血吐き、肉止まる闘い・前編
今回戦闘に参加するのはリーハ、シオ、リーシャ、村人A、ケンウッド、そしてサポーターのヘイグルさんだ。
敵は? 洞窟だからか蝙蝠さんですね。
蝙蝠二体との戦闘。
うん、過剰戦力な気がしなくもない。
ただ、蝙蝠の速度が速いようで、彼らからの攻撃になってしまっているようだ。
コマンド戦闘指揮は行わず自動にしたら敵から攻撃を始めていた。
しかもNPCに。しかもNPCに。重要なので二回言ってみる。ちょっと古いか?
「クソ、皆、後を頼む……」
蝙蝠の攻撃二回で散ったッ!?
オイ案内役っ!?
初めは勇者っぽいかなって思ったけど予想以上にポンコツだよこいつ。
やはりレベルが高いためかリーハの一撃が蝙蝠を撃破する。
シオの攻撃、何も無い場所でずっこけて剣がすっぽ抜ける。
前にいた村人Aのお尻に突き刺さった。
「あおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
村人Aの哀しい悲鳴が響く。
「あら良かったわね綺麗な女性に初めて奪ってもらえて」
リーシャさん毒吐かなくていいから闘って。
というかどういう意味?
「うぅ、腰が痛い」
そしてお爺ちゃんがんばって。
腰曲げてぷるぷる震えてるの見ると老人虐待してるみたいだ。
違うんだよケンウッドさん、僕は貴方に期待してるんです。
そして次ターン。そのケンウッドさん向けて蝙蝠の急降下。
体当たりの瞬間だった。
僕の視界にキュピーンと右側から出現するケンウッドさんの目元だけアップ画。
すると視界の先で蝙蝠の攻撃がスカる。
今の、絶対ケンウッドさんに当る軌道だったのに、一体何が起こった!?
「ふぅ、老骨には堪えるわい」
無傷で生還したケンウッド。今のが明鏡止水かな?
どうやら敵の攻撃を確実に避けられるスキルみたいだ。
遅れ、スカった蝙蝠に振り下ろされる魔王の爪撃。
敵全滅。と思ったのもつかの間、そのまま別の蝙蝠が三体現れる。
WAVEが変わったようで、蝙蝠三体からの連撃が始まる。
一撃目はリーシャ。
「きゃぁ!? 何すんだこの腐れコウモリがァッ!」
二撃目はリーハに。しかし華麗に避ける。
「喰らってはやれんな」
そして三体目の攻撃。村人Aに直撃。
「だから……オラ闘いなんざできねぇっつったっべ……」
村人A、死亡。
カラン、とお尻に刺さっていた剣だけがその場に落下する。
これ、シオのせいでHP減ってた所にダメージ受けたせいなんじゃ……
「そこだ!」
リーハの一撃が蝙蝠一体を撃破。
しかしシオもリーシャもケンウッドも攻撃を外す、というか、リーシャとケンウッドは攻撃しろよ!?
蝙蝠たちの攻撃、二体揃ってケンウッドさんに攻撃。
刹那、僕の視界にケンウッドの視線ドアップ二連続。
スカスカっとケンウッドをすり抜ける蝙蝠たち。
アイツ必殺スキル発動しまくってる。ぷるぷるしてるのにっ、がんばれお爺ちゃん。
「せいや!」
リーハだけが必死に敵戦力を減らしてくれる。
御蔭で残り一体。
しかし、ここで蝙蝠の攻撃がリーシャを捉えた。
「あ、わ、私、そんなつもりじゃ……」
多分だけど、毒を吐くつもりじゃなかったと言いたいのだと思う。それが最後の言葉であった。
「ふぉっ」
お爺ちゃん頑張った。
ぷるぷるしながら突き出した拳が体当たりを終えて飛び立とうとした蝙蝠を直撃。
蝙蝠を全滅させた!
「良し終わ……」
「まだ最終WAVEが残ってるわよ」
僕が終わったと思った次の瞬間ルーカから指摘が入る。
そして新たに現れる巨大蝙蝠一体と蝙蝠二体。
これ、ヤバいんじゃね?
「喰らえッ」
破絶之爪撃発動。巨大蝙蝠のHPバーが削れていく。
巨大蝙蝠は体力が多かったから気付けたけどさ、蝙蝠の方にもちっこいHPバーが頭上にあるじゃん。今気付いたよ。
蝙蝠二体が攻撃。
シオが二撃とも受けてHPバーががくんと減った。
さらに巨大蝙蝠が動く。
「ぐぅっ!? 雑魚が粋がりおって!」
リーハにダメージが入り五分の一くらいHPバーが削れた。
レベル16でも結構キツそうだな。これが第二話とか明らかに過剰戦力だろ。運営に文句言わないと。
続くシオの攻撃。つんのめったことで剣が吹っ飛びリーハに大ダメージ。
「ぐはっ!? 背中から攻撃、だと!?」
シオさーんっ!? レゴウだけじゃなくお前も敵の潜伏兵か!?
「すまん、許せ」
「ブチ殺すぞクソ女ッ!」
怒鳴りながらも魔王様が敵を攻撃。巨大蝙蝠のHPを五分の三まで減らす。後三回ダメージ与えれば勝てるか?
しかし、蝙蝠二体と巨大蝙蝠の攻撃で瀕死に。
「せいやっ!」
蝙蝠一体が珍しくシオが振るった一撃で切り裂かれる。
それだけならよかったものの、剣はすっぽ抜けリーハの腹に突き刺さる。
「馬鹿な、我が……」
またリーハが死んだ!?
しかし、今度は即死ではないためリーハは死滅することなく変身が始まる。
魔王は二度死ぬのである。




