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団長はいい人?

 地下組織と言うべきだろう。

 レジスタンスアジトにやってきた僕らは、ベロニカさん案内の元、団長に挨拶しにきていた。

 団長の部屋にやってくると、ミカンの空き箱で作ったらしい段ボール箱を椅子にして座っていた恰幅のいい柔和な笑顔のおっさんがやぁと答える。


 とりあえず、あの段ボールってなんで潰れないの? デブッたおっさん座ったらぐしゃっと行くだろ普通は?

 内部を蜂の巣構造にでもしてるのかね?

 まぁいいや、この人も見たことはある。

 反抗組織団長ウーラ=ギルモンだ。


 見るからに腹に一物持った油断ならない人物にしか見えない。

 そんなウーラさんは立ち上がると、腹を掻きながら近づいて来た。

 あの、そんな腹掻いた手で握手求めないでくれません?


「やぁやぁ。私のナマエ、ウーラ=ギルモンでーす」


「はぁ、えーっと、ダイスケっす」


「聞いてるヨー、大変だったそうじゃないか」


 何を聞いてるんだろう? よくわからないながら頷いておく。

 人懐っこい笑みを浮かべたおっさんは僕の手を取ってぶんぶん振った後、一人一人握手して回る。

 笑顔で対応したセフィーリアさんが握手終了後に隠れて手を拭いていたのは見なかったことにした方がよかっただろうか?


 あ、シークレットも同じことしてる。うん、見なかったことにしとこう。

 そんな女性たちの行動に気付きもしないウーラさんは挨拶を終えると座席へと向って座り、腕を組んで肘を机に乗せた。


「さて、来て貰って早々に悪いんだがネー。我々はこれより反旗を翻す。狙うは帝国転覆。今の帝国制を排除して共和国を作ろうと思う」


「共和国?」


「人民の、人民による、人民の為の政治を行うのさ」


 その言葉におおーっと感心した顔をする面々。

 おかしいな。良い言葉の筈なのに、パクリ感が強いのは何故……ああ、これ習った。リンカーン大統領の演説にあったガーバメントなんとかの日本語訳じゃねぇか。

 神様が多分語呂気に入って使ったんだろうなぁ。


「それまではここは自由に使ってくれたまえ。反乱を起こせばこの組織全てがここから居なくなる。もちろん身を隠すにはもってこいだが兵糧が無くなってしまうんだヨー」


「つまり、しばらくはここでゆっくりできる訳か」


「そうとって貰って構わないヨー。反乱起こす時は教えるから、君たちはどうするかそれまでに決めておいてほしいヨー」


 多分だけどこれ、7章1話タップした瞬間に反抗起こすパターンだな。

 一瞬押してみたい気分になったけど、すんでのところで我に返った。

 危なかった。今直ぐ始めてたら休暇できないってセフィーリアさんに潰される所だった。


 一先ずはレジスタンスの中で休憩しよう。7章入ったわけだしまたピックアップガチャ更新されてるだろうから休める場所に案内されたら調べてみるか。

 しかし、至れり尽くせりというか。食事までしてくれるらしい。

 もしかしてウーラさんってめっちゃくちゃいい人?

 でも名前がうらぎるもんだからなぁ。


 もしかして寝てる時に有り金全部奪われるとかないよな?

 不安に思いながら案内された部屋に入る。

 うん。ここもベッドは一つだけだ。


「HAHAHA。一緒に寝るかブラザー?」


「近寄ったらセフィーリアさんに眉間打ち抜いて貰う」


 ウッディーが冗談交じりに告げながらサイドチェスト。

 脛蹴りを行ってから僕はベッドに腰掛ける。

 まずはピックアップガチャの確認だ。


 ☆5キャラは王子グラスパー。

 肉食系男子というべきか、どこか野性的で粗野なあらっぽい印象の男はおそらく20代前半くらい。

 ☆4キャラは帝王ガラムス。そして王子バカダナー。

 ガラムスはこの国の帝王だそうだ。マルサが言うのだから間違いはないだろう。

 で、バカだな~って言いたくなるバカダナーは顔からしてお馬鹿にしか見えない。大人なのに青っぱな状態だし。鼻水垂らす王子ってどうなの?


 あ、ピックアップもう一つあるぞ。

 こっちは今回の闘いで有利になるキャラらしいな。

 ここで手に入るキャラは☆5秘密王女シークレット、鮮血魔嬢サシャ、魔法中年タラッシュ。

 うん、全員持って……タラァァ――――――ッシュ!?


 デブッたおっさんに美少女魔法少女のコスプレさせたような生物に思わず放心する。

 こいつ、ピックアップになっちゃうんだ……

 使える、のか? でも今回特攻キャラっぽいし、育てた方が良いのだろうか?

 ……やるだけやってみるか。


 あんまり見たくも無いんだけどなぁ。

 とりあえずレベルアップ用にデイリー周回しとくかな。

 あ、シークレット一緒に寝る? え? 遠慮する? なんで? 殺されそうだから?

 誰に? え。僕の後ろに居る人? 誰が……


 ヒタリ、肩に手が置かれた。びくりと後ろをゆっくり振り返れば、そこに居たのはコピーパルマ。僕のストーカーになっちゃった女性です。


「さぁ、一緒に寝ましょう? 大丈夫、天井のシミを数えていれば終わるから」


「やめんか馬鹿もの」


 ひぃぃっと驚きながらもちょっと期待した僕だったが、パルマさんは魔王陛下に拉致されるように引き剥がされて行った。

 結局本日も一人きりで寝るしかなかったのだった。

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