狂人は咆え猛る
大通りに陣取る狂人エイドリー。
マッスルボディをひけらかし、周囲の人々がうわぁっと気持ち悪いのを見たとでも言いたげな顔で彼を遠ざけ歩く中、一人叫んでいる。
「うぉれぇぇぇわぁぁぁ、オマエだぁぁぁぁぁ!!」
うん、意味が分からないね。俺はお前だ。って言ってるっぽいんだけど、お前はお前で僕は僕だろ。と言いたくなる。
まぁ狂人な訳だし本気で相手しても意味ないんだけどさ。
「おそらく9話か10話でアレと闘うわね」
「やっぱそうかー。まぁ場所だけ覚えておいて今は帝国内を見て行こう」
エイドリーさんを放置して、僕らは大通りを帝城向けて歩いて行く。
そこかしこに兵士が闊歩してるけどマルサに気付いた奴は皆無。否、マルサを見たりはするし、手配書片手に僕等に近寄ってくる奴はいるけど誰もマルサを犯罪者として捕らえようとしないのだ。
なんだろうねこれ?
っていうか、もうすぐ10話に到達するけどさ、反抗勢力とかどうなったの?
結局帝城周辺で一旦終わりってことでいいのかな?
あ、またバグ発見。
壁に40台位のダンディなおっさんが挟まっていた。
こっちに上半身だけ出して困った顔をしている。
家の入口から入らせて貰って調べてみれば、どうやらこっちには下半身が突き刺さっている模様。しかも何故かズボン脱げてるの。
おっさんの汚い尻が丸見えだったので女性陣はご退場願いました。
「お、おお、通りすがりのお方、なんとか助けてはくれまいか」
「それは良いけどなんでズボン脱げてるんですか?」
「それは……助けを呼んだ相手が悪ガキで悪戯されたんだ。手がこっちだから穿くに穿けなくて……」
まず言いたいのはどうやって壁に突っ込んだのか?
そして胸がつっかえる女性ならともかくおっさんなら抜けるんじゃないかとか。
いろいろ疑問があるにはあるが、きっとイベントなのだろう。仕方無いので神様にメールして助けて貰う。
「いやー、助かったよ」
「なんつーか大変っすね」
「全くだ。御蔭でお尻が痛くてたまらんよ」
なぜ? え? ちょ、待って。壁に突っ込んだからお腹が痛いとかなら分かるけど……
いや、深くは聞くまい。
なんか聞いてはならない気がする。
「助けてくれたお礼をしたい。少し待っていてくれ給え」
そう言って自宅だろう建物へとお尻を押さえながら去っていくおっさん。
しばらくして出て来たおっさんは、召喚用の石1000個と変わった石を持って来た。
「何コレ?」
「何かの召喚石らしい。我が家に代々伝わる古の英傑を呼びだす石だそうだ」
おお、隠しキャラ入手イベントだったのか。
折角なので早速メニュー開いてアイテム選択。召喚石での召喚を試みる。
おお、エフェクトが虹だ。
これは☆5キャラ出現か……っ!!
「フンッ!!」
ソレは僕らの前に出現した。
浅黒い脂ぎった身体。
ブーメランパンツ。
鍛え上げられた肉体。
坊主頭に厳つい顔のマッスルボディ。
ムキムキ外国人ボブ。とか呼ばれそうななんかもうガチムチの男がサイドチェスト状態で出現した。目があるはずなのに影に隠れて見えない仕様らしい。
さらにダブルバイセプスを披露しながらニカッと白い歯を煌めかす。
「うわーぉ」
「これが、古の英傑?」
☆5古き英傑ウッディが仲間になった。
なんか暑苦しそうな人だ。
しかも僕に近づいてくると、強い力で背中を叩きながらHAHAHAとか笑いだす。
意味不明でちょっと怖い。
しかもね、コピー扱いにならないらしい。
ストックブチ込もうとしたらオリジナルキャラのためストックに入りませんとかダイアログがでた。
召喚石で出現するキャラは唯一無二のオリキャラなのだそうだ。
え、ってことはこれからずっとこの厚かましいガチムチが傍にいることになるの?
ちょっと、これ以上召喚石召喚は止めた方が良いかもしれないなぁと思ってしまう僕だった。
だってこんなヤバそうなのばっか出て来られて、しかもストック出来ないとなると面倒じゃん?
助けたおっさんの話じゃ各町に1つづつ特殊召喚石があるらしいし、今までの感じから言って最初の村、シークレットの国、砂漠の村、皇国にも召喚石があるってことになるんだけど。
どうしようかな、ちょっとやってみたい気はするけどこれ以上オリキャラ増えられてもという思いもある。
いや、でも折角だし集めるだけ集めてみようかなぁ。
まぁ、その辺りはこの章終えてからゆっくりと。皆をここに残してアニキのバギーで僕とシークレットだけで回るのが良いかな?
ああ、でもセフィーリアさんとかリーハとかは率先してついてくるか。
あとコピーパルマさんも。
あの人ストーカーに目覚めちゃってるからなぁ。
さて、あとは……っ!!?
そして、僕はこの日一番のバグを眼にしたのであった。