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人質に取られたエアパルマ

「がぁ!?」


 あ、生きてる。

 セフィーリアの必殺技使って消滅した黒づくめ。

 さすがこの世界というべきか。粉微塵に消失したのに戦闘が終わると復活するという。ゲームとかではよくあるシステムだけど実際に見ると慣れないな。


「お、おのれ貴様等ッ」


「あら、確かに殺した筈ですが?」


「仕様らしいです」


「そう、ではもう一度……」


「待て!」


 セフィーリアが銃口を向けた瞬間、黒づくめさんは間横から何かを引き寄せる動作を行う。

 なんだ?

 何かをこう、小脇に抱えるというか左腕で首を絞めるような動作をしながら何も無い空気を引き寄せ暗器のナイフを右手に持って叫んだ。


「皇女がどうなってもいいのか!」


 は?


「俺の手には皇女パルマが居るんだぞ! う、動くな。動けば皇女を殺すッ!」


 え? いや、ちょ……


「ダイスケさん、彼は一体何を言っているのでしょうか?」


「いやぁ、頭狂ったんじゃないですかね。セフィーリアさんが容赦なく撃ちまくるから」


「またまた御冗談を。返礼は鉛玉がお好みで?」


「サーセンッ」


「あ、そっか。ダイスケ、私達がコピーパルマ助けたから。あそこには本来パルマが居る設定なんだよ!」


 あ、そっか。

 つまりあいつにはエアパルマさんが見えている状態なのか。

 え? これって付き合ってやらないといけない感じ?


「多分、下手に動くとエアパルマが殺され、オリジナルのパルマさんも死ぬパターンではないかしら?」


「確定死亡か。めんどくせぇ……」


 相手が人質に取っているのはエアパルマ。実際に存在していないのだが、今下手に動いてアイツがエアパルマを殺すと、オリジナルパルマも死ぬ可能性があるのだ。

 前回僕を救って死んでしまいそうになっていたシークレットやゾンビ化したメイドさんように。


「そういうのどうでもいいので射殺してしまいましょう」


「待って、イベント以外の方法取ると倒せるものも倒せないからっ」


「ああ、そう言えばただ殺すだけでは復活してしまうのでしたね。面倒な」


 そう呟いた時だった、

 黒づくめさんの額に突如風穴が開いた。


「って、セフィーリアさん!?」


「私ではありませんよダイスケさん。なんでもかんでも私のせいにしないでくださいます? 縊り殺しますよ」


「やめて? でもセフィーリアさんじゃないとなると誰が銃を……」


 はっと、僕はそいつに視線を向けた。

 もう一人、いたじゃないか。ガンマンを名乗る銃使い。


「サボ!?」


「フッ、この距離ならば俺が外す訳ないだろう。無事かパルマ?」


 と、パルマを連れてエアパルマの元へと歩み寄るサボ。

 あの? 何してんの?


「サボ……ありがと」


 パルマさんまで!?

 あ、これもしかしてイベント?


「言っただろう、お前は俺が守ってやると」


 あ、これってもしかしてサボとパルマがくっつく恋愛物語が展開する感じ?


「あ、ダイスケ、私ちょっと砂糖吐いて来る」


「面倒ですし終わったら声掛けてください。本読んでます」


 空気を察したルーカとイリスが即座に離れる。

 こいつ等、面倒だからって会話聞かないつもりか?


「……怖……かった」


 待って、パルマずっとサボに守られていただろ!?


「大丈夫さ。君のピンチには俺が必ず駆け付ける。言っただろ。お前を守ると」


「さ、サボさんっ」


 誰にも要らない子と呼ばれ、絶望しかなかった皇女に、今、希望の光が舞い降りる。

 抱き合うサボテン男とパルマ。あの、サボテンだからさ、棘、刺さらないの? 大丈夫?

 お姫様抱っこで救出したらしいサボ。男らしい凱旋である。

 ってかサボ、お前を守るしか台詞ないのか?


 ここだけ、見ればな。

 そもそもパルマ拉致されて無かったし。なんだこの茶番。カップル誕生見せられるとか誰得?

 シークレットと付き合い始めてなかったら僕はリア充死すべしと特攻していたと思うよ?

 そして、絶望皇女は追跡皇女へと進化したのだった。

 ……? 追跡……皇女?


「サボさん、私、貴方が好きかもしれません」


「一生守ってやるさパルマ」


「本当、ですか? 本当に……ああサボ。私、一生付いて行きます。私だけを愛してくださいませ。私……だけを……」


 ぎゅっとサボに抱きつくパルマ。

 何故だろう、全身に悪寒が走ったのは。

 サボ、もしかしたらだけど、シークレット以上にやきもち焼き、いや、ヤンデレさん引き受けちゃったんじゃね?

 何も知らずにキャッキャウフフし始めるサボ。

 気のせいかパルマの絶望した瞳が依存するような狂人の瞳に変わっているような気がする。


「私、貴方と添い遂げる為なら、何でも出来る気がします」


 あ、ちょ、待って。コピーのパルマさんまで瞳がおかしくなってる。

 絶望皇女じゃなくてこっちも追跡皇女になってる!?


「大丈夫ですダイスケさん。私はサボさんに惚れたりしませんよ。オリジナルパルマにお任せです。だって私が狙っているのは……ねぇ、ご主人様?」


 ニタァっと陰鬱な笑みを浮かべるコピーパルマ。その瞳は僕をしっかと捉えていた。

 し、シークレット、なんか危険な気がします。助けてくださいッ!!

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