二年前〜幸せな二人〜
「ねえ、堆賀?もう帰ってる?」
俺の部屋の前で声をかけてきたのは姉だった。
「いるけど、なんか用?」
俺がドアを開けると、そこには姉だけでなく、姉の彼氏もいた。何度かあったことはあるが、まだちゃんと話した事はなかった。
ちなみに俺の姉の名前は、娌美。
その彼氏の名前は、祐也さん。祐也さんは背が高く、誰が見てもイケメンと言える顔立ちを持っている。性格はどんな感じなのか知らないが、見るからに良い人そうだ。
「堆賀くんだよね。娌美からよく話は聞いてて、今日はちゃんと挨拶にきた。すんげえ、赤髪だなっ」
祐也さんは俺の頭を触り良い笑顔をしていた。やっぱり立派な大人だなと俺は思った。
「姉貴のことよろしくっす」
一応俺は祐也さんに頭を下げた。
「ふっ、俺も高校生の頃ってチャラチャラしてたな〜」
俺のチャラい姿を見て祐也さんは懐かしんでいた。
祐也さんと娌美は俺の部屋に入り、やたらとはしゃいでいた。俺にお構い無しの二人は恥ずかしむことなく、いちゃついていた。
「堆賀さ〜、彼女とかいないの?」
いきなり娌美はニヤニヤしながら質問してきた。
「いねえよ」
俺がめんどくさそうにこたえると娌美はつまらなそうな顔をして俺を睨みつけてきた。
「もしかしてさー、女の子で遊んでたりしないよね?まさかね。あたしの弟がそんな事するわけないかー」
娌美の言葉に俺は思わずため息をつく。
「けど、堆賀くん相当モテるだろ?モテるのもモテるので大変だよなぁ。女が嫌になるよ」
祐也さんの言葉に俺は頷いておいた。
「そうっすね」
「まあさ、いつか良い人現れるといいけどねっ」
娌美は満面の笑みでそう言うと、祐也さんを連れて部屋を出て行った。一体何しに来たのか。
「良い人なんて現れないよ」