第34話.タ号作戦
タ号作戦とは日本陸軍によるモロッコ及びアルジェリアへの上陸作戦である。帝国存亡の為に軍部を押えてまで米英と講和をし、そして初めての共同での上陸作戦であった。
最終的に日本軍の兵力は数百万に達する予定だが今回モロッコに上陸するのは近衛、第5、第8、第21師団であった。
これに加えて自由フランス軍やイギリス軍11万人の上陸も行われる。
---神州丸---
「タ号作戦は、日本陸軍が最大の比重をかけた大作戦である。北アフリカは広大で実に我が日本陸軍が活動できるかも危うい場所である……っが後方からは米英の支援がある。兵站の面では彼らに任せておくとし、問題敵であるドイツ軍である。イタリア軍やヴィシー・フランス軍ならばなんとかなるかもしれないがドイツ軍の火力は我が軍を遥かに上回る……そこで、彼らが態勢を立て直す前に攻撃をし掛け陣地を突破する。要するにこの作戦はいかに早く、そしていかに確実に遂行するかが大事だ」
その後、山下大将は上陸地点を説明、その間にも多数の艦船が北アフリカを目指していた。その頃、日本海軍はヴィシー・フランス軍の基地を攻撃、これは交渉がやりずらくなるとアンリ・ジロー大将から批難されたが圧倒的な戦力の差により、ヴィシー・フランス海軍は無力化した。
その翌日、日本陸軍は上陸を開始した。
「やっぱり来たぞ!」
「日本軍か……」
「くそっ!…どうでもいいが俺達はいつまでドイツの味方をしていればいいのだ?」
「…さあ?」
フランス兵達がそう呟いていた。
しかしそれをドイツ兵の前で言うのは死亡フラグである。
日本軍の上陸用舟艇が砂浜に乗り上げると士官が軍刀を前に突き、叫んだ。
「突撃!!!」
「「「うおおお!!」」」
***ドイツ軍陣地***
「に、日本軍です!!」
「かなりの大軍のようだな」
「怖気づくな!相手は貧弱な日本の陸軍だ!我がドイツ軍が手こずるような相手ではない!!」
ドイツ軍の抵抗はすさまじく…というよりも日本軍の装備が劣悪な為に日本兵は多数が死傷、ドイツ軍も打撃を受けているものの日本軍よりも死傷者は少なく、余裕を持って戦っている感じであった。ところが日本軍は戦死1230人、戦傷898人を出したが数万の将兵の揚陸に成功させ、この地区のドイツ軍の討伐を開始した。
装備は断然ドイツ軍のほうが上、練度の面では互角、精神力もお互い高い、どう考えても日本軍に勝ち目はないが以外にも日本軍は善戦した。ドイツ軍は既にパンテル中戦車4両、ティーゲル重戦車3両、Ⅳ号戦車9両を失っていた。日本軍戦車の体当たり攻撃、至近距離からの対戦車砲による砲撃、歩兵の肉薄攻撃によるものである。さらにその後、日本海軍機動部隊の艦載機が陸軍を支援すべく、大陸に爆弾を落とし始めた。
先日の海戦で打撃を受けているとはいっても日本軍機動部隊は未だ健在であった。
その夜、モロッコのある場所に置いた連合軍司令部では山下大将とジロー大将が会談を行っていた。
「近頃の戦況は」
「うむ、我が軍は勝ち進んではおりますが…決してよいとは言えません。なにより敵軍の反抗はすさまじく、こちらの損害は増すばかりである。陽動に過ぎないこの上陸作戦でありましたが…はたして我が軍は進撃できるかどうか…」
「っとすると?」
「数はありますが、新型の装備を備える部隊は全軍合わせて30万、アフリカには10万ほどしかおりません。それでもドイツの兵器には劣ります。太平洋の島の戦いや英国の東洋部隊との戦いであればその程度でも十分でありました。だが欧州戦線や北アフリカ戦線ではそうはいかないようであります」
「確かに、我が自由フランス軍が保有する兵器、大抵はレンドリースされたものでありますが、ドイツのものには中々通用しませんな。兵力も不足しておる」
「まったく、いくら国際的に我が国の評価を高くする為とはいえ…とんでもない相手に宣戦布告してくれたな。私の国は」
「しかし、おかげで予想よりも早く対独戦は終了しそうであります」
「うむ、私は今後も指揮官として戦う、だが相手にも敬意を払いつつ指揮をとる」
山下があまりドイツの文句を言わないのも事実を知っているからであった。
特務機関からもたらされた情報によると、ヒトラー総統はお飾りであって、実際にドイツを操っているのはメッケルという男である。
さらにメッケルだけではなく、その他側近もヒトラーをうまく利用していた。山下…だけではなく、日本の解釈ではドイツが悪ではなく、かといってヒトラー総統が特別悪というわけではない、彼を操る輩こそ悪である。ただし勝手に悪と決め付けて戦争を行う自分達も悪人であるというものであった。
簡単にいえば日本政府は「戦争してりゃどちらも悪者、しかし勝った側が正義とされるのが歴史、国家は表政府だけではない、必ず裏政府がある」と解釈していた。
その頃、この上陸作戦を支援していた機動部隊提督の北村は…
(…この世界に来てから何年経っただろうか……戦争は未だ終わる気配がない。だが、学んだ。平和とは戦って血を流して得るものだと…それを学べた点からこの戦争を戦った事は俺にとってはよかった事なのかもしれない…歴史は変わってしまったが、過去に言って歴史をいじっても俺が生きていた現世には影響がないって話もあるし……まったく複雑だ)
「提督」
「ん?おお、参謀長か」
すっかり帝国海軍に馴染んでしまった北村だが基本は現代人である為、1人の時はいろいと悩んでいるようである。
「…やはり、お悩みですか?」
「ん?」
「いえ、我が海軍は母艦を3隻も失いました……赤城だって無傷ではないでしょう」
現在赤城は損傷部分を修理する為、14ノットで他艦の護衛をうけつつ移動していた。その為、現在の北村艦隊の旗艦は暫定的に「瑞鶴」となった。赤城は修理はされるがこの後大西洋に投入される事はなかった。その理由は大西洋は新鋭艦に任せるとし、赤城などの空母は日本近海の警備にあたる事になったからであった。
日本海軍は大西洋洋に雲龍型と改大鳳型の建造に力を注ぐことになる。
また現在の臨時旗艦「瑞鶴」も将来的には交代となる予定である。
翌日、タ号作戦第2次が行われ、モロッコに上陸した日本軍が総攻撃を仕掛ける最中、残りの軍も上陸を開始、ドイツ軍の反撃にあいつつも上陸には成功した。
さらに上陸の知らせを聞き、南からは主力部隊が進撃を開始、ついに陸上での反攻作戦が開始されたのであった。
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いつもより短くてごめんなさい。
次回の舞台は日本近海です。