第4話,太平洋戦争勃発
大日本帝国が事実上、米英蘭に対し宣戦布告を行った。
そして………12月8日、ハル・ノートに対しての返答はなく日本軍は動き出す事になる。
早朝、空母赤城艦橋にて…
「長官!出撃準備完了しました!」
「うん、総隊長。後は頼んだ」
「最新の情報によれば戦艦はいても空母はいないみたいですが?」
草鹿参謀長が情報を提供した。
しかし…
「心配するな、空母は今日中に帰ってくる、それよりもはやくしなければ。アメリカに悟られてはこの攻撃は失敗する、仮に米海軍に損害をあたえる事ができたとしても、こっちは艦載機の多くを失う」
北村はわかっていた。
それに彼にとってこの攻撃だけは失敗させるわけにはいかなかった、すくなくとも史実で成功させる事にができた作戦は失敗させてはいけないと思ったのである。
(せめて、この作戦だけは…)
「皆、聞いてくれ。叩くのは船だけじゃない。港湾施設もやってくれ」
「つまり?」
「私の予想では戦艦などの艦艇を叩くだけのの生半可な攻撃ではすぐにアメリカ軍は立ち直ると思うんだ、港湾施設を叩けば向こう半年間アメリカは太平洋で作戦行動ができなくなる…はずだ」
「よ~し、そういう事なら腕によりをかけて叩きましょうか」
「頼むぞ」
日本会は有利な条件での講和、そしてもし劣勢ならばサイパンなどが陥落した場合即座に降伏、こうすれば彼のいう日本のような悲劇にはならないだろうと考えていた。
ただ米内は日本人を目覚めさせるには後者のほうがよいだろうと考えていたが。
(はぁ……しかしなんで俺がこんな事を…ところでもう、マレーじゃ戦いが始まってるんだよな)
その頃、陸軍はマレー半島へ上陸を開始、一部には上陸を阻むイギリス軍がいたものの激闘の末陸軍はこれを破る。
なおこれを指揮するのは後にマレーの虎と呼ばれる事になる山下中将だ。
陸軍は数少ない機械化された精鋭部隊を2~3万ほど送り込むがマレー半島にはその3倍ほどの敵がいる、史実どおり山下はマレー半島を攻略できるのであろうか。
一方の北村艦隊も真珠湾を目掛けていた、そしていよいよ発艦が始まったのだ。
「発艦始め!発艦始め!」
すでに航空機は暖機運転がされていたのでいつでも出撃可能な状態である。
中には整備兵が用意した鉢巻を巻く兵士達もいた。
参加した主な機体はどれも帝国海軍にとっては最新鋭機であった。
それまでの帝国海軍攻撃機とは違い単葉で引き込み脚を採用し400km/h近い速度を出すことができる九七式艦上攻撃機、性能こそドーントレスには劣るがそれでもこれまでの物と比べれば格段に高性能である九九式艦上攻撃機、そしてこの頃、おそらくは最強でああっただろう零式艦上戦闘機二一型だ。
「頼むぞ…」
休憩時間まで削って訓練していた搭乗員、はたしてその成果はこの真珠湾攻撃で試されるのであろうか。
その頃、堀井富太郎少将率いる陸軍1000人ぐらいがグアムに向っていた。
史実より数が少ない、その理由は…
「閣下、本当に1000人で大丈夫なんでしょうか?」
「うん、なんでもグアム島には550~750ぐらいしかいないそうだ。敵さん我々に取り囲まれたグアムは防衛不能と考えているそうだ、だから予定していた残りの人員は4286人は海軍さん主体のウェーク島に回した、あそこはやっぱり苦戦が予想されるようだからね」
「……本当でしょうかね」
しかし本当であった、アメリカ軍は550人しか兵士をいていなかった。
このグアム島は1日で陥落する事になる。
一方ウェーク島へは海軍陸戦隊3個中隊に加え陸軍4000以上が加わった。
8日、この日は陸上機による攻撃が加えられたほか井上の部隊が予定よりも早くに到着、空襲の混乱の最中に上陸部隊は一気に上陸した、それでも反撃をうけかなりの損害がでるもウェーク島は12月11日、史実よりも短期間で陥落し、ついでにブルドーザーを入手した。
ウェーク島には最低限の部隊が置かれる事になり残りはすべてフィリピンへと移動する事になった。
そのフィリピンへは真珠湾攻撃の後、日本軍の猛攻撃が加えられた。
史実どおり濃霧に助けられ多大な戦果をあげた。
日本軍は長期化の覚悟でフィリピンへと向う。
また日本は香港にも向う。
ここに、戦史に残る太平洋戦争が始まったのだ。
しかし…史実とは違った形でだ。
朝、真珠湾は猛攻撃にあっていた。
「くそぉ……ジャップどもめ!!!」
アメリカ兵はただ撃ちまくる以外手はなかった。
しかし日本軍が有利にしても損害がでないわけがないのだ。
「やったぁぁぁ!!!」
高射砲が一機に弾をあてた。
当然兵士達は戦果をあげたわけだから嬉しい。
しかし…
「………!!!!」
グワーン!!!!!
「ぁぁ…ぁぁ」
「うそだろ?……」
なんと突っ込んできたのだ。
彼は実際の戦争で戦死したがもうひとつの戦争でしかも同じ場所で同じやられかたで戦死したのであった。
しかしいくらアメリカ軍ががんばった所でもはや日本軍をとめる事はできなかった。
史実と同じ損害で日本軍攻撃部隊は帰還。
「長官!」
「よし、第三次攻撃を行え!そろそろ敵空母も戻る頃だ」
「了解!!」
第三次攻撃は施設や空母の攻撃が主な任務であった。
流石にもう攻撃されただけあってアメリカ軍は島の高射砲でも応戦してきたがもはやロクな迎撃機が存在せず強いていえばハルゼー艦隊のワイルドキャットが迎撃にあがったぐらいだ、これがこの真珠湾攻撃で最も大きかった空中戦である。
(ん?敵か…畜生迎撃にあがってきやがったな)
彼は手で敵が迫っている事を味方に知らせた、零戦隊は進路を変更しワイルドキャットの編隊へと突撃していった。
ドドド…
こうして、零戦隊とワイルドキャット隊は激しい空中戦に突入した。
しかし………
「くぅぅ……どういう事だ!?ジャップがなんであんな戦闘機を!?」
ワイルドキャットは戦争中盤ぐらいまでは活躍し、零戦と戦ってそれなりに戦果をあげている、がそれは専用の戦法があったからだ。
ロッテ戦法ことサッチ・ウィーブはまだであり一撃離脱すらあまりしなかったアメリカ軍はたとえパイロットがベテランだとして機体の性能から零戦のほうが有利であった。
「ジョン!きをつけろ!!」
ドドド…
ジョンという男が乗るワイルドキャットに20mm機銃の弾が次々と吸い込まれていく。
「ああ゛あ!!!」
ジョン機は火を吹きつつくるくる回りながら落下していった
しかも翼が捥げている。
「ジョン!!うぅ!!!!」
零戦と互角以上の戦いができたワイルドキャットもこの時点では有効な戦術がわからずまた日本のパイロットが熟練であった事も加わって全滅とまではいかなくても大損害をうけた。
一方…
「撃て!!撃って撃って撃ちまくるんだ!!!日本機を一機も近づけるな!!!」
そうほえるかのように叫んでいたのはハルゼー提督だ。
彼の機動部隊は今、日本軍機の激しい攻撃に晒されていた。
しかし日本軍攻撃隊はハルゼー艦隊の空母の激しい攻撃をくらいかなりの損害をうける、しかし…
ついにレキシントンに最後が訪れた。
その後も日本軍攻撃隊の攻撃は続くが兵士達は疲れを見せ損害も大きくなっていた、しかし米海軍はレキシントンを損失、エンタープライズは損傷するも何とか持ちこたえた、しかしレキシントン攻撃隊は全滅、エンタープライズ艦載機もかなりの打撃をうけさらに真珠湾の施設はとことん破壊され向こうしばらくはハワイで補給かできなくなる。
対する日本艦隊も米攻撃隊の反撃をうけ加賀中破、翔鶴が小破、駆逐艦1隻沈没、航空機180機に損害が出た。(内未帰還68機)
日本海軍も大損害を受けた、しかし結果的に真珠湾はボコボコにされ日本優勢にはかわりない。
だが、肝心のハワイは占領されなかった……
こうして快調なスタートをきった太平洋戦争、北村がいる日本は今後どのように戦って行くのだろうか。
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