黒ずくめさん追ってる途中だけどガチャってみる
戻ってきました。
皇国へのワープゲートを通ると、皆が待ってくれていた。
二度目だったので動揺は無く、また消えたな。って皆で笑っていたらしい。
酷いよアニキ。あとルーカはなんかイラッと来たからげんこつ落としておく。
しっかし、あの黒ずくめ君は小脇に空気を抱えたまま何処に行く気なんだろう?
なんか気のせいか皇城に向って行ってる気がしなくもないけど。
あ、なんかメール来た。
―― 只今より外部より専門家が来られたので協力して貰います。ランダムコラボガチャが第30段まで更新されたよ ――
だから多いよコラボガチャ。
せっかくだからガチャ見てみるか。
えーっと、今回は三つの世界のガチャが引けるのか。
一つ目は二次元ゲーム世界。ファミコン世代のドットキャラ世界だな。
ここの世界とはまったくもって合わないんだけど、逆にこのキャラクターがこの世界に現れたらと思うとちょっと気になる。
二つ目はモブキャラ世界。世界中の住民の顔がモブっぽい顔のようだ。確かにヒロイン張れる顔じゃないなジト目ヒロインというよりは根暗モブさんと告げられた方が納得できるキャラだ。
なのに☆5という……主人公っぽい奴なんか目が無いじゃん。目隠れでもないのに目が書かれてない不思議。イケメン? 眼無しキャラとか仲間になってほしくないなぁ。
三つめは逆に厳ついおっさんたちのオンパレード。
筋骨隆々なむさいおっさんが重器というか鈍器持ってサムズアップしていた。
☆5キャラはドット勇者エリン。ドット姫リリアラ。ジト目モブヒロインハルコ、ギャルゲ主人公ヒロキ、親方ダイサク、大統領シュヴァイツァーの六人。
☆4はドット戦士ヘレン、丸目ヒロインユイカ、孤狼傭兵ゼルフマンジュニア。
うん、見事にこの世界に合ってないキャラばっかりだ。
親方ダイサクさんとかどう見てもドカタのおっちゃんじゃないか。安全第一の帽子を首に掛けてるぞ。手に持ってるのはどう見てもツルハシだし。
とりあえずガチャってみるか。
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おぅ。俺の助成が必要か坊主」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「……私なんかに構ってもいいことないわよ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「くははははは、俺を呼んだか小僧!」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「うぉれぇぇぇわぁぁぁ、オマエだぁぁぁぁぁ!!」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Eだぁ」
「尻に代わって、お仕置きお!」
☆5が四つも出た。
ジト目モブヒロインハルコ、親方ダイサク、大統領シュヴァイツァー、そして魔法中年タラッシュ。
いや、待とう。ちょっと待とう。
なんか変な物体出たぞ?
ジト目でモブ顔のヒロインらしいハルコさんはまだいい。強いかどうかはさておき女の子なら一緒に居るだけでも華があるから。
ダイサクとシュバイツァーさんは厳ついおっさんだけどその分頼りになりそうだ。
だからいい。
問題はもう一人。
金色の髪をお団子にして余った髪をツインテールとしてお団子から垂らしている。
体重はゆうに100を越え、セーラー服にスカート、青い髭とゲジ眉と大根足に無造作に生えた脛毛。そしてポージングした彼はロリポップなロッドを天空に掲げ華麗に決めていた。
キモいわっ!?
なんだこれ、ナンダコレ!?
神様、これ何処のコラボ!?
―― ダイスケ君、それコラボキャラじゃなくこの世界の住民 ――
嘘だろ!?
嫌だ。こんなイタいだけの存在が同じ世界に居るなんて。
これからよろしくだお。じゃねぇよ!? 裏声で話すなっ。なんか全身から変な汗噴き出した上に鳥肌塗れで総毛立ったわ。
速攻ストックに叩き込みました。
「ふふ。何今の生物。珍妙ね」
セフィーリアさん的にはアリなのかあの生物。
物珍しいから見る分には楽しいそうだ。
僕の精神が持たないから、見てない場所でストックから出して話し合うくらいだったら好きにしてください。
そしてガチャ画面を一旦閉じて再度ガチャ画面を開いた時、それに気付いた。
ランダムコラボなのでさっきとは別のコラボガチャに代わってる。
そう、ダイサクたちはまさに一期一会。いや、ランダムだからまた出てくるだろうけどさ。
しっかし、これはヤバいな。ほしいガチャキャラ見つけちゃったらその時に注ぎ込まないとランダムだからいつ出会えるかも分からない。
しかもそのうえガチャだから確率で出会える以外可能性も皆無……よくよく考えると酷いな。
当たる確率がさらに低くなった気分だ。
これはさすがに抗議すべきか?
でもコラボガチャが多過ぎるからランダムで入れたんだよな。今は何度かガチャ画面更新すればいいけど……あ、そうか。更新ボタン付けるように伝えればいいのか。
目からウロコの思いつきに、僕は即座にメールをするのだった。