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第5章を進めよう、え? 進めないの?

「そろそろ、進めない?」


 そんな提案をしたのは、なんとセフィーリアさんだった。

 あんたが暴走しなきゃもっと速かったんですがね。というのは言ってはならないことなのだろう。

 ただ、セフィーリアさんは侯爵令嬢。基本自分の事すら侍女に任せッきりで命令するしかしない人種である。

 なので我儘放題。彼女が進めと言えば嫌でも進まなければ鉛玉が飛んでくるのである。


「まぁ、そう急かしてやんなって嬢ちゃん」


「くははははは。女の我儘くらい笑顔で請け負うのがいい男だぞ小僧」


 あ、厚かましい……


「いい御身分ね。一言言えば周囲が動いてくれるんだもの、可愛い女性って特ね」


「あら、あなただって可愛らしいじゃない。言いたいことは言えばいいのよ。通らなければ実力で押し通せば大抵上手く行くわ」


 それ、一部の凶悪犯だけだと思います。

 セフィーリアさんとかセフィーリアさんとかセフィーリアさんとか。


「はて、私の気のせいでしょうか? 悪意を感じた気がします」


 すいませんっした。お願いですから銃口向けないでっ。


「で、どうするのダイスケ。あの黒づくめ追って行けば次の場所に向えるみたいだけど」


「既に次の話はタップ済みなんだよなぁ。ってことは現場まで行かないと始まらないのか」


 仕方無い黒ずくめの追跡を再開するか。


「アレを追うのですか。面倒ですね。やっぱり殺しませんか?」


 今撃っても殺せないと思います。

 そう言えばNPCキャラって殺したらどうなるんだろう。神様にメールで聞いてみるか。

 戦闘中以外で、例えばセフィーリアさんが暴走してNPC撃ち殺したらどうなるの、っと。


 そうメールした瞬間だった。

 僕らは一瞬で日本家屋へと転移した。

 うん、緊急メンテ入りました。


 どうやらNPC殺された時の処理全くしてなかった、というか想定外だったようだ。

 特に重要人物消されたら堪らないよね。

 ついでだしセフィーリアさんが味方殺した場合消失じゃなく復活するようにしといてくれません?

 戦闘中以外の場所で鉛玉ばら撒く可能性あるし。


 再度メールを送って周囲を見れば、セフィーリアさんだけがむぅっと眉間に皺を寄せている。

 ああ、これ機嫌悪そうだな。

 多分また理不尽なことしやがったな神ェとか思ってるんだろう。


「あのー、セフィーリアさんや」


「この空間に付いて、説明を聞きましょうダイスケ。貴方もそのつもりでしょう?」


「ええ。ここはメンテナンス空間らしいです」


「メンテナンス空間?」


「ソシャゲ世界の設定弄る過程で致命的バグが発生したりして僕らが進行不能状態にならないように一旦ここに隔離するそうで、メンテが終われば元の場所に戻りますんでしばし待っててくださいってことらしいです」


「つまり、それくらいの致命的な物が見付かった、と?」


「ええ」


 といいつつもそれはあんたのせいでもあるんですがね。


「嘘が下手ですねダイスケは。何を隠してます?」


 びっくーん!?

 え? なぜバレた!?


「私から視線を逸らしながらでは後ろめたいことを隠しているとしか思えませんよ。このまま黙って鉛玉をくらうか、全てを話して弾丸をくらうか選択なさい」


 あれ? それどっちに転んでも僕死なない?


「失礼。全てを話して楽に死ぬか、このまま黙って無残に死ぬか選びなさい」


「まず殺さないことから始めてください。理由は話しますから」


「……仕方ないわね。ただ、しばらくここから動けないのは確実と見ていいのかしら」


「そうっすね」


 あ、ちょっと待ってセフィーリアさん。なんで弾詰め込んでるんですか?


「え、えーとですね。先程、メールでですね、この世界の住人を僕らが殺しちゃった場合どうなるのかなーっと、疑問を神様にメールしまし……すいませんごめんなさいっ」


 言葉の途中で撃鉄が起こされる。

 ご丁寧に手にしているのはアサルトライフルではなくハンドガンだ。


「つまり、この現象を引き起こしたのは、あなた、ということですね」


「多分、あの、マジ許して……」


「ええ、許します。許しますとも。ただ、私が……」


 発砲音が一つ。それで僕の意識は一瞬途切れた。


 ……

 …………

 ……………………


「……殺すと思った時にはもう相手が死んでますけれど……あらごめんあそばせ?」


「どこの暗殺者だよ!?」


「暇だったものでつい」


 しかも自分も爆死するのに遠慮なく僕を撃ち抜いたねあんた。

 もう狂人だよこの人。


「仕方ありません。そこの方、私にもお茶をくださいませ」


「え? はぁ」


「って、シークレットにお茶の用意させないで。シークレット王女様だからっ」


「まぁ、そうだったの? でも大丈夫。王族も既に殺してるから私」


 それ、大丈夫じゃありません。

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