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回避とサイコとツトム外伝  作者: 時田総司(いぶさん)
爆破スマシという女

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11/18

第十一節 協会

1月――、



「よっ!」


「おう……」



いつもの通学路で杉田と爆破は出会う。


「正月、どう過ごしてた?」


「テレビを見て、コタツで寝たりした――な」


「『笑ってもいけない』、見たかい?」


「ああ、アレは面白かったな。流石に笑う」


笑みを零す爆破。杉田もニッと笑った。


道は雪で埋まっており、二人の歩く後ろは足跡が二つ、並んで出来ていった。二人はマフラーをし、杉田は手に手袋をはめており、爆破は両手をポケットに入れていた。


「手袋、しないのかい?」


「ああ、こっちの方が落ち着く」


とりとめのない会話を交わす二人。



「そうだ!」



「!」


「初詣、何で一緒に行けなかったんだい、スマシ?」


はー、と溜め息をついて爆破は言う。


「私はまだ中学生なのだぞ? 家族で行くに決まっていよう。ふ……二人で行けるのは、高校生になってからになりそうだ、好実」


「あと、2年……、か。そしたら大晦日からの元旦にかけての年越し参りができると見て、良いのかい?」


「ああ、家族を説得してでも参ってやろう」



ふと――、


「コツ……コツ……コツ……」


150センチくらいの、中年太りした男が、スーツ姿で現れた。



「!」


「!?」



男は口を開く。


「……君が、この写真にある、爆破スマシさんかね?」


男はひらりと新聞を見せる。それは『超能力少女現る!!』という一面の新聞で、爆破の写真がでかでかと載っていた。


「だったら――、どうする?」


爆破は警戒する。


「まあ、そう身構えなくとも良い、私は政府公認の協会、ゾムビー撲滅協会の内の一人だ……」


「ゾムビー……?」


「撲滅……!?」


爆破と杉田は虚を突かれる。


「そうだ、かつてアメリカのみの被害だったゾムビーの事件は、今ではここ日本でも起き続けている。アメリカと違い軍隊を持たない日本はゾムビーの対処に手こずっていてな、新たな団体を作り上げなくてはならなくなって来た」


「それが……」


「ゾムビー撲滅協会……というのか……」


爆破と杉田は口々に言う。


「そうだ……今は未だ、設立中といった感じだ。自衛隊や、公安から協会の人員を引き抜くつもりでいる」


「そうか……。なら何故私達にそんな情報を……?」


「この情報を君達に話したのは他でもない。爆破スマシさん、君にも我が協会に参加して欲しいからだ!」



「!?」


「!!」



「ま……待て」


爆破は続ける。


「まだ私は、中学二年生なんだぞ? そんな年の者を、自衛隊や公安達と同等の団体と一緒に活動させる気か!?」


「まあ待て」


男は右手を差し出して、言う。


「今すぐにとは言わん。二十歳を過ぎた頃、我が協会に入ってほしい。まずは18の時に、防衛大へ行くんだ! 卒業後は陸上・海上・航空自衛官に任官し、協会の活動に協力してもらいたい」


「――」


爆破は男を睨む。


「何故――、何で今日会ったばかりの男に、そこまで決めつけられて、従わなければならんのだ?」



「この国の為だ」



「!?」


「しいてはこの町の為、爆破スマシさんの家族の為、隣にいる、男性の為だ」


「!! ……(好実の……為……)」


爆破は考え込んだ。男はジッと見つめている。ふと、爆破は杉田に視線を送った。杉田は男を真剣な眼差しで見つめていた。


(好実……)


爆破は口を開いた。


「分かった。将来的には、その協会へ入ろう」


ほっと安堵の表情を浮かべる男。


「良い返事を聞けて良かった。これが私の連絡先だ」


男は名刺を渡してきた。


「では――、な」


名刺を渡すなり男は帰って行った。



「……」


「……」



杉田が爆破の方を向いて、言う。


「なーんか、いきなり出て来て嵐のように去って行ったな」


「ああ、何もかもが、急過ぎだ」


爆破は返した。


「それにしても、防衛大かー。あんまり遊べなさそう。体力テストとかあるのかなぁ。」


「……」


爆破は俯く。


「ま、いっか。3年先に待ってるぜ、スマシ!」


キョトンとする爆破。


「あ、ああ……。待っていてくれ」


「それにしても、定期試験、受験、ゾムビー退治に、スマシは大変だなー。苦難に満ちている。でもまあ、生きるコト自体が苦難に満ちているな。飢え、老い、病気と様々な苦難がある。しかし、生きているからこそ俺達は巡り合えた。生きてきた結果だ。俺はこの縁を大事に、これからも生きて行こうと思う。そして、スマシもそう生きていってくれ」


「ああ、分かった」


爆破は少し表情が緩んだ様子だった。



数日後、爆破の通う中学校にて――、


昼休みにブーブーと、爆破の携帯が鳴った。例の、スーツ姿の男からの電話だった。爆破は電話に出てみる。


「爆破スマシだ、何だ?」


「やあ、協会の者だ。○○高校に、ゾムビーが大量発生した。至急、向かって欲しい」



「○○高校……!?」



「どうした?」



(好実の……高校……!)



爆破は思いを巡らせる。



十数分後――、


爆破は○○高校着いた。



「ぎゃああああ!!」


「わああああ!!」



高校は悲鳴で満ちていた。高校生の殆どが校門から敷地外へ逃げていくが、爆破は反対に敷地内に足を運んで行った。




「タタタタタタタ!!」




銃声が鳴り響く。恐らく、自衛隊か公安部隊の者が、ゾムビーと交戦しているのだろう。


しかし爆破は、そんな事はどうでも良かった。



(好実は無事なのか……?)



爆破は杉田の身を案じていた。


「好実ぃ――! 居るのか――!?」


爆破が校内を叫びながら進んでいく。すると、廊下の曲がり角に人影が……。


「好実……」


爆破は近付いていった。



しかし――、


「ゾム……」



そこに居たのはゾムビーだった。


「(!? キサマか!!)バースト……」




「ボッ!!」




ゾムビーは木端微塵となった。爆破は暫く校内を進んで行く。


すると――、


「君、何をしているんだ? ここの生徒じゃないな?」


武装した男性が話し掛けてきた。


「ここにいては危ない。さあ、外へ出るんだ」


「嫌……だ……」


「何だって?」


「嫌だ、私も戦える。それに――」


「!?」


「私の彼氏がおるのだ。無事か……心配で……」


「なら僕達に任せて、ここから離れるんだ」


「嫌だ!!」




「ボッ!! パリィイイン!」




近くの窓ガラスが、大きな音を立てて爆発した。


「!? これは……?」


「私の能力だ。空間を爆発させる。ゾムビー撲滅協会の男とも、面識がある」


爆破は協会の男の名刺を見せる。


「ふぅむ、参ったな……仕方ない。君もゾムビー退治に協力してもらうか」


「言われなくても!」


爆破達は今、高校の第一棟に居た。この高校は全部で三つの棟がある造りとなっていた。




「ジッジジ」




武装した男性の持っていたトランシーバーが鳴った。


『こちら第一棟三階、隈なく回った、どうぞ』


『こちら第一棟二階、隈なく回った、どうぞ』


「了解。一階も大丈夫そうだ第二棟、第三棟に向かうぞ」


トランシーバーを切る男性。


「さて、君はどうする?」


「わ……私は……」


暫く考え込む爆破。


そして、口を開く。


「二棟、第二棟に行ってみる!」



○○高校、第二棟にて――、


遠くで銃声が聞こえる中、爆破は棟内を進んで行く。

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