そして新たな王が誕生した
あー、その、なんだ。
何と言えばいいのか、次期皇帝陛下がサボテンに決まりました。
もはや好きにしてくれ、としか言いようがない。
どーすんだこれ?
王子二人が呆然としてるし、王様は決まった瞬間立ち上がってサボに玉座譲っちまったぞ? あんたさっき自分が倒れるまで帝位は渡さんとか言ってなかったか?
サボはふむ。と僕を見て、覚悟を決めたように歩きだし、玉座に座った。
「サボ、であったな。我はそなたを知らん、だが、皇帝に押され、自ら座った以上、お主に皇としての教育をさせて貰うぞ」
「ああ、覚悟はしている。だがいいのか? 俺はしがない冒険者なのだが」
「娘が決めたのなら文句はあるまい。後はお前次第だ。見事娘と共に皇帝となるがいい」
「フッ、ただのサボテンに無茶を言う。だが、まぁこれも俺の人生か」
サボがなんか自分に浸ってポーズとってます。
「それで、エピローグとやらはどうなるのかしら?」
「サボが皇帝になって終わりだろ。サボとパルマのオリジナルがここに残るんだ。だよな、サシャ」
「「えー、なんで私に聞いたの? 私はまだお兄ちゃんと一緒にいるだけだよー?」」
いや、パルマと一緒に掴まってたしサシャもここに残るのかと、この子のイベントはまだ後ってことか。
そもそも鮮血令嬢だったっけ、この子も結構ヤバいんだよな。
変なイベント起きないこと祈るぞ?
「ああ、そうだダイスケ」
「ん? なんだサボ?」
「俺とパルマは皇族ってことで城に居ることになった。でも帝国のマルサだったか? 奴はまだ健在だ。悪いんだが帝国に向かってマルサがこちらにちょっかい掛けて来ないか調べてくれないか?」
成る程、6章は帝国行きってことかぁ。
―― ダイスケ君、星5キャラ入手イベント作ったからよかったらやってくれ ――
タイミングッ!
神様まだエピローグ終わってないから。終わってから言ってよそれぇ。
まぁいいや。とりあえず一段落したら向ってみるか。
「あら、イベント?」
「気になりますかセフィーリアさん」
「ええ。どんなものかはちょっと見てみたいわね」
「エピローグ終わったら見に行きましょ……っ!?」
ゾクンっと全身が逆立った。背後に二つの気配を感じる。
ゴクリ、喉を鳴らして振り向けば、恨めしそうなコピーパルマとシークレット。
「え? ええと……」
「ぎるてぃ、ですか?」
「楽しそうですねダイスケさん。私もお話したいです」
ひぃぃ、なんでそんな幽霊みたいな顔で僕を見てるの二人とも!?
そこの魔王二人、にやにやしない。サクヤとサシャたちを見習え。こっちなど気にせず会話に花咲かせてるじゃないか。
「あー、まぁよろしく頼むわお前ら」
サボが呆れた顔で告げる。
畜生、なんだこの上から目線のサボテン野郎は?
皇帝様だよ畜生。頭上がらなくなっちまったよ。誰か暗殺してくれないかな?
僕らは謁見の間での作業が終わったということで城を後にすることにした。
宿屋に戻ってメニューを開く。
話数選択場面をさらに開くと、イベントの話が追加されていた。
えーっとなになに、封印指定ヘスティカーナ出現! なんだこりゃ?
封印されていたヘスティカーナが蘇った。倒せば倒す程強くなるヘスティカーナを倒しヘスティカーナを仲間にしよう!
……あー。時々あるLv1からLv200ぐらいまで強くなるタイプのボスキャラかな。
あれ、何度も何度も挑まないといけないから面倒臭いんだよね。
まぁいいか。とりあえずやるだけやってみよう。
まずは報酬の確認。
うん、なるほど、Lv100のヘスティカーナ倒せば1体貰えるのか。
あ、待て、これメインのイベントとレベル上がるイベントに別れてるぞ。
まずはメインのイベントからやった方がいいかもしれん。
レベル自体も結構弱そうだし、今の面子でも充分闘えるだろ。というかオリジナル魔王がいるからほぼ確定的に勝てるな。
んじゃあとりあえず1話目をタップしてみるか。
タップした瞬間だった。
僕らは寛いでいた宿屋から見知らぬ場所に飛ばされた。
石畳の上に寝っ転がるルーカが背中痛いと飛び上がる。
椅子に座っていたリーハとセフィーリアが空気椅子になって転んでいた。
戸惑うシークレットの目の前で倒れた二人は、同時に僕を睨みつける。
ちょ、ちがっ、僕のせいじゃないだろ!?
今のはタップしたことによる強制転移だった訳で、僕と言うよりも神様のせいであるというか、ほら、あの……すんませんっした!!
ダキューンッ
バタリ、倒れた僕の意識が一瞬暗転。
そして起き上がる。
どうやらセフィーリアさんに射殺されたようです。僕のせいじゃないのに。
「で、ここは何処だ?」
皆が集まってくる。
その中でサクヤとカルシェが焦った顔をしていた。
「ここ、もしかして、青蛇神社!?」
白じゃなくて青なのか。ということは今回はサクヤオリジナル出現しちゃうのか?