第七話.4人目の元カノ
玄関のモニター。そこに映っていた女性を見て、黒崎悠斗は凍りついた。
「……嘘だろ」
インターホン越しに聞こえる声。
「悠斗?」
「いるよね」
落ち着いた声。でも悠斗は知っている。この声の主が——
一番危険な元カノだと。後ろから陽菜が言う。
「誰?」
莉央「女?」
美月「悠斗くん?」
悠斗はゆっくり振り向いた。
「……やばい」
三人「は?」
悠斗が玄関を開けた。そこに立っていたのは、黒いスーツを着た女性。長い黒髪。冷たい美しい目。しかしその瞳は悠斗を見た瞬間——少しだけ柔らかくなる。
「久しぶり」
悠斗「……七瀬」
彼女の名前は
七瀬 零
悠斗の4人目の元カノ。
そしてネクストリンクの副社長だった。
部屋の中の三人が固まる。
陽菜「……副社長?」
莉央「え?」
美月「まさか」
零はゆっくり部屋に入る。靴を脱ぎながら言う。
「社長から聞いた」
悠斗を見る。
「悠斗が入社したって」
悠斗「母さん……」
零は部屋の中の三人を見る。その瞬間。空気が凍る。
零「なるほど」
「元カノ集合か」
陽菜が立ち上がる。
「副社長がなんでここに」
零は淡々と答える。
「簡単」
悠斗を見る。
「私も元カノだから」
三人「は?」
莉央「聞いてない!」
陽菜「4人目!?」
美月だけが静かに言った。
「大学の後…」
「付き合ってたんですね」
零はうなずく。
「社会人一年目の時」
悠斗は顔を覆った。
(終わった)
しかし零はソファに座ると、静かに言った。
「安心して」
三人を見る。
「私は奪い合いするつもりない」
三人が少し安心した。その瞬間。零は悠斗の腕を掴んだ。
そして言った。
「悠斗は私と結婚するから」
三人「は???」
悠斗「言ってない!!」
零は真顔。
「言ってないだけ」
莉央「ちょっと待って!」
陽菜「ふざけんな!」
美月も少し怒っていた。零は静かに言う。
「ちなみに」
「悠斗のスケジュール」
スマホを見せる。
そこには悠斗の一週間の予定
全部書いてある。
悠斗「なんで知ってる」
零「副社長だから」
そして静かに微笑む。
「あと」
「悠斗の家の監視カメラ」
悠斗「は?」
零「私が設置した」
悠斗「怖い!!」
零は悠斗の肩に頭を乗せる。
「大丈夫」
「悠斗は私が守る」
三人が同時に叫ぶ。
「怖いわ!!」
こうして元カノ四人戦争が始まった。
しかも悠斗はまだ知らない。
この会社にはさらにもう一人、悠斗を狙う女がいることを。




