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回避とサイコとツトム外伝  作者: 時田総司(いぶさん)
爆破スマシという女

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9/18

第九節 修学旅行

一行は沖縄に着いた。那覇空港でも、クラスの担任が点呼をとった。


「11月だってのに、沖縄は少し暑いな、点呼をとるぞ」


点呼をとると、一行はバスに乗り込み、あったかビーチへ向かった。あったかビーチに着く。天候は曇りとなり、少し涼しいといった体感温度だった。その海では、希望者のみ泳ぐ事となっていた。




「沖縄の海だぜー!」


「泳ぐぞー!!」




男子達は元気に泳ぎ始めた。


「あっはっは。男子、馬鹿だねー」


女子達の殆どが泳がなかった。爆破もその一人である。


(元気なものだな……日焼け、しなければいいのだが)



数十分経って――、


「おい! 何だアレは!?」


「ん?」




「ゾゾ……」


「ゾム……」


「ゾ……」




五体のゾムビーが海岸線に現れた!


(何!? 五体も……だと……?)


爆破は身構える。



「こっちへー! 海岸線から離れてー! 前の人を押したりしない様に!」


「もしもし、ゾムビーが現れた! 救護を頼む!」



教師は、生徒を誘導したり、警察へ連絡したりしている。そこにいたほぼ全員が、海から離れて行った。爆破スマシ、只一人を除いては――。


「何をしているんだ! 爆破! お前も逃げろ!!」


教師は大声で叫ぶ。しかし爆破は動かない。


「……バースト」




「ゾ?」


「ボッ!!」




爆破は一体のゾムビーを撃破した。



「何!?」



教師は驚愕した。


「(相手はそれぞれ、まばらな位置に離れて立っている! いっぺんに相手にするのは、無理だ。なら!)……バースト」



「ボッ!!」



「一体ずつ倒していくのみ……」




「ぎゃああああ!!」




「!」


突如、悲鳴が聞こえた。声の先を見つめる爆破。そこには、腰を抜かした男子生徒が、ゾムビーに襲われていた。


「ゾム……ゾム……」


「ぎゃああああ!! 来るなああああ!!」


(クッ間に合わない!!)




「ゾムバァアア!」




「バシュッ」




ゾムビーは男子生徒に、体液を浴びせた。


「ぎゃああああ……ああ……ゾ……ゾム……」


男子生徒はゾムビー化した。


「うわあああああ! モッさん! モッさんがぁああ!!」


「クッ、やられたか」


他の男子生徒が叫ぶ中、爆破も冷静ではいられなかった。


(落ち着け、爆破スマシ。今は只、犠牲者を最小限に抑えるのを優先しろ!)


周りを見渡す爆破。うずくまる女子生徒が一人、居た。駆け寄る爆破。腕を肩に掛ける。


「立てるか?」


「あ……うん、ありがとう」



その時――、


「ゾムァアア」


後ろからゾムビーが襲ってきた。


(まずい……間に合わ……)



次の瞬間――、




「タタタタタタタ!」




銃器から弾丸が放たれる音。



「ゾゾ!」



ハチの巣になっていくゾムビー。ほんの数秒で、ゾムビーは葬られた。


「Hey kids!」


「! 外国人か?」


そこに現れたのは在日米陸軍の軍人だった。


「Next……」



「タタタタタタタ」



「ゾム……!」


「ゾ……!」


20人程現れた軍人たちは次々とゾムビー達をハチの巣にしていった。最後に、あの男子生徒だったゾムビーが残った。


「Sorry boy……」


「タタタタタタタ」


残ったゾムビーも同じ様に処理された。爆破は思いを巡らせる。


(流石、軍人だ。その辺の警察や自衛隊よりも、ずっと頼もしい)


軍人たちは話し掛けてくる。


『ここは任せて、避難すると良い』


『分かりました。お願いします』


英語ができる教員が対応し、挨拶を済ませ、一行はあったかビーチから離れた。




一行は泊まるはずだったホテルに集まった。一人の教員が、話し始める。


「皆、本当に残念だが、ゾムビーが出たので、修学旅行は中止にする。一人の犠牲者も出てしまったしな」




「えー」


「そんなー」


「残念―」




(クソ! 守り切れなかった……同い年の生徒を……!)


爆破は自責の念にかられる。


「そこでだ、せめてお土産を買う時間を設けるから、皆それぞれのお土産を買ってくれ。以上だ」


(お土産……か。そんなモノ買う気分じゃない……!)


ハッとする爆破。


(そうだ……! 好実……アイツに買ってやろう)




国際通りを行く爆破。キーホルダーや、お菓子を手に取って見る。20店程見て回った末、財布と相談しながら、遂にお土産を買う爆破。それはシーサーのキーホルダーだった。魔除け、厄除けの作用があると信じ、購入した。心に秘めた思いは、絶対にゾムビーと遭遇しないで欲しい、絶対にゾムビー達の犠牲にならないで欲しいというものだった。


お土産を買う時間も終わり、一行は飛行機に乗り込んだ。数時間のフライトの間、爆破はスヤスヤと眠った。




2,3日後――、


いつもの通学路にて。


「聞いたぜスマシちゃん! 修学旅行、残念だったなー」


「全くだ。首里城など、行きたいところ、見たいものが沢山あったのにな」


「俺らは3月に修学旅行があるからなー。スマシちゃんの分まで思いっ切り楽しむぞー!」


「ああ、そうしてくれ。時に――」


「?」


「お土産を買ってきたんだ。受け取ってくれ」


「ああ、何でも受け取るとも。サンキューな」


包装されたお土産を受け取る杉田。ガサゴソと包装を破って中身を見る。


「へー、シーサーじゃん。流石沖縄」


「厄除けになると思って――な。絶対にゾムビーと遭遇しないで欲しい、絶対にゾムビー達の犠牲にならないで欲しいという思いで、買ったんだぞ?」


「成程」


腕を組む杉田。次に口を開く。


「もし、俺がゾムビー化したら」


「!」




「容赦なく殺してくれ」




「馬鹿者!! 何故そんな事を……」


爆破は怒鳴った。目にじんわりと涙を浮かべながら――。


「好きだから――、スマシちゃんに生きて欲しいからに決まってるだろ?」


「! ――」


顔が赤くなる爆破。次に口を開く。


「な……なら、私がゾムビー化しても、殺してくれ」




「無理だ」




きっぱりと断る杉田。


「な……何故だ! 道理に適ってないであろう!? 不平等だ!!」


「ハハッ、俺はバーストなんて、超能力なんて使えないんだぜ? しかも銃器を扱う軍人でもない。だから俺にゾムビーを殺す力は無い」


「成程、心情的に無理なのではなく、能力的に無理なのだな?」


「んー、その条件ならどっちも無理かな?」


「何故だ!? 能力的に殺せないなら百歩譲ってアリだが、心情的に無理というのは道理が通らんぞ!」


「好きだから――じゃあダメかな」


「! ――」


再び顔が赤くなる爆破。


「ひ……卑怯者!!」


「ハハッ、卑怯で結構。じゃあこうしよう。俺がゾムビー化したら、スマシちゃんが俺を殺す。スマシちゃんがゾムビー化したら、俺もゾムビーになろう」


「――、阿呆か! キサマは!!」


「忘れたのかい? ちょっと前の事を」


「!」



(回想)


「そうか、前に好きだった相手には、先立たれてしまったのだったな」


爆破の頭をくしゃっと撫でながら杉田は言う。


「そーゆーコト!」


「わ……私は! その娘の様にはいかんぞ!」


「?」


「お前よりも、長生きしてやる! それで、お前を苦しる様な事はせん!!」


(回想終了)



「まさかあの約束は無しってコトにはならないよね?」


「! ――」


爆破は冷静ではいられなくなった。そして2,3秒、深呼吸をしてから言う。


「参った。分かったよ。お前を苦しめない為に、その条件を呑もう」




ニッと杉田は笑った。



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