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11、幼馴染み





 再会したリリアナと婚約者シャールカ。二人と一通りの魔物退治を終えて、日の上がり切った街道を歩いて戻る。


「無事終わって良かったなー」

「はい」

「だねー、私の方も付き合わせてごめんね」

「いや、見学してるだけだったしな……」


 シャールカもリリアナも強すぎじゃないか? 生身のオレじゃ手も足も出ないレベルだぞ?


「いやぁ……まさかあんなデカいオークが一回の攻撃で両断とはなぁ……」

「え? 駄目だった?」


 少し前を歩いていたリリアナが、くるりとこちらを向いて、後ろ向きに前へと進み始める。

 最初の赤面はとっくに収まっていて、今はいつも通りの笑顔だ。


「強いなって思っただけだ」

「ね、すごい? すごい? また誉める?」


 速度を落としてオレに並び、大きな目で下から覗き込んでくる。


「ああ、すごいよ、賞賛する。頑張ったんだな、リリアナ」


 その得意げな様子の幼馴染みに、在りし日の出来事を思い出して笑みが零れる。


「やった! ありがとヴィル!」


 嬉しそうに胸の前で二つの拳を軽く握る姿は、ホントに子供の時と変わってないように見えた。

 しかし、どうするか。

 上手い具合にリリアナと合流できたのは良い。丁度一人で、周囲に仲間はいない。

 彼女を捕まえてどっかに閉じ込めておく間に、他を倒すか? いや、オレより強いヤツをどうやって拘束するんだ。

 いや、前回の戦いで称号持ちじゃない男が二人ほどいたな。そいつらを捕まえて遠くに呼び出し、その間に賢者や竜騎士を殲滅する方が賢いか。あの初老の冒険者なら手強くともEAの敵じゃないしな。


「どうしたの? ヴィル。何か難しい顔してるけど?」

「いや、意外と早く済んで良かったなって」

「そう? でもヴィルと遊べて良かったぁ。楽しいね。何か昔みたい」


 大して離れた場所でやってたわけじゃないので、すぐにドリガンの町が遠目に見えてきた。

 笑顔で鼻歌を歌いながら歩くリリアナに、


「そういえばお前、引っ越した後、どこにいたんだ?」


 と問いかける。

 リリアナとは何度か手紙のやり取りをしたのだが、送り先は帝国領内の東方にある都市だった。


「え、あ、うん、お父さんのお仕事に色々ついて回ってね……」

「それでこっちの手紙が、お前に届かなかったりしたのかもしれないな」

「ご、ごめんね、ヴィル……」


 しゅんとした顔でうつむいて、リリアナは悲しそうに目じりを落としていた。


「いや、手紙が必ず届く保証なんてないしな。しょうがない」


 肩をすくめ、ため息を吐く真似をする。しかしリリアナの気は晴れないようだ。本当に申し訳なさそうにしている。


「あの」


 オレを挟んで反対側にいたシャールカが、リリアナに向けて声をかけた。


「な、何かなルカちゃん」

「今はどうして、このドリガンにいらっしゃるのですか?」

「あー、うん、えっと護衛のお仕事でここまで。ヴィルにしか言ってなかったね」

「おひとりで?」

「ううん、一応、仲間がいるよ」

「その中の人とご結婚などはされてるのですか?」


 他意のない質問だと思いたい。

 ちらりとルカの顔を横目で視界に入れれば、特に表情に変わったところはない。いつも通り、リダリア語で言うところのクールビューティというヤツだろう。よく知らんが。


「け、結婚なんて! ううん、してないしてないよ!」


 しかしリリアナの方はといえば、両手を振って一生懸命に否定している。

 いっそ結婚でもしてくれてたら良かったのに。

 おい、なんでオレをちらっと見るんだリリアナ。まだヴィル離れができてないのか、お前は。

 目線でやりとりをしていると、ルカがしれっとした顔で、


「そうですか、まあ私はヴィル様と結婚しますが」


 と蒸し返してきやがった。

 こいつはなんで朝一で終わった話題を、わざわざ掘り返してくるの?


「え。それはヴィルが違うって朝……」

「ヴィル様はそうおっしゃいますが、私は納得していますので」

「どっちなの!?」


 オレが知りたいよ……。


「まあ、平たく言えば親は盛り上がってるが、オレはその気がない状態だ。さっきも言っただろ?」


 そうとしか言い様がない。

 オレとしては、無事に真竜諸島共和国に乗り込めれば良いのだ。

 この言い分は全く嘘でもないので、シャールカも何も言わない。彼女の仕事はオレをその気にさせることだろうしな。

 困った様にやれやれとため息を吐くオレと、すまし顔のまま前を見て歩くシャールカ。

 そして困惑した様子でオレたちを交互に見比べるリリアナ。

 妙に喉が渇く会話だったので、木製の水筒を取り出し、中に残っていた果汁を喉に流し込んでいった。

 もう、ドリガンの町の入り口が大きく見えている。乾いた煉瓦で作られた防壁が、陽炎の向こうで揺らめいていた。


「……そ、そういえば!」


 隣の金髪の幼馴染みが、急に何かを思いだしたように人差し指を立てる。


「なんだ?」




「アレンカおねえちゃんは結婚したの? 五つぐらい上だからしてるよね?」




 そんな一言を告げる。


「え……?」


 オレもシャールカも驚く。

 敢えて話題に出さないようにしているだけだと思っていた。


「知らないの……?」

「え、うん、私、戦争の前にあの町離れちゃったし……どうしてるかなって」


 明らかに雰囲気が変わったシャールカの様子に、リリアナが怯えるように身を引いた。

 歳は上からドゥシャン、イゴル、アレンカ、ブラニスラフ、リベェナ、オティーリエ。その下にオレとリリアナ。

 今、生きているのはオレとリリアナだけだ。


「みんな無事で……町が復興されたら戻ったって……お父さんに聞いたから、もう結婚しててもおかしくないよね、ア、アレンカお姉ちゃんも。お兄ちゃんたちはどう? 子供とかいる?」


 バキンと何かが壊れた。


「ヴィル様?」

「ヴィル……?」


 壊れたのは、オレが持っていた木製の水筒だった。自分で握りつぶしてしまったらしい。

 ……リリアナを悲しませないように、リリアナの父親が嘘を吐いたのか? それでリリアナは何も知らずに、真竜諸島共和国の奴らの護衛を冒険者としてしている?


「だ、大丈夫!? ヴィル?」


 慌てたリリアナが、オレの元へハンカチを取り出して近寄る。


「あ、ああ……大丈夫だ。そう……だな。アレンカはまだ結婚してないな。行き遅れに片足を突っ込んでるな」


 ハハッと笑う。

 いつもお姉さんぶってた一人っ子のアレンカは十三歳のままだ。ずっとずっと十三歳のままなのだ。

 結婚は成人の十五歳からだ。

 だから、彼女は結婚など出来るはずがない。


「そう……いえば、リリアナ。父親は何をしてるんだ?」

「え、うん、えっと、行商……人だよ? 今の護衛もお父さんの護衛も兼ねて……」

「そうか。大変だな。しばらくこの町にいるのか?」

「えっと、一応そのつもり。ヴィルたちは?」

「オレは引き続き、バカンスついでに路銀稼ぎだな」


 何とか上手く笑えた気がする。


「そうなんだ! じゃ、じゃあ、泊まってる宿教えて! ヒマが出来たら会いに行く!」

「わかった。宿の名は」


 シャールカと一緒に取っている宿の名前を教えた。

 こうして、オレたち三人の楽しい魔物退治は終わったのだった。





「じゃあ、またね、ヴィル!」


 報告を終えた後、冒険者ギルドの前で、手を振りながらリリアナが走り去って行く。

 オレとルカもまた、軽く手を振りながら見送った。


「ヴィル様」


 視線をリリアナの背中から離さず、ルカがオレに話しかける。


「何だ」

「リリアナさんのお父様とやらが、怪しいことがわかりました」

「そうだな。真竜諸島共和国の連中と関わりがあるようだ」

「これでは、リリアナさんを彼らから引き剥がせません」

「そうだな。でもとりあえずは」

「はい」

「探すぞ、リリアナの父親とやらをな」


 何も知らない少女の後ろ姿が見えなくなっていった。






 ■■■




 夜、オトマル・アーデルハイトは宿屋の部屋に一人でいた。

 賢者セラフィーナや老冒険者メンシーク、それに竜騎士エリシュカは酒場に繰り出していた。皆、ストレスがかなり貯まっていたようだった。

 無理もないと思いながら、オトマルは一人、自室でワインを呷っていた。

 彼は荒事ができる連中のように、酒場で酒を飲んで酔っ払った姿を誰かに見せるのは好きではなかった。

 娘のリリアナはといえば、宿屋の裏にある納屋で、竜車を引く走竜たちの面倒を見ている。

 そういうわけで、昼間は騒がしいドリガンの町も、彼の部屋の周囲は暗く静かであった。

 ギイと木製の扉が開いた音がする。


「リリアナかい?」


 蝋燭の灯火だけの部屋で、娘が帰ってきたのかと声をかけた。

 しかし返答はない。

 おかしいな、と立ち上がろうとしたとき、背後から口を塞がれ首筋に刃を当てられた。


「静かにしろ」


 押し殺した男の声に、オトマルは身を固くし恐怖した。


「他の連中はいるのか? いなければ一回だけ小さく頷け」


 そう脅され、オトマルは小さく頷くしかできなかった。

 そして無理矢理背後から引っ張られ、壁沿いに押しつけられる。

 首筋には再びナイフが押し当てられていた。


「ひっ」

「静かにしろ。貴様が真竜国と関係のある人間だとはわかっている」


 間近で見た侵入者は、フードを被っていて顔は見えない。

 オトマルが命の危険に怯え、何も反応できないでいると、侵入者は、


「声を上げればすぐにお前の首を搔き切って逃亡するだけだ。良いな?」


 と念押しの脅迫をしてきた。

 オトマルは先ほどと同じように首を縦に振るしかできなかった。


「お前の名は?」

「お、オトマル、アーデルハイト」

「そうか。ではオトマル。貴様は開戦前に帝国から脱出したな? なぜ奴らが攻めてくるタイミングを知っていた?」

「せ、聖龍レナーテ様に」

「レナーテ、またあのトカゲか。なぜ貴様はレナーテと繋がりがある?」


 そこで初めて、オトマルはゆっくりと首を横に振った。


「そ、それは言えない」

「言え」

「い、言えない」

「なぜだ? ここでお前が喋っても伝わることはない」

「そそそ、そういうことじゃない」

「……娘か」


 侵入者の言葉に、思わず息を飲んでしまう。これでは肯定したも同じだった。


「……聖龍レナーテ。レナーテはその人間が称号持ちであるかどうか見ることができるという。お前の娘は」


 なぜか、侵入者が言葉をそこで切った。

 恐れるかのように、唇を戦慄かせていたのが見えた。


「勇者、なのか」

「ち、違う! あの子は普通の子だ!」

「騒ぐなバカヤロウ」


 娘をかばおうとして思わず叫んだとき、侵入者の凶刃が喉をわずかに傷つけた。


「勇者なのか、違うのか?」


 さらにぐっと刃が押され、出血量が増え始める。そこに感じる殺気に、オトマルは身を震わせ、


「……そ、そうだ」


 と観念して呟いた。


「……娘はなぜ、貴様と同行している?」

「し、真竜国に戻るため……」


 観念したのか、オトマルは言葉を続け始める。


「貴様の役割は?」

「EAの……開発」


 そこでドアが激しく音を立てて開いた。


「お父さん!」


 肩にかかる金髪を振り乱し、一人の少女が乱入してきた。

 侵入者はオトマルの腹にナイフを突き刺し、娘の方に蹴り飛ばす。


「この!」


 娘は抱き留めた父が、腹に大きな傷を負ったことに気づく。

 侵入者を追いかけようにも父は置いていけない。

 迷う間もなく、侵入者は窓から飛び降り、暗闇の中に消えていった。






 ■■■




 オレは路地裏で脱力し、壁にもたれかかって空を仰いだ。


「リリアナが……勇者だと?」


 つまり、真竜国の聖龍レナーテは、戦争の前に勇者であるリリアナを自国に連れて来させた。

 リリアナは何も知らず、そう何も知らずにだ。

 幼馴染みたちが真竜国たちに殺されたことも知らず、勇者として、EAを連れて帰途についてるって言うのか?

 ……どうしたら良い……。

 クソが。

 オトマル・アーデルハイトが全ての情報を止め、オレからの手紙が届いてなかったのも、アイツのせいで……。

 ああ、そうか。

 道理で手応えがないと思った。こないだ、長い金髪の冒険者を叩き斬ったが、あいつは何も関係のないただの冒険者だったのか。

 そして、あの強奪作戦のとき、乱入してきた金髪の女は、リリアナだったのか。

 殺さなくて良かった。そう思えば良いのか?

 違うだろう?


「ヴィル様」


 路地に潜んでいたオレを見つけたのは、シャールカだ。


「……ある程度理解した」

「とりあえず、ここから立ち去りましょう」


 リリアナに真実を告げれば、離れてくれるか? いや、父親の言葉だぞ? 真実を確かめるのだって時間がかかる。

 そもそも、あいつがただ父親について護衛をしてるだけなら良かった。

 聖龍レナーテ。

 真竜諸島共和国の象徴である知性ある古竜。その力は人間など塵芥で、その目は人間に見えないものを見通すという。


「なあシャールカ」

「……はい」

「リリアナを、助けなきゃな」


 変わらない。そうだ。

 変わらないじゃないか。

 でも他は殺さなきゃいけない。

 殺す。

 殺すだけだ。

 リリアナは生かす。何としてもだ。勇者であろうが、帝国に刃向かっていようが関係ない。

 年上は年下を助けなければいけない。

 アイツらに教わったことだろ、ヴィル。だからオレは生き伸びた。命が残った。

 ああ、くそ。

 くそったれ。

 ならば。

 ならば、リリアナが称号持ちの一人として、帝国に刃向かうのならば、オレはそれでもリリアナを守らなければならない。

 そうか。せめて、真実だけは告げようか。

 それで変わるかもしれないじゃないか。リリアナがアイツらについていかなくなるかもしれない。


「ヴィル様……」


 座り込んだオレの頭を、ルカが撫で続けていた。







「リリアナ」


 翌日、オレはリリアナが泊っている宿屋の近くで、彼女を呼び止めていた。


「ヴィル! 今日も魔物退治に行くの? 一緒に行ってもいい!?」


 肩に掛かる一房の金髪は、朝日に輝いていた。

 大きな目はどこか幼い頃の面影を残していた。でも、一人の少女から大人の女性へと変わろうとしている途中かもしれない。身長だって大人のそれだ。


「……どうしたの、ヴィル? 暗い顔をしてる……大丈夫?」


 リリアナはオレの顔を心配げに下から覗き込んでくる。


「教えなきゃ、いけないことがあってな」

「教えなきゃいけないこと? なに?」

「アレンカな」

「アレンカお姉ちゃん?」


 唾を飲み、オレは俯いた。


「死んだんだ」

「え?」

「アレンカだけじゃない。ドゥシャンもイゴルも、ブラニスラフも、リベェナもオティーリエだってな、死んだんだ。北西三カ国連合に殺された」

「……どういうこと?」

「あの日、ヴレヴォに三カ国が攻めてきたとき、死んだんだ。オレを逃がすために」


 リリアナが唖然としていた。

 オレの言葉が信じられないのだろう。


「……お父さんはみんな無事だって」

「無事なわけないだろ……オレが生きてたのだって奇跡だ」

「そんな……嘘でしょ? ねえ、ヴィル?」


 虚偽であれとすがるリリアナに、オレは二の句を繋ぐ。


「リリアナ、オレな、お前が何をしてるか、何となく知ってるんだ」

「え?」


 唇を戦慄かせ目を見開いたリリアナが、オレに問い詰めようとした体勢のまま、硬直する。


「帝国に刃向かうな、真竜国に味方するなんてやめておけ。奴らは、アイツらを殺したんだ」

「ヴィル……なんで?」


 突っ立ったままのオレの言葉で、リリアナが一歩後ずさった。


「すまん、それは言えない」

「でもヴィルは……魔物討伐する兵士なんだよね?」

「ああ」


 短く答えたオレの嘘に、リリアナは胸に手を当てて安堵のため息を吐く。


「そっか……良かった」

「良かった?」


 思わず訝しげに眉間を顰めてしまう。

 どういう意味だ?


「ヴィル……ヴィート・シュタクって知ってる?」

「ああ」


 知らないわけがない。オレの別の顔なのだから。


「私ね、彼がやった二王国千人殺しの後を見たの」

「……そうか」


 それは、オレがやった復讐の跡地。あと一カ国で完成する人生の最大目標の過程である。


「私、真竜国にお世話になってたの、嘘ついてごめんね……それに」


 瞼を閉じ、まるで懺悔をするかのようにわずかに顔を上げた。


「真竜諸島共和国や他の二カ国が、私たちの幼馴染みを殺した……。ヴィルが言うなら、本当なんだよね。きっと、真竜国のみんなも罰を受けなきゃいけないんだと思う。知らずに過ごしていた私も、黙っていたお父さんも。……でも」

「でも?」

「やっぱりヴィート・シュタクだけは、止めようと思うの。私、戦うのとか嫌いだけど、あんなことが真竜国でも起きるなら、何もかもが殺されてお墓に入ることすら許されないのなら、止めなきゃって」


 胸に当てていた拳を握る姿は、まるで許せない何かに爪を立てるかのようだった。

 リリアナは八歳までは帝国で過ごして、そっからは真竜国で聖龍レナーテに勇者として可愛がられていたんだ。そういう考えに辿り着くのもわかる。

 だから、これだけは聞きたくないが聞かなければならない。


「ヴィート・シュタクを殺すのか?」


 オレの問いに、リリアナは悲しそうに笑って、


「それしか、彼が止まらないなら」


 と泣きそうな声で言った。




 ああ、そうか。

 敵なのか。お前は。リリアナ・アーデルハイト。たった一人残った幼馴染みは、オレの復讐を邪魔しようというのか。

 例え殺すことになっても、あの復讐を完遂させないためにもヴィート・シュタクを止めると、決めたんだな。




「ごめんね、ヴィル、色々と嘘をついてて。みんなに、私の代わりにお花を供えてくれたら嬉しいな。もし色々終わって、落ち着いたら、また、会おうね」


 何かを胸に押し込めたような笑みを浮かべた後、リリアナが手を振ってオレの元から走り去っていく。




 オレは何も返せずに立ち竦むだけだった。






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ヴィート「リリアナと白いEA どこにいった?」 オトマル「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
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