第7話,防空と攻略作戦
そして、その日が訪れた、4月18日。
空母ホーネットには、いつもとは違う、奇妙なものがのっていた。
それはB-25、本来なら陸上機である。
しかしアメリカは今回それを空母に搭載してきたのである。
B-25をもってきたのも、日本本土を空襲する為である。
アメリカは相次ぐ本土攻撃を食らっておりその報復として日本本土を空襲する計画を立てた、その結果空母を出来るだけ日本に近づけてそこから航空機を飛ばし日本を攻撃する計画が立案され、実行にうつれたのである。
B-25爆撃隊を率いるのはジミー・ドーリットル中佐、16機の爆撃機は既に発動機を回していた。
「中佐、なんとか日本本土の近くまで運んだぞ」
ホーネット艦長ミッチャー大佐はそう言う。
ドーリットルは今回ホーネットに乗艦していた。
「そうか、後は俺達です。我が隊が日本人を驚かせてやります」
「頼むぞ、合衆国の維新にかけても、君が指揮する爆撃隊は絶対に任務を成功させなければならない」
「わかっている、そろそろ出撃用意をさせようか」
「頼むぞ」
その後、ホーネットからB-25が出撃していった。
日本本土を攻撃すべく………
その頃、東京の各飛行場では既に迎撃態勢が整っており搭乗員は発動機がすでに回っている航空機で出撃を待っていた。
「ん?……よし、出撃だ!」
日本軍機は各基地から次々と空に飛んでいった。
未来を知っている現在の政府と軍は防空態勢をより強化させている。
「ふふふ~んふふ~ん、ふふふ、しかしいがいとあっさり行くものだ、もうすぐ東京だぜ」
「これで俺達は英雄になれる……そして合衆国の力になれる」
「見てろよ日本人、大日本帝国が最強じゃないってことを俺達が照明してやるぜ」
「…機長!後方上空敵機!」
「なにぃ!?………ふふふ、馬鹿め!日本は油断しているはずだ、そんな中、日本機が飛んでくるけがないだろうが、まあ見張ってろ」
「いえ…しかし…」
後部銃座の兵士にはしっかりと見えていた、日本機が近づいている事に。
しかも上からである……その時。
「ああ゛あ゛あ゛!!!」
上から突如奇襲された爆撃隊のうち1機が撃墜され海上に落ちていった。
「敵機来襲!各機弾幕をはれ!!」
B-25の銃座は弾丸を放ち、日本軍機を狙う。
迎撃にあがってきたのは新型局地戦闘機『光電』であった、性能的にはあまり高くないが武装は強力である、今回は奇襲だったから成功したようなものだがもう少し速度がほしい航空機である、しかし奇襲に成功したおかげでB-25は最初の攻撃で1機が撃墜され2機が機銃損傷、燃料漏れを起こした。
「敵の数!28機!見た事がない機種!新型機です!」
「己!日本軍め!新型機できやがったか!!しかし俺らは東京に爆弾を投下するまでは諦めないぞ!!!」
アメリカ軍は光電の攻撃をうけながらも東京を目指した。
そのアメリカの兵士は勇敢であった、奇襲され数から見ても劣勢でありながら、彼らはB-25で日本機を撃墜した。
「やったぁ!1機に火を噴かせたぜ!!」
やがて戦場は東京上空へと移り変わる、しかし先ほど東京の飛行場より出撃した日本陸軍の戦闘機が待ち構えていた、さらに最高速度ではB-25を上回る光電もまでまで追尾してくる。
さらに東京の高射砲が彼らを支援した。
「くそぉ…奴ら俺達が来るのを知っているみたいだ!これほど日本の防空態勢が整っているとは…名古屋や神戸に行った奴らは大丈夫だろうか…あ゛あ゛あ゛!!!」
東京上空では13機すべてが撃墜されるか損傷し、あちこちに墜落、又は不時着した。
一方残りの3機も名古屋上空で日本軍機の激しい抵抗にあっていた。
撃墜はされなかったが全機とも燃料漏れを起こし、日本海で着水、しかし助けは来なかった。
9機を撃墜、2機は日本に不時着、1機はウラジオストクに着陸しソビエトは彼らを抑留、残りの3機は日本海で力尽き着水、しかし助けが来なかったために全員死亡した。
日本会の密かな働きにより、爆弾は投下され死傷者は出てしまった、爆撃には成功した、しかし帰還はしてこなかったためアメリカの作戦は失敗した。
ルーズベルトも日本本土空襲には期待していたがいつまでたっても攻撃隊が帰ってこない事から彼はアメリカが作戦に失敗した事を知る。
ドンッ!
「なぜだ!なぜ日本は!!!」
「大統領閣下、落ち着いてください。今回空襲に失敗したとはいえ、我が国と日本では国力に大きな差があります。あと1年か2年持ちこたえれば我が国は完全復活、いや以前よりも勢いを増します」
「…そうだ、冷静になるんだ。冷静に考えて日本が我が国に勝てるなんて事はありえない」
「そうです、問題はナチスです、このままではソビエトが敗れます。共産主義国家だしつぶれてほしいという気持ちはあるのですがこのままではソビエトより厄介なものが大きくなりかねません」
ドイツは作戦をかえて戦っていた、丁度この時モスクワの戦いが行われ大激戦となっていた。
そう、彼らは冬将軍を避けて戦っていたのである。
そのモスクワも緒戦において敗れ錬度や士気も低いソ連軍が敗れていた、彼らを今救っているのは物量とその工業力、そして人口である。
だがこの大戦、枢軸国が有利に戦争を進めていた。
「しかし……私は日本の事も気になる…我々がやろうとした作戦はほとんど失敗している……奴ら未来でも知っているのではないだろうか?」
「わかりません、しかし大統領閣下、日本なんていずれ我が国の前にひれ伏します、やはりナチスが第1です」
「そんな事はわかっている、しかし…」
ルーズベルトの脳裏には、ある不安が過ぎっていた。
そんな事をしている間に4月25日、中国と日本の間で会談が行われ日中戦争はひとまず停戦となる、5月2日、正式に日中戦争は終了となった。
なお結果は中国の国民が暴走しない為にも、一応中国の勝利という事になった(実際は日本の勝利であるが)。
これにより中国は中立を宣言、いずれ再び起こるであろう国共内戦に備えて準備を開始した、また重慶条約により日本軍は中国国内から撤退、満州からも万が一の対ソ戦の為のもの以外は撤兵、さらに日本から技術者が派遣された。
これに対し米英は中国支援を停止、対中宣戦布告を行った。
しかしこれはこれで成功であった、日本の狙いは戦力温存、中国からの撤兵によりその目的は達成されたのであった。
その頃、日本はツラギ島、ガブツ島、タナンボコ島へ上陸して占領し、水上機基地の設営を開始、夕方までに設営は完了した。
MO機動部隊は既にトラック諸島を出航しており、4日午後に攻略部隊もラバウルを出航する。
MO作戦発動である。
一方米海軍はこれを阻止すべく行動に移る。
しかしレキシントンは戦没、しかもほかの艦艇は作戦行動中、米海軍の空母はヨークタウンのみであった。
しかし真珠湾攻撃において日本も空母を損傷しており強力な北村の機動部隊も行動中なので米海軍はヨークタウン1隻だけでも問題はないだろうと考えていた、ところが日本は空母の修理を急ぎ、既に加賀と翔鶴は復帰、井上中将率いるMO機動部隊には翔鶴が存在している、ほかには瑞鶴、祥鳳。
対する米海軍は1隻のみ、絶望的であった。
海戦の結果はヨークタウン、ネオショー、シムス沈没、艦載機80機。
対する日本海軍は祥鳳が中破し翔鶴が少し損傷を受けるが作戦を行うには問題ない程度であった。
艦載機もできるだけ翔鶴と瑞鶴に着艦させ多くのパイロットは無事であった。
「長官、なんとか勝ちましたな」
「うむ、祥鳳が修理の為戦列から外れてしまったのは惜しいが、作戦を遂行するにはまだ問題ない損失だ。作戦を続行しよう」
その時、通信員が井上の所に現れた。
「長官!ラバウルより入電!我ポートモレスビーヲ攻撃セリ、効果甚大!」
「ラバウル航空隊がやったのか!」
「はい!」
日本海軍が誇るラバウル航空隊はポートモレスビーを新旧航空機100機以上の編隊で攻撃、戦果をあげたようである。
「よし、行こう!ポートモレスビーへ!」
「了解!」
その後、ポートモレスビーへは日本軍の攻略部隊が上陸、激戦、二昼夜。
日本軍は海軍や航空機の支援を受けつつポートモレスビー守備隊と死闘を展開しこれを占領。
この作戦の成功は陸軍のムダな消耗を避ける結果となりまた後の戦局にも影響する。
ポートモレスビーでは基地の再建が急がれる中、日本海軍は次の作戦を行おうとした、この作戦が成功するか失敗するかによって、日本の運命は決まる。
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防空成功、中国と講和、MO作戦成功、いずれも後の戦局に影響する…かも。