六章開始、帝国領にジャンプワープ
ガチャを終えてしばしゆったりした僕たちは、宿屋の中で第六章1話をタップする。
すると目の前にダイアログが出現した。
白い枠線で囲った半透明の青っぽいグレーのダイアログに白字で文字が書かれている。
―― 帝国領までの道のりはとても長いです。スキップしますか? スキップする場合は皆で同時にジャンプしてください ――
なんだこれ?
皆にとりあえず相談してみる。
セフィーリアさんがあまり乗り気じゃなかったものの、スキップしなかった場合数日掛けて帝国に行くらしい事をイリスが告げると、しぶしぶ了承してくれた。
そういうわけで、一度宿屋から出て道路に皆でぞろぞろ集まると、一斉にジャンプを行う。
すると次の瞬間、見知らぬ場所に僕らはいた。
見渡す限り平原とでも言うべきか、僕の背後に国の門がある以外、前と左右は平原が広がっている。
どうやらテレビとかでよく見るジャンプしたら目的地に付く、を実際にやらされたようだ。
アレは動画を編集してそのように見せてるんだけど僕らの場合は神様の奇跡パワーで強制転移させられたと見ていいだろう。
「ここは? また強制転移のようですが?」
「マップ確認できました。帝国城下街前の門ですね」
「うわーお、ふっしぎー」
「はっ、ルーカよ、流石に棒読みで驚くのはどうかと思うぞ?」
僕はブツクサ言う仲間たちを放置してシークレットと共に街門へと向かう。
街門には数人の兵士が居て入ってくる人々の荷物チェックを行っている。
「これ、普通に入るのは止めた方が良いのかな?」
「そのようですね。第一話のイベントはここから西方面になってます。丁度街壁に沿って向った先ですね」
イリスに案内してもらいながら街門を後にする。
どうでもいいけどイリスは時々こうして役立ってるんだ、なんでルーカは何も出来ないんだろう。案内人として不適格過ぎると思うんだ。
壁に沿って折れ曲がり、西側に顔を出す。
すると丁度兵士達に追われたお姉さんが一人。うん、知ってるこの人。ベロニカさんだ。ガチャの所にピックアップキャラとして出てたからどんな人物かわかっちゃったよ。
追われてるところを見るに反乱軍として掴まりかけてるところに僕らがやって来てこれを倒して助ける、そこから反乱軍アジトに向って協力するってところかな?
セフィーリアさんが率先して動き出す。
うん、これはもう戦闘メンバー適当に決めてセフィーリア入れとくのがベストだな。
なので本当に適当にメンバー決めて送り込む。
セフィーリアさんが敵味方問わず撃ちまくり始めた。
タダシさんが必死にリーハを守る。
オデーブがサシャを守り死んでしまう。
「お兄ちゃん、私はー」
「二人目のサシャか、えーっと、今回は留守番で、許して」
「むぅー」
サシャ一人だけ参戦させたせいでもう一人のサシャがムッとしてしまった。
可愛らしいけど鮮血令嬢なので気分を害してしまうとちょっと怖い。
セフィーリア満足させたらこのサシャも満足させとかないとなぁ。全くなんでコピー君達相手にここまで気を使うことになってるんだろう僕は?
戦闘は速やかに終わった。
助けられたベロニカさんがこちらにやって来て、すまない、助かった。と礼を告げて来る。
なんで襲われてたのか聞いてみたがはぐらかされた。
そのまま逃げてしまいそうだったので、帝国に街門使わず入る方法を尋ねてみる。
きょとんとした顔をしてしばし、地下水道を通ればいいと言われ、場所も教わった。
ココからかなり歩くみたいだけど、地下通路があるらしい。
それを真っ直ぐ向えば街の中に辿りつけるのだそうだ。
危険な魔物が多いから滅多に使われないらしいけど、どうせ出会う魔物は数体だろうし、負ける気もしないので遠慮なく向う。
地下水道は下水道とは違うようだ。それなりに広い水が中央を流れている洞窟と言えばいいんだろうか?
下水のような鼻が曲がりそうな臭いはなく、ただただ水が海に向かって流れている。地下を通っているだけの川だとも言える。
ただ、水辺だからなのか足元はかなり滑る。
「そろそろ第2話ですね」
「サシャでるからね! 出さなかったら真っ赤に染めてやるんだから」
「はいはい、んじゃナルタ、コピーのリーハ、レスティス、サシャ、ダイサクよろしく」
厳つい親方が親指立ち上げ任せな坊主。と言って来る。
でもごめんダイサク、人数合わせなんだ。ついでにお前のレベルまだ30だから。
当然住み着いていたネズミ共はサシャの全体攻撃により即死した。
満足出来た様子なのでこれでサシャが文句垂れることはないだろう。
あとはセフィーリアかリーハを入れとけば問題無く行けそうだな。では第3話タップ。
って、うおっ!?
タップした瞬間敵が眼前に出現して驚いた。
戦闘自体は問題無かったけどポップ場所を何とかしてくれ神様。
蝙蝠の顔とか初めて目の前で見たわっ。