表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された令嬢ですが、国の仕組みを直したら評価が逆転しました 〜聖女よりも必要だった“地味な才能”で、辺境から王国を立て直します〜  作者: 花守いとは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/71

外伝 第五話 『命令がある国』

 号令が響いた瞬間、全員の足並みが揃った。


「前進!」


 迷いがない。

 声にためらいがない。


 ヴァルドレア王国軍との合同訓練は、

 ただの親善ではなかった。


 違いを見るための場だ。


---


 彼らの動きは、速い。


 命令が下りる。

 動く。

 次の命令。

 止まる。


 判断は上。

 実行は下。


 明確だ。


---


「……どうだ」


 隣の同僚が、小声で言う。


「楽だな」


 本音だった。


 考えなくていい。


 命令がある。

 従えばいい。


 失敗しても、責任は上にある。


---


 こちらの訓練では、違う。


「状況を見て判断」


 現場指揮官に裁量がある。


 判断が遅れれば、動きも遅れる。

 迷いが出れば、隊列が乱れる。


 速さでは、明らかに劣る。


---


 昼休憩、ヴァルドレアの兵士が笑う。


「君たちは自由だな」


「そうか?」


「ああ。我々は命令通りに動く。それが誇りだ」


 誇り。


 疑いのない顔。


---


 午後の模擬戦。


 ヴァルドレア側は、一糸乱れぬ動きで押し込んだ。


 こちらは、対応を協議する。


 時間が、かかる。


 結果は、敗北。


---


 夜、野営地で焚き火を囲む。


「……あれだけ速ければ、強い」


 誰かが言う。


「王が優秀ならな」


 別の声。


 沈黙。


 もし王が誤れば?


 命令は絶対だ。

 疑えない。


---


 思い出す。


 この国では、上が絶対ではない。

 現場で止められる。

 修正できる。


 その代わり、迷う。


 迷いながら進む。


---


 翌日、ヴァルドレア軍の小隊が誤情報で突撃した。


 命令は即時だった。

 だが、情報は誤っていた。


 撤退命令も速かった。

 だが被害は出た。


 彼らは顔色を変えない。

 命令だからだ。


---


 こちらの隊では、同じ誤情報で一瞬止まった。


 確認が入り、進軍は遅れた。

 だが、突撃はしなかった。


 遅い。


 だが、損害はない。


---


 帰路、空を見上げる。


 命令がある国は、強い。


 考えなくていいのは、安心だ。


 だが、命令がなければ動けないのは、

 別の怖さがある。


 どちらが強いのかは、まだ分からない。


 ただ、違う。


 そしてその違いは、

 戦場よりも深い場所にある気がした。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ