最奥に潜むモノ
正直甘く見てた。
ゾンビの物量甘く見てた。
そろそろ対処が追い付かない。
皆頑張ってくれているが、なんか凄い量のゾンビが襲いかかってくるの。
気持ち悪いし臭いし汚いし、恐怖感増大だし、正直無理っす。
しかし、カミナさんがかなり活躍だな。
相手を元に戻すことは出来ないけど範囲攻撃で神聖魔法発動できるから一気にゾンビが消失する。
レスティスと交互に魔法発動させるだけでかなり楽に闘うことが出来た。
それでも相手の物量が多い。
徐々に狭まり始めたことで焦る。
味方の攻撃は火力充分だが一回一回のチャージが長いのがネックだ。
御蔭でかなりぎりぎりまでゾンビ共が近づいてくる。
気のせいか、さっき倒したゾンビが二、三人出現してる気がするんだ。
これってさっさと進まないと永遠おんなじゾンビが湧き上がるタイプの通路だろうか?
地下一階をなんとか無傷で通り抜ける。
階段まで降りると、なぜか地下一階のゾンビが波を引くように消えていった。
どうやら階段は安全地帯らしい。
と言っても安心はできないけれど。
一度休憩を取って全員のスキルが使用可能になるのを待つ。
正直生きた心地がしない。
少しでも誰かがミスればそこから崩壊するのだ。
後どれだけあるかわからないが、こういうのは二度とやりたくない。
地下二階に向うとなんか変なのが出て来た。
子供がとてとてと走ってくるのだ。
しかも笑顔のゾンビなのがまた怖い。
走るゾンビが出始めたので皆のスキル消費が激しくなる。
チャージが間に合わない。
仕方無く遠距離攻撃可能な仲間をストックから取り出す。
無駄にタラッシュが有能だ。やるせない。
パルマコピーが補助スキル、スキルチャージ短縮を持っていたのでそれも使わせて貰ってなんとか凌いでいる。
前回が前回だったので、今回はその場に留まり迎撃することなく、少しずつでも進んで次の階段へと向うのだった。
地下三階。
今度はゾンビドッグやらゾンビベイビーが出現した。
速度差を持ってやってくる波状攻撃のせいでゾンビベイビーに苦戦させられた。
スキル使いきった頃に悠然とハイハイで近寄ってくるゾンビベイビーはある種恐怖だ。
近くに来ると飛びかかってくるのも精神的に辛い。
地下四階。
遠距離攻撃をして来るゾンビ、というかクリーチャーが出現し始めた。
腕が伸びるの。
正直気持ち悪い。
他のゾンビ達も合わせると難易度は最高だろう。
御蔭でルーカが敵の攻撃に当ってゾンビ化した。
即座にナイチンゲルダに鎮圧されたので問題はなかったし、元戻ったけど、他のメンバーがゾンビ化し始めるとちょっとヤバい。
結果を言えばルーカがゾンビ化した以外大して問題は無く地下への階段に辿りつく。
階段中央で休もうかと思ったが、手が伸びるゾンビは腕だけ伸ばして階段でも襲いかかって来た。
御蔭で安全地帯無く僕らは転がるように階下へと逃げだしたのであった。
「たぶん、ここが最後だと思います」
「そっか。なら真っ直ぐ先に見えてる扉が向うべき場所ってことか」
ゆっくりと進む。
案の定突然出現するゾンビ達を一体一体撃破していく。
想定外の場所から出てくる個体もあるので危うくお爺ちゃんがゾンビにされかけた。
お爺ちゃんがキュピンしてくれたので誰もゾンビ化することなく、ナルタの一撃がトドメを刺した。
ようやく扉の前に辿りつくと、ゾンビが上の階から押し寄せるように現れた。
これは休憩することなくさっさと向えってことだろう。
休憩できないのは辛いがゾンビにはなりたくないので皆と共に扉を潜る。
ドアを閉めると鍵が掛かる。
しかし、ゾンビ達がドンドンと扉を叩き始める音が響き始めた。
嫌な予感がする。
おそらくだけど一定時間以内にクリア出来なければゾンビの群れがここに押し寄せるはずだ。
丁度僕らが第2章ボスを倒した部屋である。敵はほぼ確定で良いだろう。
王がローパー化した場所には、何か空間のゆがみが出来ている。
魔物がいる訳ではなく、ここを何とかするのが今回の特殊イベントだろう。
でも、どうすればいいんだこれ?
部屋の中央まで向かうと、どうすればいいかはわかった。
空間のゆがみから何かが這いだして来る。
全員が戦闘態勢に入り、そいつは腕から出現し、ぐぐっと身体を持ち上げるようにして頭を出す。
ゾンビ? そんな生物じゃない。これは……
「ネビロス……」
イリスさん、知っているのか!?
「死霊を操る魔王……のようなモノよ」
魔王というとリーハが魔王は我だ。とか叫びそうなので言葉を付け加えたイリス。
つまり、魔王様くらい強い生物と見た方が良いのか。
咆え猛るネビロス。
戦闘開始のようだ。
周囲からゾンビが出現する。ネビロスが生み出したゾンビらしい。
ガイコツみたいな顔したゾンビなのに、無駄に動きが速い。
これはかなり、苦戦しそうな……大丈夫かな?