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裏切り者だから裏切るんですよ

 宿屋に付いてベッドにマルサを寝かす。

 これ、助けなかったら問題起こさないんじゃないかなぁーって一瞬脳裏を掠めたんだけど、流石に助けを求められて見捨てる気にはならないからなぁ。

 とりあえず助けてしまった以上は面倒見ないといけないか。


 マルサは裏切り者として処分されかけてた訳だし、帝国にこれ以上与する気は無いと思うんだけど、どうなんだろう?

 マルサ次第だなぁ。また裏切ったりしないでくれよスパイさん。

 次はセフィーリアさんが黙ってないよ、多分。騙し打ちとか自分がされるの一番嫌う人だから。


「……ん」


 あ、マルサが起きた。


「……生きてる?」


 眼を覚ました途端に出た言葉がそれかよ。


「……ああ、そっか」


 上半身を起こし、自分の現状を把握するため周囲を見回す。

 僕の姿を視認して、彼女はふぅっと息を吐いた。


「まさか本当に助けてくださるとは思って無かったですよご主人様」


「結局お前何があったの? なんか裏切り者呼ばわりされてたけど」


「……」


 指摘されたくなかったのか、口を噤むマルサ。しかし、溜息一つと共に秘密を吐きだすことにしたらしい。


「もともと私に課せられていたのはパルマ皇女の付き人となって皇国を調べることだったのよ。その内皇女を連れて帝国に戻れとか指令が来たの。私は帝国の人間だったし、パルマちゃんには悪いと思いつつも彼女、暗殺される危険もあったし、殺されるくらいならパルマちゃんだって帝国の王子に嫁入りした方が幸せかなって。でも結局指定時刻までに届ける予定は奴隷商に掴まって失敗。私を殺しに来た処刑人たちに理由を話して最後の賭けを行うも大損害を出しただけでパルマを捕獲出来ずに自分だけ帰る。そりゃ死刑ものでしょう」


 自虐するように告げるマルサ。まぁ自虐なんだけどね。


「で、流石に死にたくなかったんで隙を見て脱走したら裏切り者扱いされたわけですわ」


 両手を上げてお手上げ状態を作るマルサ。

 困った顔をしているがどこか楽観な様子が見える。


「と、言う訳でぇ私を助けてください」


「こちらを裏切ってパルマ殺そうとしておったではないか」


「いやー、あの時はもう楽にしてあげた方がいいかなぁって。いや、でも、ほら、私ってば諜報活動に特化してますし、今ならタダで雇えますよ?」


「裏切り者は裏切りますよ。私は反対しておきますね」


 セフィーリアさんらしいなぁ。


「まぁ、セフィーリアさんならそう言うと思ったよ。シークレットはどう?」


「そうですね。裏切りの罪は償わせるべきかと思いますけど、ダイスケさんはなんだか赦しちゃいそうですね」


「私は、赦しますよ。マルサさんにはお世話になりましたから」


 何故か僕の背後から肩に手を乗せコピーパルマがドドドドドドドドドとか効果音が鳴り響きそうな表情で告げて来た。

 怖いわッ。


「コピーが許すってことはオリジナルも同じ感情、かな? 理由を聞いても?」


「多分オリジナルはサボさんと出会えたから。私はダイスケさんと出会えたから」


 だから何で僕なの!?


「ま、まぁいいや。とりあえずそういうことなら一応仲間として迎え入れるよマルサ」


「おお、さっすがご主人様です」


「調子が良いわね。こういう奴は裏切る瞬間に裏切り殺すのが一番いいのよ」


「え、何ソレ笑えない」


 セフィーリアの言葉に本気で怯えるマルサ。お前もしかして、また裏切る気満々だったか?

 だったら諦めろ。セフィーリアさんに冗談は通じないぞ。


「あー一応伝えとくけどさマルサ。裏切るつもりなら死を覚悟しとけ。これは僕らが許さないとかそういう理由じゃなくて、セフィーリアさんが確実に殺しに来るって意味だから」


「あ、あはは。そんなことする訳ないじゃないですかぁ」


「あら、それは残念。折角どれだけ生きたまま処刑出来るか試したかったのに」


「う、うわーぉ、冗談に聞こえなーーい」


 冗談じゃないからね。

 さて、マルサは仲間になるみたいだし、ここから先どうなるか、マルサは裏切るのか、いろんな意味でオラワクワクすっぞ。

 んじゃ、9話始める前に街中探索しちゃおっかな。


 どうせまたあるんだろう、バグ。

 神様だって期待してるんだろ、予想外のバグって奴をさぁ。

 ふふ、砂漠の街も皇国もかなりバグだらけだったみたいだし、こっちもきっとあるぜ。さっき見付けた男の上を歩く女バグだけじゃないって所を見せてくれ!


「折角だし私も行くわ。案内任せて」


 マルサが普通に同行を申し出て来た。

 いいけどさ、いいんだけどさ。

 あんた病み上がりみたいなもんだろ。

 それになんか隙見て逃げだしそうな予感がするなぁ。いや、別にいいんだけど、それやったら死ぬと思うよ。主にセフィーリアさんの暴走で。


「なにか?」


「いえ、ナンデモアリマセン」


 セフィーリアさんは悪口言うことすら命がけだな。気を付けよう。

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