけ。つまりそれだけ罪があったってことか。そりゃシークレットが過剰反応するよ。
「た、助けてくれッ、もう限界だ。我を殺せぇーっ」
泣き叫びだしたネビロヌ。セフィーリアさんが愉快気に笑っていた。
「不死者でしょう、殺せませんわ」
「さぁ、ダイスケさんに忠誠を誓いなさい。貴方が改心する術はそれしかございませんよ」
「それは、生者には……ぬおぉ!! わかった。誓う。その者に忠誠を誓うッ」
「よいでしょう」
―― よいでしょう、じゃないよ!? 見てない間に何でイベントボスが仲間になってるの!? ソイツ倒すだけの存在だぞっ!? ――
「じゃあネビロヌ、君がゾンビ化させた人たちのゾンビ化状態を全て解いてくれ」
「む? 何を言っておる? 我はゾンビを生成するが、今この世界に来たばかりだぞ?」
「え?」
ちょっと神様、どういうこと?
―― ゾンビ化の原因はそいつじゃないよ。ソイツ倒したら出るようにしてたんだ。ああでも、仕方無い。仲間になった状態でも進めるようにするからちょっと待ってて。あと駄女神は動くな。 ――
駄女神ステイ。一体向こうで何が起こってるのか、とりあえず駄女神さんとやらが関わるとロクなことにならないということは確かだろう。
ネビロヌが仲間になったので戦闘中に死んでも死者として蘇り、ナイチンゲルダにより回復出来るという状態ができた。
戦闘パーティーに二人入れとかないといけないけど。
「あ、そうだ主よ。ほれ、我を倒した褒賞だ」
「え、いいの?」
特殊召喚石貰っちゃった。
こんなんで本当にいいのかな?
というか、シークレット怒らせるのは絶対にやめよう。あんな廃人生成器みたいな拷問は絶対に受けたくないです。