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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とあるサイトの暗い森の写真

作者: 菘川 八代

 私は、生きているのかな?それとも、死んでしまったのかな?...わかんない。ここはどこ?真っ暗だな...そういえば体が重い。痛い。なんでだろう?

何があったんだっけ?なんでこんなところに居るんだろう?腕を伸ばしてみても何も当たんない。思い出せない。なんで私は思い出せないのかな?私ってこんなに馬鹿だったっけ?

 あ、そういえば何かを思い出すときは思い出したい時よりも前のことを振り返ればいいってどこかのサイトに書いてたな...


 確か、私は友達のアキとユリと一緒に学校で都市伝説の話をしてて、「あるわけないよね」って言い合っていたらクラスの大人しい子が「あるよ?その話。」って言ってきてビックリしたけど面白そうだから詳しく聞いたけど全然教えてくれなかったんだっけ...

 それで腹が立って私たちは放課後に私の家でスマホでサイトとか回って詳しい詳細を探してたら変なページに飛んでそれから....それ....から...こんな真っ暗なところに....?いや、違う。もっとこう・・・何かあったんだと思う...


 そうだ!思い出した!!変なページに飛んで、そのサイトには暗い森の写真に...その写真の木にいろんな人が首を吊っていたり木に体を貼り付けられていたんだ....それでみんな気持ち悪がってサイトを閉じようとしても何度も何度も飛ばされて、スマホの電源を消しても電源が付いて...またサイトに飛んで...

 何回もその繰り返しだったんだ...そしたらだんだん写真の真ん中に赤い文字で「何デ閉ジヨウトスルノ?」

って文字が出てきて...消えたと思ったらまた別の言葉がどんどん書かれていったんだ...「私ヲ見ツケテクレタンデショウ?アリガトウ」「アレ?何デマタ消ソウトスルノ?」「無駄ダヨww」「アキラメナッテ」

「・・・・」「私ノコト、嫌イ?」

 もう逃げられないと思って電源を落としたりするのもあきらめて、スマホを投げて壊そうと腕を振り上げた時だった。

 「駄目ダヨ?大事ナケータイ壊シチャ」

 と後ろから私の肩に両手を乗せて、そう耳元で囁いた「それ」は後ろを振り返っても何もなく、ただ私の部屋の壁だけが見えていた。

 アキもユリも怖がって帰ろうとしたんだ。なのにドアが開かなくって、2人が私に「早く出してよ!悪い冗談はやめて!!」って叫んだんだ。

 そしたらまた「それ」が2人の肩に手を当てて、「駄目ジャン。ケンカシチャ。仲良クシナイト」と言った後、続けてこう言ったんだ...「ワルイコタチダネ~。ソウダ!ジャア場所ヲ変エヨウカ!!」

 そう言った瞬間、私たちはその写真に写っていた森に来ていた。写真とは違い、実際に見る森は思っていた以上の地獄絵図で、体がばらばらになった人も居た。

 私たちは震えるしかなかったんだ。そんなことお構いなしに「それ」は話しかけてくる

「ヨウコソ!!イイ所デショ?ココダトネ!私ノ姿ガ見エルノヨ!!」

 声のする方を見ると、可愛らしい白のワンピースを着た黒い髪の少し長めの小さな女の子が楽しそうに木にぶら下がっている死体を揺らして遊んでいた。

 するとユリが「何コレ...こんなことして...狂ってるよこの子」と言った瞬間。女の子の表情では笑っているものの、目は笑っていない状態でユリに言った。

「狂ッテナンテナイヨ?ユリチャン。コノ森ノ主ハ私ナンダヨ?私ノスルコトハ普通ナノッ!ダカラユリチャン。次ハソンナコト言ッチャメ!ダヨ?」

 はっきりと「次は無い」と言った彼女はそう言ったあとまた死体をバラバラにしたりして遊んでいた。


 そのあとのことを思い出そうとすると、体が震える。思い出したくないと脳が痙攣を起こして痛い。

ただ、ボウッと出てきた映像は、アキは足と腕を切られて泣き叫んでいた。その五月蝿さに絶えられなかった少女はアキの舌を切った後に、声帯も切ってしまったこと。そして、ユリは逃げていたけどすぐに捕まって指の骨を順番に折られていき、声にならないほどの叫び声を出していた。そして、少女は最初は面白がっていたものの、すぐに飽きて、腕、足、首の順に釘を打って木に貼り付けていた。

 そして、私のところへ寄ってきた少女は私の耳元で「アナタノオトモダチ、コロシチャッタ」と笑っていた。そして、私は目を抉り取られ、恐らく耳も切り落とされて何も見えない、聞こえないようにされた。

 たぶんその後気を失ったんだと思う。

 じゃあここはどこ?何かが当たっている感覚も無いし死んでしまったとしてもなんでこんなところに?

そう考えていると、直接脳に声が聞こえた。

 「オネエチャンタチ、ヨカッタネ!!

  私ウレシイ!!オネエチャンタチモウレシイデショウ?

  ネエ~?聞イテルノ~??ア、ソッカ~皆ノ声帯切ッチャッタカラ答エラレナイヨネ~

  ア、ソウソウ、続キネ。マア簡単ニ言ウト、

  オネエチャンタチハコノ森ニイル皆ト一緒ニナッタヨ!!

  今度ハドンナ子ガクルノカナ~??

  私トッテモ楽シミナノ♪」


 そのあとはなにも聞こえない。ただただ体が揺れている感覚に襲われて、吐き気がする。揺れが収まったと思ったら、まだ血が流れているであろう目をグチャグチャと抉られて痛い。首を吊り下げられたのか苦しい。

 痛い。苦しい。普通なら死んでいるのにどうして死ねないの?なんで?

 「ア、教エ忘レテタケド、ココハ森カラ出ナイ限リ死ネマセ~ン

  マア関係ナイヨネ!」

 そっか...もう、私の残った人生は、ずっとずっと痛みを苦しみだけなんだ。

 アキとユリもきっと私と同じ状態なんだろうな。

 調べるんじゃなかった。あの時腹なんて立たなければ。でも、なんであの子は知ってたんだろう?

もういいや。もう終わったんだし。知ろうとしたってもう何も無いんだし。


 しばらくすると、あの子の嬉しそうな声と少女の声が聞こえた気がした。

「やっぱり、人って都市伝説の話は好きね。私が詳しく知っていそうなことを言うとすぐに教えて欲しそうにしてくる。そして詳しく教えなかったら自分たちで勝手に調べてくれるんだから。いいカモが多くって嬉しいわ」

「イツモアリガトウネ!!オネエチャン!オネエチャンガ言ッテクレタヨウニオネエチャンヲ外ニ返シタラコンナニイッパイ来ルンダモン♪次ノターゲットッテドンナ子ナノ?」

「それは秘密よ。知らないほうが面白いじゃない」

「ソッカ~!!ソウダネ!ジャア知ラナイママデイイヤ」

 利用された。あの子は自分が生き残るために生贄を捧げていたんだ。許さない。

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない


「騙されるほうが悪いのよ。私みたいな地味な人間は嘘つきだったとしても皆知らないもの。利用されているとも知らずに。馬鹿ね」

そう言われた後、クスクスと笑われているのがわかった。

 そうして私たちは生き地獄の中でずっとずっと耐えるしかなかった。



 その数百年後、陰陽師が森へ来て、少女は祓われ、私たちは自由となった。

 そして、そのことに対して、陰陽師に感謝するものは多かった。そして、みんな旅立って行った。

 私以外ね。

 主のいないこの森に意味は無い。ただ、この森にいるときだけは不老不死になる。陰陽師も馬鹿ね。こんなことに気づいていても軽く考えるだけだなんて。

 皆が森から出て行くと、次々と死んだ。どうやって行ったかって?いい?なんで少女は不老不死とはいえ、病気にかからなかった?また、死んでいたとしても、なんで傷らしいものがなかった?

 なんでわざわざ足を切っても首は吊り下げたままだった?どうして全員木に貼り付けていた?

答えは簡単。傷が治るから。病気も治る。飢えることも無い。だからほうっておくと逃げられる。だから吊り下げた。だから何度も動けない状態にし続けていた。

 そして、私の目も耳も全部治り、今日もサイトを見つけたカモを逃がさない。絶対にね。

 皆最初は怖がる。私だってそうだった。だからその反応を利用する。私は主ではなく、逃がすためにここに残っているという演技をしてカモを安心させる。

 「主は眠っているから今のうちに逃げてください」って言ってね。教えた道は帰る道じゃなくって、ただただ同じところをグルグル回るだけ。みんな変だと思うけど「トラップだ」といえば皆安心して付いてきた。そして、私は自分で仕掛けた罠にかかり、首を絞める。そして「早く行け。この道をまっすぐ行けば帰れる」と言ってトラップを多く設置した場所へ移動させる。そして目をふさいで「オメデトウ」と言ってここへずっと閉じ込め続ける。

 この森は不思議な力がある。切り落とした足は時間が経てば新しく生えてくる。だから自由に私は人々を騙し続けた。いや、騙し続けるだね。

 今度はどんなカモがくるのか楽しみだよ。

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