あの頃は。
はずむっ
はずむっ
こころがはずむ
そう、そう。
あの頃は、よかった。
社会への懐疑心もなく
絶対的な常識もなかった。
人は咲う。
花開くその笑顔がいつか枯れてしまうのかと恐れていた。
人は呵う。
ただただ、無意味に、がむしゃらに、大口を開けていた。
人は哂う。
何も考えずに無性にこぼれ出たその笑顔が大好きだった。
しかし、人は変貌する。
言葉、想い、経験、行い
ぞれぞれが、スクランブル交差点を歩く人々のように、互いにすれ違い、時にぶつかりながら
丸かった私たちは、やがてごつごつとした石になる。
見える世界も、狭まり、いずれ、あの頃は見えていた光の道筋を見失う。
こころも、からだも、疲れ果てた。
恨みはない、未練もない、
でもあえて言うなら、あの頃の私が、
ひどく、ひどく、ネタマシイ。
ネタマシイ。