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第31話.地中海海戦 上

2月28日、日本海軍機動部隊はジブラルタルを越えていた。

その隙に米機動部隊は上陸部隊を乗せた輸送艦を護衛、Uボートに怯えつつ大西洋を航海していた。マルシャル提督は日本海軍の一がつかめなかったが海峡を越える際にドイツ軍が発見、マルシャルはそれに従って向う、一方モロッコのドイツ空軍は艦隊の空爆を試みたがジブラルタルのイギリス軍にそれは阻止され、日本軍は無事に海峡を通過した。



地中海…北と東をユーラシア大陸、南をアフリカ大陸に囲まれた海である。内海故に波は穏やかで岸は複雑な海岸線に富んでいるため良港に恵まれているなどという条件から地中海は古代から海上貿易が盛んである。


現代でも世界の海上交通の要衝のひとつである。

---連合艦隊旗艦『武蔵』---


「電探に感は?」


「まだありません……む!?」


「どうした!?」


「電探に感!!凄まじい反応……大艦隊です!!」


「そうか!!とうとう見つけたか敵さんを!!」


武蔵の電探のみならず、その他艦艇の電探も大きく反応し、この付近にドイツの艦隊がいるのを知る。しかしドイツ軍は日本軍よりも先に気がついていた。同じく電探によってであるが日本軍の電探よりも進んだものを搭載していたのであった。

「提督!攻撃隊を向わせますか?」


「……いや!索敵機からの報告を待て!確かにレーダーが有効なのはとっくの昔に実証はされているがあまり頼りすぎるのもどうかと思う、そうは思わんか?」


「自分は提督が何故そんなに疑うのかが…」


「機械はどうやったって完璧ではない、いかれる時だってあるんだ」


「…なるほど、正確な情報を掴むべく……っという事ですな?」


「日本軍だってレーダーぐらいは持っている。それだけで正確な情報を掴んだとは思わないだろう。最後は人間の目なのだ」


お互いに索敵機を飛ばす。ドイツ軍とほぼ同時に日本軍は索敵機を送り出した。

ドイツ軍が索敵機を送り出すのに時間がかかってしまった理由は先ほどのような揉め事があったからである。しかし結果的にはドイツ軍が先に日本軍を発見する、日本軍はそれに送れる事5分であった。


海戦は先に敵を見つけたほうが有利である、従って今の所ドイツ軍が有利となったのである。

「よし!第一次攻撃隊発進!」


ドイツ軍第一次攻撃隊は187機、どれも高性能機ばかりである。

さらにパイロットは日本軍を凌ぐのではないかというベテランばかりであった。この日の為にドイツ軍は選りすぐりのパイロットを用意してきたのである。対する日本軍は……


「索敵4号より入電!敵大部隊見ユ!空母13!その他50!」


まさに、ドイツ海軍が誇る主力軌道部隊である。

「ようし、攻撃隊を…」


「索敵4号よりさらなる入電!我敵攻撃隊見ユ!大編隊デ我ノ艦隊ニ接近中!」


「長官!」


「急ぎ攻撃隊の発艦!及び直掩戦闘機隊の発艦を行え!」


「既に準備は万端!いつでも発艦できる状態です」


ついに日本海軍も動き出した。

航空母艦「赤城」飛行甲板……


発光信号が周囲の者に伝える。

そして叫び声も聞こえる。

「総飛行機発動!総飛行機発動!」


甲板では開戦以来、負けなしであった帝国海軍機動部隊の艦載機がエンジン音を唸らせペラを回していた。

「中佐!これを!」


「これは!?」


「整備兵が作ったもんです、どうかお供させてやってください」


攻撃隊指揮官が手渡された物は必勝と描かれた日の丸の鉢巻である。

「…ああ、よし!では行ってくる!」


指揮官は鉢巻を巻いて敬礼する、渡した男も指揮官の敬礼に答礼する。アメリカと戦って甚大な損害はあけなかつたのだからドイツにだって勝てると男達は思っており、その士気は開戦時、真珠湾攻撃の時から落ちてはいない、完璧な士気であった。


「発艦始め!発艦始め!」


赤城の飛行甲板からまず零戦が出撃する。

続いて彗星、天山も次々と出撃していき、やがて他の母艦艦載機と合流すると凄まじい数の編隊になった。日本海軍の第一次攻撃隊は218機、ドイツ海軍の攻撃隊よりも40機以上多い、ついでにいえばかつて真珠湾を目指して飛んでいった第一波攻撃隊よりも数は多い。これほどの編隊を組んで飛行をするのおそらく日本海軍史上初めてであろう。


後部銃座に座る者には艦首の菊が見える、そして朝日が彼らを照らす。

「…おい!見ろ!軍艦旗だ!」


やはり太陽はすごい、ここは太平洋でもないのにやはり太陽は軍艦旗のように輝いていた。

しかし…一方で日本軍は……

「…ん!?熊野より発光信号!敵機らしきもの見ゆ、距離2万!高度800!」


「直掩機を向わせろ!」


ドイツ軍攻撃隊は既に日本軍の艦隊に接近していた。

しかし北村の指示により上空には既に零戦、烈風による直掩戦闘機隊が対空していた。直掩機は増槽を捨て降下を始め斜め上空背面よりドイツ軍を奇襲攻撃した。


最初の一撃でドイツ軍攻撃機数機が撃墜されるがドイツ軍制空隊のメッサーシュミットはすぐに零戦との空中戦に突入した。

ある1機は攻撃機を撃墜して左に旋回しようとしたがその途端にBf109が零戦を背面から攻撃、強力な機関砲を機首に備えるBf109は零戦をあっさりとしとめてしまった。


格闘戦に突入すれば零戦が有利である、しかしBf109は重戦闘機のわりには小回りがきき速度も早く頑丈でおまけに攻撃力も高い。零戦が苦手とするタイプの航空機である。おまけに搭乗員はドイツ軍きってのベテランばかりであった。


しかし烈風では109と互角、それどころかやや上であった。

搭乗員は同じベテラン、強度や武装では109に劣るものの運動性能は非常に高く速度も109により近い、航空隊の人間に零戦の再来を言わしめただけに高い性能を誇っていた。それでもBf109は手強い相手である。


P-51のパイロットでさえ手強いと嘆くほどの相手であり、それに劣る日本軍機で相手にするには少々厳しい相手であった。ただ幸運な事に相手は艦載機タイプで陸上機ほどの高性能は出せない事である。今頃大陸では連合軍の航空部隊がBf109を始めとするドイツ空軍機を相手に多いに苦戦している頃だろう。


艦橋から空中戦を見ていた北村、視界には機影と被弾して煙が出たり撃墜されて火達磨になりつつ落ちる航空機の姿が見える、流石に遠すぎてどっちの軍の航空機かまでは特定できなかったが。

「…第2次攻撃隊の発進を急げ!」


北村はそう命令した。

一方、マルシャル提督らは……

「現在攻撃隊は日本の機動部隊を攻撃しているものと思われます、戦果は報告を待ちましょう。しかし問題は接近中の敵攻撃隊です。200機以上の大編隊で接近しております」


「いくら直掩機があってもそれだけの編隊を落すのは難しいな…」


「ええ、敵の航空機の性能は我がほうには劣りますがそれでもパイロットは我がほうを凌ぐほどのベテランと聞きますし訓練も我々より積んでいます。技術で勝って基本的で劣っているのが今の状況です」


「仕方がない、敵は勿論迎え撃つしかない、それよりも第2次攻撃隊の発艦を急ぐのが先決だろう」


その頃、「赤城直上」。


対空砲火がドイツ軍機を襲う、これが米軍だったならドイツ軍は甚大な被害を被ったであろうが後れた日本の弾である。被弾すたりすればそれは甚大な被害が出るのだが要はあたらなければいいのである。

うまく弾を回避した機は赤城の飛行甲板目掛けて爆弾を投下した。


風を切る音が響き、爆弾は赤城の甲板に命中、凄まじい爆発が起きて破片が飛び散っていた。

「やったぁ!!命中!!旗艦に発信!爆撃を敢行!赤城に1発命中!」


その背後でさらに爆撃を加えようとするドイツ軍機があるもののそれは赤城の必死の回避行動によりかわされる。何よりもまず旗艦が攻撃をうけてしまった。北村は大変ショックを受けていた。

「長官!異常はありません!ただこのままでは着艦不可能です!」


「困った、着水してもらうしかなさそうだ……」


「長官!」


「熱くなるな!いかなる状況でも冷静に判断するのが我々の仕事である」


「はい!」


幸い赤城は後部飛行甲板と艦体の一部を損傷しただけであり、修理は可能である。

しかし戦いはまだ始まったばかり、ドイツ軍攻撃隊はまだ日本軍の上空にいるのである。



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