神は今日もバグらせている
3話を終える。
正直敵に歯ごたえが無さ過ぎる。
少し前からレベル80以上のキャラだらけになってたからなぁ。
仕方無いっちゃ仕方無いんだ。別のキャラを使えばいいって話なんだけどいざ使うとなると負けたくないし、長ったらしい闘いしたくないし。
これはソシャゲの宿命と言うべきか、強くなり過ぎたキャラがいると闘うのがめんどくさくなって飽きて来るんだ。
そりゃあ周回大好き俺強ェェェ最高を一生貫ける奴もいるよ。でもさ、僕はそこまで廃人プレーヤーじゃないし、頂点行った後は目標とかが無いと続かないタイプだからさ、そりゃこの世界自体は別に問題無いんだ。
シークレットたちとゆったり過ごすの好きだし……あ、そうか。別に無理に進む必要はないか。
デイリーミッションだけこなしてしばしシークレットとデートするのもいいなぁ。
そうだ、この6章というか帝国クエスト終わったらしばらくゆったりしよう。
それじゃあさっさと6章終わらせるかぁ。
地下通路を越えるまでに7話まで終了した。
無駄に闘わせるのはどうかと思うんだけど、まぁ敵は楽に倒せるからいいけどね。
8話をタップして地下水路から脱出。どうやら貯水池にでるようだ。
外に出たら街中の侵入禁止の施設から出てくることになった。
街の人たちは僕らを一瞥すらせずにいつもの日常を行っているようだ。この辺りは砂漠の村と一緒らしい。
だからこそ、たぶんバグだらけだろうな。
あ、ほら見つけた。壁に頭くっつけて歩いてる人。
「あら、アレは何かしら?」
「ただのバグですね。壁に向って歩きたい人になってるだけです」
「そう、じゃあアレは?」
アレ? と僕が視線を向けると、そこにはお兄さんが散歩している姿が見えた。
お兄さんが普通に歩き、そのお兄さんの頭の上を歩いているお姉さんがいる。
何言ってるのかわからないって? 僕も意味が分からないよ。
お兄さんの上に土足でお姉さんが立ってるんだ。
それで、二人同時に同じ方向向けて歩くもんだからお兄さんを踏みつけながら進むお姉さんの図が完成してしまっている。
もはやどうやったらあんなバグになるのか意味が分かりません。神様ーっ!
―― ああうん、こっちでも確認したよ。どうも家から出る時に女性が二階から出てしまったみたいだ。しかも待ち合わせ場所を同じ場所にしたせいでこうなってるみたいだね。一応二人はカップルの設定だったんだけど…… ――
「どう見てもアブノーマルなカップルよね」
「男を踏みつけ続ける彼女か。なかなか鬼畜よな」
とりあえず一度街を見回った方が良さそうだな。イベント終わらせてから街中調べてみるか。
8話目のイベント場所に向うと何やら騒がしい。
なんだろう? と近づいてみると、普通にマルサが居た。
しかも兵士に追い詰められている。
路地裏の奥まった場所なので周囲の人が気付くこともない。
イリスに案内されなければ僕だって気付かなかったと思う。
っていうか案内役ルーカだけだったら永遠辿りつけないんじゃないか?
「何よ?」
「いや、頑張れルーカ」
「何が!? ねぇ、なんのことっ!?」
意味が分からず声を荒げるルーカを無視して僕はマルサの元へと近づく。
どうやら任務失敗の裏切り者として処分される手前のようだ。
傷だらけの彼女は目ざとく僕を見付ける。
「た、助けてください御主人様ッ!!」
一斉に兵士達が僕に視線を向けた。
「見られた?」
「ええい殺してしまえば問題ない、目撃者は手早く殺せ!」
「殺られる前に殺れ。私の座右の銘という奴です」
「了解。セフィーリアさんやってやってください」
戦闘開始。
セフィーリアさんがソーラーライトみたいな物体を手にして投げる。
手投げ式手榴弾かな? 長い柄がある棍棒みたいな形状なんだけど。
それが敵陣に放り込まれると、煙を噴き出し兵士さん達が咳こみ涙目で悶えだす。
「雑魚は雑魚らしく地に這いつくばっていればいいのです。では、さようなら」
マッチ箱を取り出しマッチを一本手にすると、シュボッと火を付け、ピンっとデコピンの要領で火が付いたマッチを敵陣に放り込む。
次の瞬間、一瞬だけ音が消え、ついで衝撃波と共に爆炎が駆け抜けた。
敵は、一人すらも残っちゃいなかった。
うん、過剰戦力乙です。
セフィーリアさんは攻撃パターン多過ぎると思います。
戦闘が終わると、マルサだけが残される。
僕が近づくと、困ったような、安心したような顔をして、そのままどさりと気を失った。
うん、これバグ探しどころじゃないや。9話をタップする前に宿屋を探す僕ら、流石にマルサを抱きあげて歩くのは僕には無謀だったのでオデーブ君にお願いしておいた。
無駄にデカいからこの位楽勝だろ? あ、腕の骨折れてる!?