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血吐き、肉止まる闘い・後編

「くはははははっ! 我を倒せたと本気で思ったのか? 残念だったなァ勇者共っ」


 いや、リーハさんや、勇者居ないから。敵はただの巨大蝙蝠だから。初期も初期の敵だから。

 僕は思わず心の中でツッコんだ。

 変身を行ったリーハ。

 なんと女性体と背後のドラゴンが入れ替わるようで、巨大なドラゴン形態に成ったリーハ。これが魔王グレヴィウスリーハの第二形態であるらしい。

 全体的な容姿は翼竜。巨大な翼を羽ばたかせ翼竜リーハが巨大コーモリを見据える。


 さっきまでと違い物凄い巨大化したのでこの洞窟内では手狭になっているリーハ。翼竜の頭の上に少女型リーハの上半身がくっついている。

 うん、まぁ、なんだ。服着てくださいリーハさん。目のやり場に困ります。


 魔王グレヴィウスリーハ第二形態 Lv16

 必殺:

  星屑達乃虐殺EXスターダストディザスタージエンド

   敵全体に防御無視の超絶ダメージ。

 スキル:

  火炎ブレス

   敵全体に火属性超ダメージ。燃焼付加。

  魔王咆哮

   味方全体の戦闘能力を大幅UP。

  破絶之爪撃

   敵単体に斬属性の連続攻撃。0.8倍の攻撃力で1~6回。

 パッシブ:

  竜属性

   竜族の性質を持つ。物理攻撃半減。破竜弱点。

  魔王の矜持

   HPが少ないほど攻撃力がUP。


 だいぶ強化されたみたいだ。

 HPも完全回復するチート仕様。これは確かに魔王として充分過ぎる能力だ。

 しかし……


「せいや!」


 シオさんの攻撃が丁度剥き出しのリーハ上半身部分に飛んで行った。

 蝙蝠に攻撃しようとしてなぜそっちに!?


「ぐぎゃあぁぁぁっ!?」


 今の一撃でなんかHPガクッと減ったぞ!?

 クリティカルヒット。まさか味方に当てるとは。シオもちょっと使用を控えた方が良さそうだ。まさか味方殺しのへっぽこ騎士様だとは思わなかった。


 リーハの攻撃。

 火炎ブレスで敵を一掃。

 熱いですリーハさん。ブレスの熱波がここまで来てるぞ!?

 しかも今のでも敵ボス生き残ってるし。

 そして敵巨大蝙蝠渾身の一撃が巨大翼竜に激突した。


「ば、馬鹿な!? この我が、魔王だぞ? この我が、滅……びる?」


 蝙蝠に倒される魔王様の図……

 って、マズい、まずいぞ!? 敵のHPはもう少しで削り切れるのに既に残ったキャラは二体。

 その一人がへっぽこシオだし、もう一人は……


「節々が痛いのぅ……」


 もはや戦場に居ない方が良い重病人のケンウッドおじいちゃん。

 これ、もしかして詰んだ?


「くらえっ!」


 へっぽこの攻撃。振り被ろうと上に剣を持ち上げた瞬間、手からすっぽ抜けた剣が真上に飛び上がり、慣性に引かれてシオの頭に突き刺さる。


「申し訳ありませんマスター。守りきれませんでした……」


 教えてくれシオさん。君が守ろうとしていたのは一体誰なんだ? 味方を壊滅させて自滅するとか、それ笑っていいとこかな? かな?

 勝手に自滅して消滅するシオ。

 そして巨大蝙蝠とケンウッドしか場に残らない状態となった。


「腰が痛い」


 嫌あぁぁぁあぁ!? おじいちゃん休んでる場合じゃないよ!?

 スタンしちゃってるじゃないか!?

 当然、見逃すような敵じゃない。

 巨大蝙蝠は自身を燃焼させながら突撃。


 普通ならば巨体の突進だ。避けられる訳も無いのだが……

 キュピーン。

 大画面で見せつけられる御老体の鋭き眼光。

 ケンウッドじいちゃんがぶれて巨体突進を回避する。


「ほぃっ」


 杖を付いてゆっくりと前にでながら、

 地上すれすれで待機しながら攻撃を待つ巨大蝙蝠に杖の一撃。

 巨大蝙蝠のHPバーが1ミリ削れる。

 ダメージは1だ。


 蝙蝠の攻撃。

 キュピーン。

 爺さんぎりぎりで避けるの図。


「節々が痛いのぅ……」


 ぎゃあぁ!? 何もしてないのにHPが減った!?

 しかもスタンしたのか攻撃モーションすら行わず、蝙蝠のターン。

 キュピーン。

 じいさん、負けるな、避けろ、避けまくれッ!


 腰が痛い。きゅぴーん。節々が痛い。きゅぴーん。ごほっごほっ。きゅぴーん。

 もはやどちらも限界が近い。

 巨大蝙蝠は燃焼の状態異常の御蔭であとHPは1。

 ケンウッドじいちゃんも節々が痛過ぎてHPは1。

 何度も回避したケンウッドじいちゃんだが、さっき発動しなくてダメージを喰らっていた。

 そのせいで余裕が無くなってしまったのだ。


 残りは1ターン。ケンウッドじいちゃんからの攻撃だ。

 ここで節々が痛くなれば確実に終わる。

 何しろ既にないHPからHPが減少するんだ。


「腰が、痛いのぅ」


 嫌あぁぁぁぁぁぁぁ!?

 節々の痛みでHP減少はなかったものの、攻撃してくれなかった。

 必然的に巨大蝙蝠の攻撃に移る。


 巨大蝙蝠決死の一撃。

 きゅぴーん

 巨大蝙蝠が激突する直前、爺さんの眼光が輝いた。

 明鏡止水発動。

 さらに燃焼ダメージで巨大蝙蝠が消滅した。


「おおお、ステージクリアーっ!」


 ルーカの歓喜の声に、俺は知らず握っていた拳から力を抜いて、その場にへなへなと座り込むのだった。ありがとうケンウッド爺さん。あんたが居なきゃ勝てなかったよ……

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