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回避とサイコとツトム外伝  作者: 時田総司(いぶさん)
後日談

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第一節 死後の嗜み

 ここは――、宇宙――。


 宇宙の果て、太陽系の惑星から程遠い、無限の世界。その無限の宇宙の中に、二人、腰を据えて談笑している者が――。



「ははは!」


「カカカッ! そーいうこってぇ」



 爆破スマシと、抜刀セツナである。


「いやぁ、酒が進むな。こうも任務や戦闘が少ないと、存分に酒を楽しむ事ができる。ところで、セツナ。お前は酒を飲んでいい歳なのか? フリーターをやっていると聞いたが……」


「大丈夫、大丈夫っスよ! 人間、18過ぎりゃあ大学生だろうが社会人だろうが酒の一つや二つ、嗜むのが今の常識ってモンだ!」


「はは、そうか……それにしてもセツナ」


「?」


「お前は二章の途中で出遅れて出てきて、四章にはもう離脱してしまったな。出番が少なすぎやしないか?」




 カラン、




 と抜刀はグラスを爆破の方へ置いた。


(おや、癇に障ったのか?)


「俺を殺した張本人が、どの口下げてんなコトぬかしやがんだ、あーん?」


 抜刀は超能力の刀を発現させ、爆破へ突き付けた。


「ははは、済まない。酒が進み過ぎて、悪ノリが過ぎた様だ」


「……」


(ぬ、ダメか)


 フーと溜め息をつき、抜刀は爆破へ向けた刀を肩に担いだ。


「勘弁してくださいよー隊長。いつから俺はそんな扱いになったんでぃ。まぁ、人生短く太く! 長くてもヒョロヒョロじゃあ、箔がつかないっつーもんよ! これだ!! 人生短く太く!」


「なぜ二回も言う? お前は本当に面白い奴だな」


「そっすかぁ?」


「ふー、それにしてもアレだな」


「?」


「大阪でたこ焼きを食べ、酒を酌み交わし、カニを嗜んでいた私達だったが、今やゾムビー達の餌食になり、狩人の連中と離れ離れだ」


「……」


「命を懸けてゾムビー達と戦うのが本分だったが、ああして食事を楽しむ時間が、本当の意味での私達の、狩人の時間だったのかも知れないと、たまに思うよ」


「……まっ」


「?」


「辛気臭ぇ話は無しにして、今日は飲みましょうや」


「はは、“今日も”だろ? まぁ、無限の世界に居るのだから、昨日も今日も無いのだがな……」




『ハハハ、ソウダナ』




「!!」


「!?」




 二人が振り向くとそこにはゾムビーの親玉が居た。


「テメェはっ!!」


「よせ! セツナ!!」


 抜刀は爆破の言葉も耳に入れず、超能力の刀で親玉を切りに行った。




 しかし――、




「スカッ」




「あり?」


 抜刀の刀は親玉に届かず――、いや、厳密には当たっているのだけれど透過して空振りに終わった。


「!?」


 爆破も身構えた。しかし――、


『ハッハッハ。オ互イ死ンダ者同士、モウ実体ナドナイ。ココハ一ツ、私モ呑ミニ参加サセテモラオウジャナイカ』


「仕方ないな、セツナ」


「しゃーねぇな。だが少しでも妙な真似でもしてみろ。ただじゃ置かねぇぞ」


『ハハ、流石ハ石ノゾムビーヲ倒ス実力者ハ言ウ事ガ違ウナ』


「一つ良いか?」


 爆破は手を上げて親玉に問う。


『ナンダ?』


「他のゾムビー達はどうした? 何故お前だけが魂として存在している?」


『ソウカ、ソレガ気掛カリカ?』


 コクリと頷く爆破。


『ソウダナ……アノ石ヲ覚エテイルカ?』


「石!?」


「!!」


 抜刀と爆破は思いを巡らせる。


『ソウダ。我ラノ能力ヲ上ゲル石ダ。アレハ本来、我ラ同胞達ニトッテ重要ナ存在デナ。アノ石ガ傍ニナイト同胞達ハ不完全ナ存在トナッテシマウ。ソシテ、アノ少年ガ石ノ全テヲ破壊シテシマッタ』


「ツトム……」


「ああ」


 抜刀と爆破は相槌を打つ。


『ソノ為、同胞達ハ自我ヲ保テナクナッテシマッタ。ソシテ生キ残レタノガ……』


「ゾムビーの親玉、お前ひとりと言う訳か?」


『ソウダ。アノ少年ニハ、トンダ煮エ湯ヲ飲マサレテシマッタヨ』


「親玉、お前に復讐するという気は無いのか?」


 爆破が切り込んだ。


『マア、シヨウニモコノ体デハ何モ出来マイ。私ハモウ諦メテイルヨ』


 目を合わせ、ふ――と、溜め息をつく二人。不意に、親玉は口を開く。




『シカシ――』




「!!」


「!?」


『爆破……ト言ッタカ……オ前ハ和解ノ道ヲ選ンデイタノデハ無イノカ? 宇宙ト地球、ソレゾレノ住処デ、争ウコトヲ止メ、共存シテイク――、ソレヲオ前ハ目指シテイタノデハ無イノカ?』


「……」


 爆破は暫く黙り込んだ。


「お、おい。こんな奴の言うコトなんて……」




「気が変わった!」




 爆破は心配する抜刀の声を遮るように言った。


『!?』


「確かに私はゾムビーとの和解、共存の道を進もうとしていた。ゾムビーと人類の戦いが始まったのも、我々人間側が先に手を出したからだ。そこは重々反省している。しかしツトムは、あの少年はゾムビー達との戦いで命を落とした私達を想ってくれていた。死を、悲しんでくれていた。だから、ゾムビー達にとどめを刺したのだろう」


『……』


「その想いを受け止め、ゾムビー達を全て倒すという道も、全否定はできないのではないかと今は考えている!」



『……』


「……」


「……」



 三人は黙り込んだ。そこへ――、




「やっ、何だか重苦しそうな話、しているね」




「誰だテメェ!?」


『誰ダテメェ!?』




「お前は……好実……?」

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