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第8話,帝国海軍大作戦

昭和17年5月…


珊瑚海海戦に勝利しポートモレスビーを攻略した日本軍は勝利の波に乗り、次なる目標を攻略すべく準備を進めていた。

その次なる目標とは本来なら半年前に攻略するべきであろうハワイである。


しかし半年遅れのハワイ攻略にもちゃんとした理由があり、今回の作戦にも北村が関わっていた。

佐々木首相も北村からその話を聞き連合艦隊司令長官として海軍を指揮する山本からその話を聞いた。


「ハワイ?今更でありますか?」


「はい」

流石の佐々木首相も今回の作戦には驚きであった。

現在ハワイはあの痛手をうけながらもアメリスは全力をあげて、復旧を行っていた。


また日本軍が本格的に侵攻してくる可能性もある為、現在ハワイは総勢5万を越える守備隊が守っている。

対空砲や航空機の数も増え万全の警戒態勢であり半年前のように優しく侵入できる場所ではなくなった。


本来ならば、まだ弱かった半年前にやるべきだったろう。

ところが北村はあえて今の時期にやるというのだ、その理由は山本も最初に聞いたとき、驚きを隠せなかったというのだ。


「なぜ今更ハワイを?」


佐々木がそう訊くと山本はこう答える。

「確かにハワイは以前と比べると要塞化されており航空機は300を越えレーダーも日々監視を行い、難攻不落の大要塞になっているでしょう。しかし北村君が言うにはだからこそ敵の不意をつけるというのです」


「つまり?」


「今度の作戦は三つ攻略する場所があります」


「三つも?」


「一つはアリューシャン、もう一つはミッドウェー、そしてメインのハワイです」


「しかし、それは兵力を分散する事になります、陸軍は日中戦争の終結により温存されていますが…海軍はどうなんでしょうか?」


陸軍は数百万という大兵力が日中戦争集結に従い、温存されている。

その為、大規模な作戦を展開する事が可能となっていた、しかし海軍は艦艇に限りがある、珊瑚海海戦では空母1隻が損傷し現在修理中である、幸いな事は本来の珊瑚海で損傷するはずだった翔鶴が軽微な損害で作戦行動に支障がなかった事である。


「それについては心配ありません。我が海軍は、いずれ訪れるであろう空母不足に備え、全力をあげてあの2隻を水上機母艦から即座に空母に改装させなんとか開戦に間に合わせました」


「あの2隻…千歳と千代田ですか?」


「はい」

千歳と千代田、史実なら水上機母艦から改装され空母になったのは1943年の事であった。

しかし山本は開戦前の昭和16年1月より2艦の改装を始めさせ8月1日に改装完了、12月より艦種を空母に変更させたのである。


「しかし…艦載機が足りないのでは?」


「確かにそうです、しかしいろいろと急がせた結果、中島機の生産を急がせ昨年は6月より開始されています。まあそこまでやるのにかなり苦労したわけですけど」


これも努力の賜物であった、零戦は史実よりも5ヶ月速い段階から中島飛行機でも生産され始め、今や完全に軌道に乗っていた。

「艦攻や艦爆には航空機不足により一部旧式が混じっています、しかし戦闘機だけはなんとか確保しました、制空権さえ確保すれば攻撃は可能です」


「まさに、今あるものでどうにかする…ですな」


「これは現実リアルの戦争です、空想のようにすぐに空母が出来上がったりする…なんて事はありません。だからこそ今あるものをできるだけ…という事で千歳と千代田を早期に改装してみたり中島にライセンス生産を急ぐようにしたのです」


これにより、日本軍は同時期よりも送り込める戦力が増していた。

これが、今回の大作戦を行う為の艦隊編成である。


ハワイ攻略部隊

旗艦

・大和

その他戦艦

・長門、陸奥、伊勢、日向、扶桑、山城…計7隻

空母

・赤城、加賀、蒼龍、飛龍、千歳、千代田…計6隻

重巡6隻、軽巡4隻、駆逐艦30隻、輸送船多数


アリューシャン攻略部隊


空母

・龍驤、大鷹、龍鳳(千歳、千代田同様早期に空母改装)…計3隻

重巡3隻、軽巡4、駆逐艦9隻、輸送船3隻


ミッドウェー攻略部隊


戦艦

・金剛、比叡、榛名、霧島…計4隻

空母

・翔鶴、瑞鶴、瑞鳳、大鷹、隼鷹、雲鷹(特設航空母艦「八幡丸」)…計6隻

重巡1隻

軽巡2隻

駆逐艦12隻

輸送船多数


連合艦隊の持ちうる戦力をすべて投入するこの一大作戦、背後が手薄になるのは覚悟の上であった。

それこそ多数の潜水艦、それどころか適当に銃をつけた漁船までもを動員して警戒に当たらせているのである。


そこまでしてこの作戦は敢行されるのだ。

対するアメリカ海軍は緒戦においてレキシントンとヨークタウンを損失、残るはエンタープライズ、ホーネット、サラトガぐらいである。


それでも4隻とも搭載機数の多い空母である。

佐々木首相も心配していた。

「確かにすごい艦隊編成でありますが…アメリカは我々の暗号を解読して先に作戦を知ってしまうのでは?」


「そうです。ですからこの作戦はそれを逆に利用するんです」


「利用?」


「あたかもミッドウェーを攻略するように見せるんです。成功するかはわかりませんがハワイへ向う部隊もミッドウェーへ向うという暗号をわざと発させる」


「なるほど…」


日本海軍の今回の作戦は利用であった。

アメリスが暗号解読を行っている事を逆に使用してのこの作戦、うまくアメリカの機動部隊をミッドウェーに引き込みそこで叩く、その隙にハワイを奇襲攻撃し陸軍総勢5万人を上陸させる。


これが今回の作戦、ただ成功するかどうかは別である。

アメリカだって本気だ。そろそろ本気を出さなければ太平洋艦隊が壊滅しそうなのである。

毎度毎度日本に勝たせるわけにはいかないだろう。


「とにかく、この作戦は日本の将来の為にも必ずや成功させる必要があるのです」

作戦名は「み号作戦」、みはもちろんミッドウェー、暗号もあのまま。

そして逆に利用すべくAFで水不足という嘘の情報にも日本海軍はあえてのるのである。



ハワイだと信じる者も多かった、しかしこの事によりアメリカ軍は日本軍がミッドウェーを狙っていると考え空母2隻を派遣したのである。


しかし5月26日以降は日本軍暗号変更の為解読はできなくなる。

最もこれは日本軍にとっては好都合であった。


太平洋艦隊司令長官、チェスター・ニミッツ大将。

「ああ、ああ、やる事はやった。後は頼んだぞ」


「必ず自分が日本軍を止めます」


「ここで2隻を一挙に失えば太平洋の空母はサラトガのみになる」


「しかし2隻で奴らを食い止められるか?」


「わからん………だが、エセックス級が戦列に加わるまでは我慢しなければならない」


「…はい」


ニミッツは電話で入院したハルゼーのかわりであるスプルーアンス少将と会話をしていた。

この時アメリカ海軍はかなり切迫した状況であった。この戦いに送り込めるのはホーネットとエンタープライズの2隻のみ、対する日本海軍ミッドウェー攻略部隊の空母は6隻である。


今度の司令官は南雲中将ではなく珊瑚海に続き井上中将である。

6月……

「よーそろ!!!」


「長官、いよいよです」


「うん、敵の空母は情報によれば2隻、我がほうは6隻、艦載機も300を越える、ただし油断してはならん。敵も必死だ」


「その事は承知しております」


「ハワイ攻略の唯一の救いは、こっちに2隻も空母が来てくれた事だ。おそらくハワイ部隊は基地の航空機のみで精一杯だろう」


「以前のように奇襲がうまくいけば…」


「そんな事はまずありえない、敵さん相当警戒している……ただ以前の妨害攻撃が成功したのには驚いたが」


妨害攻撃、それは二式大艇による爆撃である。

日本軍はK作戦を行い二式大艇を2機送り込む、爆撃自体は成功し損害もなかったが効果はなかった。

一方の北村艦隊も……

「よーそろ!!」


「………いよいよだ…この作戦はタイミングが重要だ」


「はい…速力はこのままで問題ありません」


「うむ、後は敵さんが気がつくか気がつかないかだ、後者のほうがやりやすい」

はたして日本海軍の大作戦は成功するのだろうか………



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