表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回避とサイコとツトム外伝  作者: 時田総司(いぶさん)
爆破スマシという女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

第十七節 影

杉田の声が聞こえてきたのだ。


「何で……? 好実……! 好実なのか……!?」


『彼女がピンチなんだ。彼氏が助けに来て、当然だろ?』


そして次第にうっすらと杉田の姿が、爆破の目に映ってきた。


「! 好実!!」


爆破は杉田に触れたかった。手を握り、抱きしめたかった。口づけをしたかった。




ゾムビーさえ居なければ――。




目には涙が溢れていた。


『おっと、泣いていたら敵は倒せないよ、スマシ』


「あ……ああ、分かった」


涙を拭う。


『あの海でのコトを思いだすんだ……初めてゾムビー狩りに行った、あの海でのコトを――』


「! あの日……あの海……」


『スマシ……』


杉田は爆破の左手に、手を重ねた。


『呼吸を、落ち着かせて……』


爆破は呼吸を整える。


『相手を、よく見て……今までよりも、より力を込めて……』


「ゾゾ……」


近付いて来るゾムビー。


『今だ!!』




「バースト!!」




「ボッガァアア!!」




大爆発が起きた。


ゾムビーは大破し、そこには地面に焦げた跡だけが残った。


「ッハァ……ハァ……好実、やったぞ!」


『さっすがスマシちゃんだ。それと、助けられて良かった』


「好実……」


『おっと、時間だ。もう行かなきゃ……今日の日の事を覚えておいてよ、スマシ。多分、これっきりしか会えない。サヨナラだ。じゃあ……』


「好実! 待って……!!」


杉田の姿は空に浮いていき、徐々に見えなくなっていった。


「好実……」


「やったな! 嬢ちゃん!」


「!」


ゾムビー対策組織(仮)の隊員の一人が話し掛けてきた。


「助かったぜ、あんなにでかいの、倒せるのはあんたしか居ねぇ」


「私だけの力では……」


「何を言ってるんだ? 一人で退治しちまったじゃねぇか」


「!(好実の姿……この男には見えていなかったのか……じゃあ、恐らく、他の人間にも……)」


「兎に角、ありがとな! この後も、頼むぜ」



東京湾東部も隈なく探索した一同だったが、それ以上ゾムビーは見当たらなかった。その日の探索は半日ほどで終わる事となる。



――、


それから月日は流れ、時は2026年を迎えていた。爆破が己の力で倒したゾムビーの数は80体を超えていた。


今でも、爆破は思い出す。大型のゾムビーを倒した日の事を――。


(好実……ありがとうも言えなかった……もう少しだけ、一緒に居たかったな……)



(回想)


「倒したゾムビーは何体になった?」


ある日、スーツ姿の男が電話で話し掛けてきた。


「40……は、超えた――、な」


「それは凄い。理事会は30体を超えると力があると認め、ゾムビー対策組織に入れてくれるそうだ」


(回想終了)



(もう、80体も倒したか……)


自室にて、遠くを、もの寂しそうに見つめる爆破。


(100体でも倒せば、この気持ちは癒えるのだろうか……)


「ブーブーブー」



「!」



ふと、爆破の携帯電話が鳴った。電話に出る爆破。


「もしもし……」


「私だ。覚えているか?」


電話主はスーツ姿の男からだった。


「何の用だ?」


「込み入って話がある。H駅に来てくれないか? そこで落ち合おう」


「……分かった」


爆破はH駅に向かった。30分くらいかかっただろうか。H駅からすぐ横にある建物の5階、4フロアが吹き抜けになったインナーガーデンに辿り着いた。爆破が待合場所に着いてから、3分もしないうちに、例の小太りのスーツ姿の男が現れる。


「やあ、待たせたか?」


「いいや、特には……」



――。


「今日君に話があるというのは他でもない。爆破スマシさん、君に一つの部隊を任せようと思う」


「! 一つの……部隊……?」


「そうだ。君の最近の活躍は、既に政府関係者の殆どが耳にしているくらいだ。聞いた話によると、もうゾムビーを、単独で80体以上倒している様ではないか? 武装した公安部隊でも、とてもじゃないがそんなには活躍できない」


「……それで?」


「そこで、だ。公安や自衛隊から引き抜いた、選りすぐりの兵を率いる、政府公認部隊を君に託そうと思うのだ」


「!? 私で……いいのか……?」


「まあ、そう謙遜しなさんな。日本で一番、ゾムビーを倒してきた君だから、こう頼み込んでいるんだ」


「そうか……」


「引気受けて下さるか?」


「ああ、引き受けよう(その部隊を率いて、ゾムビーをこの世から消し去ることができるなら……私は……)」


「ん? どうした? 考え事でもしているのかい」


「あ、ああ。悪い。気にしないでくれ」


「そうか、では明日、その部隊が駐屯する施設を案内しよう」



翌日――、


「こっちの方角で、間違いないな」


爆破はスーツ姿の男から教えてもらった住所へ、スマートフォンの地図アプリを使い、足を運んでいた。



十数分後――、


「ここか……」


爆破はその施設に辿り着いた。


「ウィーン」


施設のドアが開く。


「やあ、よく来てくれた、爆破さん」


例のスーツの男が現れた。爆破は、特に驚いたりはせず、淡々と対応した。


「ここで、どんな設備があり、どんな風にゾムビーの対策をしているのだ?」


「百聞は一見に如かず、ひとまず中に入り、設備を見て回ってもらおう」


「……分かった」


男と爆破は、施設内の奥へと足を進めていく。


「まずは、第1訓練場からだ」


「ウィーン」


第1訓練場と書いてある標識のドアが開く。中はゾムビーの体をかたどった的の様な物が、こちらから様々な距離で設置してあった。


「ここは……?」


「ここはゾムビーを狙撃する為の訓練ができる訓練場だ。ゾムビーをかたどった的が、近くの距離、遠くの距離と様々な距離で設置してあるため、どんな距離でもゾムビーを銃器で倒せるようになる効果が期待できる」


「ふぅん。私のバーストも、ここで精度を上げるために使えそうだな」


「気に入った様子で何よりだ。次は第2訓練場だ」


「ウィーン」


第2訓練場に辿り着いた。そこにはゾムビーをかたどった的のようなもの(サンドバックに似ている)が無数に有り、何かを測る7セグメントの大きな表示器のようなものも存在した。


「何だ、あの表示器は? ここは何をする場所だ……?」


「まあ、これを見てくれ」


スーツ姿の男は、的の近くに歩いて行った。そこでふー、と呼吸を整えて、殴打を繰り出す。


「ドッ!」



すると――、


「ピピピピピピピピ」


表示器が動き出した。


「!?」


爆破はそれに目をやる。表示器は25kgと表示された。肩を回しながら、スーツ姿の男は言う。


「ははは、恥ずかしいところを見られたな」


「……今の、殴打の威力が、表示器で表示されたんだな?」


爆破は問う。


「そうだ。既に知っているかも知れないが、身体能力を向上させる、特殊スーツというものがある。銃器で戦うのが苦手な兵でも、その特殊スーツを着て、ゾムビーを倒せるようになる為、こういった設備で、訓練を行う事になっている」


(身体……スグル……)


爆破は身体を思い出す。


「次だ」


男と爆破は武器庫に向かった。


「小型だが威力のある銃が揃っているな。最新式か?」


「そうだ。爆破さん、よっぽど勉強してきたのだな。防衛大を首席で卒業できたわけだ」


「フン、私が銃器を使うことはなさそうだがな」


「ゾムビーと戦うため、常に最新型の武器が揃うようになっている。特殊スーツの強化も、この先進んで行くだろう」



その後、爆破達は就寝する部屋を回って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ