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第30話.大海戦への序曲

昭和20年2月24日……

「「「ジークハイル!!ジークハイル!!ジークハイル!!」」」


史実同様、ヒトラーは国民から熱狂的な支持を受けていた。

彼も今、国民の支持をえるのに必死であった。ドイツが危機である事は彼も知っている、ドイツを救うには国民の力が必要だ、国民の力を利用するには自分達がしっかりしていなければならない、だからこそヒトラーは何を思っていようがいつもどおりのかっこよさを国民に見せつけていたのであった。


「我がドイッチュラントは危機に瀕している!ドイッチュラントを救うには諸君らの協力が必要だ!連合国は未だに我々に抵抗する!連合国の策略か日本までもが我々を裏切り敵に回った!その裏にはユダヤ人がいるのである!ユダヤ人をこの世から消しつつ、連合国を打ち倒し!本来あるべき世界を取り戻す!それが我がドイツ民族に託された使命なのである!」


「ジークハイル!」


ドイツはドイツなりに必死である、同時に日本は日本なりに苦悩をしていた。

「失礼します」


部屋に入ってきたのは鈴木貫太郎である。

佐々木首相とも知り合いであり実は密かに和平への道を探っていた。

「久しぶりですな鈴木さん」


「3年ぶりですかな?」


この2人が和平への道を探る理由はただ一つ、無駄な血を流したくない事だ。

この調子で行けば第二次世界大戦は今年中には終わらない、それだけ犠牲者の数が増えてしまうのである。佐々木も鈴木も出来る事ならば今年中に戦争を終わらせたいと考えていた。


そこで日本政府は中立国を通してドイツとの和平に出ようとするのだがドイツは和平に応じない、少なくともナチスの中にもせめて休戦に持っていきたいと考える者がいるのだがヒトラーはそれこそ地図から消すまで戦うと言い、和平交渉を行おうとはしなかった。


確かにドイツが劣勢になりつつあるとはいえまだ第3帝国には余力がある。負けが決まったわけではない。ドイツとしてもまだまだ戦う気があってもおかしくはない。

しかし世界は違った、特にアメリカでは厭戦気分になりつつあり日本でも近頃反戦活動が活発化、しかし日本が戦争をやめたくても相手が戦争をやめる気がないので日本は戦わざるを得ない、なので反戦活動を行う者達を静めるには戦争の早期終結が必要であった。


っがまだ戦争は終わらない……佐々木達は頭を悩ませていた。


「…やっぱりですか…やはりそう簡単には和平には応じてくれませんか」


「難しいものですよ」


「…ところで、今思ったのですが佐々木さんは何故、ヒトラーではなくスターリンを選んだわけですか?」


それはつまり、何故ドイツを裏切りソ連の味方についたかという事である。

「…その理由は簡単です。まず、味方の国を増やす為、確かにドイツは強力ですしドイツを味方にしたままでもよかつたのかもしれませんがそれだと頼れる味方はドイツのみ、しかもどっちにしたって我々もドイツも国際的には孤立しています。さらにスターリンを選んだのも後々の事を考えてです」


「後々の事?」


「結局の所ソ連も強い国です。我が国では勝てないでしょう。しかし万が一ドイツが勝ってソ連がドイツになったと想像してみてください、あの高い技術を持つ彼らがソビエトの資源を手に入れればソビエトよりも強大になる可能性があります。それにソビエトはナチスと違って放っておいても100年以内に滅びるものと私は予想しております」


「確かに、ソビエトは今は凄まじくとも長持ちはしそうではないですな」


実際にソビエトは1945年から100年もしないうちに滅びている。

しかもこの世界でのソビエトはモスクワまでも一時的に占領され死者の数も増え続ける見込みでありソビエト崩壊の時はもしかすると史実よりも早くなるかもしれない。


一方ドイツは違う、多少の変化はあるかもしれないがどっちにしても強いままいつまでも存在している可能性が高い。それにドイツと手を組んだとしてもヒトラーが健在な限りはいつまた今のように敵対するかもわかったものではない。そもそも味方がいなくなってしまう。



なので厄介なドイツを先にやり、ソ連は放っておいて崩壊を待つという方針を日本は選んだのである。

「なるほど……」


「基本的にドイツ人は敵ではない、しかし今のままでは敵でありつづけるかもしれない。そんなのは嫌でしょう、ですから今こそドイツと戦うときなのです。今やればもうドイツとの争いはないでしょう」


「信用してよろしいのでしょうか?」


「今後の我が国とドイツ次第ですな」


単にナチが嫌いだから戦争をする…というわけではなかった。

その頃、ドイツでは……

「何!?嫌がらせの攻撃!?」


この日、ベルリン近郊のドイツ軍基地に対し、日本軍8機は嫌がらせ攻撃を行った。

「はい、総統閣下、機体のマークからして日本軍機です」


「己…黄色い猿め……最後まで我がドイツの味方であると信じておったのに……」


「大丈夫です。日本軍機は空軍の戦闘機が全機撃墜しました」


「そうか……っまあよい。それよりもやはり日本は味方につけるべきだ。太平洋で暴れてもらわねばアメリカとの全面戦争になる。ソビエト、イギリスの二国ならまだしも全力のアメリカと日本が加われば我が第三帝国といえども不利である」


「現在交渉を行っていますが相手は和平をしたいそうです。もちろん断り我々との同盟復活を要求しましたが事はうまく進みません」


「……黄色くてチビで眼鏡をかけて出っ歯の汚い奴らめ…………ようし、ならば徹底的に叩いてやる!!マルシャル上級大将に伝えよ!我が地中海艦隊の力を持って日本海軍を撃滅せよと!」


「わかりました」


その後、マルシャル提督の下に撃滅命令が下された。

「総統閣下からの命令だ、日本海軍を撃滅する!!」


「ふふふ、我がドイツ海軍の力を見せてやる。たかが黄色い猿の海軍が我々ゲルマン民族の海軍に勝てると思ったら大間違いだ……」


マルシャル提督は慎重であったが回りの参謀達は自信に満ちていた。パワーアップしたドイツ海軍は日本海軍に勝てるぐらいの実力を持っていると参謀達は確信しているのである。

対する日本海軍もイギリス軍の暗号解読によってドイツ軍の動きを知り、作戦行動に移ろうとした。


航空母艦「赤城」艦橋……


「たった今マルシャルの艦隊が動き始めた。我々はじきにやってくるであろうマルシャル艦隊を迎撃、モロッコ及びアルジェリア上陸作戦を展開する為にはこの海戦、絶対に勝つ必要がある。マルシャル艦隊はそれこそドイツ海軍の総力をあげた部隊でありこれを撃滅する事はドイツ海軍の最後を意味する、すなわち予想される大海戦に勝利すれば予定されていた作戦を行う前にドイツ海軍を撃滅できるわけである」


「あとは…」


「油断をしない事だ、ドイツは強い!」


「長官!」


「皇国の荒廃、この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ!!」


「「「長官!!」」」


この海戦に勝利すれば、モロッコ、アルジェリアへの上陸作戦の難易度は低下、地中海の制海権すら日本のものになりさらにはドイツ海軍が急速に戦力を失うという事なのでノルマンディー上陸作戦の成功率も上がるという事である。


北村の「赤城」「加賀」「飛龍」「蒼龍」「翔鶴」「瑞鶴」を中核とする機動部隊、山口中将の「神鷹」「海鷹」「飛鷹」「隼鷹」「大鷹」「雲鷹」を中核とする機動部隊、南雲中将の「大鳳」「雲龍」「天城」「葛城」「笠置」「信濃」を中核とする機動部隊はそれぞれ基地を出撃しあらかじめ決めていた地点で会合、18隻の航空母艦に多数の戦艦、巡洋艦、駆逐艦が出撃。艦艇の数はドイツ側を大きく上回っていた。


しかし電子技術などの面ではドイツのほうが上である。

どちらにしても日本海軍は保有する大半の空母とすべての戦艦、数多くの巡洋艦と駆逐艦を投入、ドイツ側も持てる戦力の矛先をすべて日本海軍へと向ける。日本vsドイツの最初で最後の大海戦の火蓋が切って落されようとしていた。



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