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第27話.北アフリカ戦線

広島県、呉……


呉軍港は今日も沢山の艦艇で溢れていたが昭和20年1月30日、大鳳にある男が乗り込もうとしていた。

大将昇進した南雲忠一である。


北村の影に隠れてすっかり過去の人間扱いであったがサモア海戦での功績が認められその後大将に昇進、大鳳と雲龍型4隻、信濃を中核とする機動部隊の指揮官に選ばれてたのである。

当時素人と呼ばれていたがその後本来自分であるはずの任務が北村のものになってしまったことに悔しさを感じ猛勉強、その結果一流の提督になって舞い戻ってきたのである。


この頃になると海軍の人材に変化が見られる。まず連合艦隊司令長官は山本五十六から小沢治三朗中将へと変わり、その代わり山本五十六は軍令部総長を務める事になった。



この機動部隊は途中セイロン島へ向いそこで英軍と合流、マダガスカル島へ目指し連合軍占領地域へ上陸を行う部隊の護衛を行う、現在あの海域にはイタリア海軍の航空母艦2隻がうろついている為日本海軍も空母を持っていく必要があった。もしなかったら全部大西洋に持って生きていぐらいであったが。


この作戦には上陸部隊は30万近いイギリス軍が参加予定である。

一方でアフリカ大陸でも連合軍支配下のあたりでは残念より地道に移動していた約200万人の日本陸軍が待機していた。一大反攻作戦を行う為に陸と海から攻撃をしかける為である。背後からイギリス、自由フランス軍と共に攻撃を行いその隙にモロッコ、アルジェリアへアメリカ軍と共に上陸するという作戦を行おうとしていた。その後はチェニジアを目指し、これを攻略した後シチリア島を攻略、そしてイタリア本土へ上陸する予定であった。


一方これを防衛するにはロンメルもエジプトから兵力をモロッコ、アルジェリア方面へ送る必要に迫られる、そこでモントゴメリー率いるイギリス軍が反撃を行い挟み撃ちを行う。これが北アフリカ奪回作戦である。



この日、遣北阿軍の総司令官に任命された山下奉文大将はアフリカを視察していた。シャルル・ド・ゴール将軍と出会ったのもここであった。

「貴方が日本陸軍の山下君かね?」


「大日本帝国陸軍遣北阿軍総司令官、山下奉文であります。貴方の事はすでに聞いております、ド・ゴール将軍」


「そうか、ならば話が早いな。とにかくドイツから離れこちら側についてくれた事、そして200万も兵力を提供してくれるという事について感謝したい」


「こちらこそ、仏領アフリカへの駐屯を許可してくれた事に感謝しております」


双方とも軍人である。軍人同士、なにか血の繋がるものがあるのだろう。

マレー作戦やビルマ戦、インド戦線で武勲をあげた山下、緒戦において活躍し敗戦後も軍を率いて抵抗を続けるド・ゴール。互いに功績と失敗を認め合い両者はすぐにこれから共に戦う仲間としてお互いを認め合った。


「私は日本でクーデターがあった頃から薄々感じはじめていた。あの様子ならいずれ日本はこちらの陣営に来るだろうと」


「………しかし、アフリカとは広いですな」


「うん、しかしいきなりノルマンディーに上陸する部隊は大変だろう、いくら東部戦線にほとんどが行っているとはいえドイツ軍は手ごわい、徹底抗戦をしている身であるからそれはよ~くわかる」


「アフリカはまだマシという事でしょうか?」


「いや、なんたって大陸の多くは砂漠だ、敵の数は東部より少ないとはいえ、地獄には変わりないだろう」


「確かに、マレーやビルマ、それにインド東部よりは遥かに劣悪な環境でしょうな」


山下も不安であった。

こんな所ではたして自軍の兵器がまともに使えるだろうかと。はっきり言えば日本陸軍は砂漠の戦いなどまったく想定していなかったため、砂漠でも大丈夫だという装備は全くといっていいほどない。まして日本陸軍は広い場所で会戦をするには火力不足でありこのアフリカという戦場は日本陸軍にとって地獄以外の何者でもない。その点から言えばまだノルマンディーに上陸する遣欧軍のほうがマシだろう。


最もアフリカでの戦いもノルマンディー上陸作戦も発動まではまだ時間がある。海軍の主力や輸送艦部隊が到着しないと実行できないからである。


今の任務は防衛戦であった。しかも陸上戦は本当に小規模なものしかなくメインはドイツ空軍やイタリア空軍との空中戦であった。山下大将とド・ゴール将軍が会談している間にも、室内に声が響いてくる。


「敵襲ー!!!独逸、伊太利亜空軍機多数!!」


「きましたな」


「うん」


飛行場では兵士達が愛機の下へと走って行く姿が見られ整備兵は発動機を回すまでの準備を行う、搭乗員が乗り込むと発動機が回されプロペラが勢いよく回った。


アフリカにはあまりマッチしない、日の丸を描いた戦闘機が砂埃を蹴立ててアフリカの空を飛ぶ。

迎撃に上がった戦闘機隊の中には陸軍の撃墜王、かつてはビルマの桃太朗と言われた穴吹智の姿もあった。


「1時の方向敵機多数!!」


「ついてこい!」


一式戦闘機、二式単座戦闘機、三式戦闘機、そして最新鋭の四式戦闘機がメッサーシュミット、フォッケウルフ、フィアット、マッキの編隊に突っ込んでいく。


穴吹曹長はこの時四式戦闘機に乗っていた。

「メッサーシュミットにフォッケウルフか……隼や鍾馗ならどうかは知らんが疾風ならやれる!!」


穴吹には自信があった。陸軍航空隊こそ最強であるという自信があるのだ。それは相手がアメリカ陸軍航空隊だろうがイギリス空軍だろうがルフトバッフェだろうが勝てるというものである。


既に北アフリカに来てから彼はBf109を1機撃墜している(ちなみに飛燕で撃墜)。そういう自信はある意味では強みであった。


とりあえず彼は狙いを1機のFw190に定めた。

(あれは…後期型だな………流石に手強い奴だ。だが撃墜できない相手ではないはずだ…)


穴吹は敵機の頭上から未来予測位置に向って機銃を撃ち、曳光弾はFw190の機体に吸い込まれていった。最初は木っ端を撒き散らすだけであったものの右翼が捥げ、機首から炎が出るとFw190はアフリカの大地へと落ちてゆく。穴吹、アフリカに来てからあげた二つ目の戦果である。


「…?」

穴吹は偶然、飛燕と並ぶ。その飛燕のパイロットが指で上を指していた。穴吹は上を見るとBf109Gが強力な機関砲を撃ち自分を攻撃していた。疾風の優秀な運動性能をフルに活用し、バレルロールを行い避けた後上昇しながら左へと旋回していった。


「くそぉ…」


眼下に燃えながら墜落してゆく隼や煙を噴きつつ墜落してゆく疾風の姿が見えた。ドイツ空軍は強い、日本陸軍航空隊はドイツ空軍の前に苦戦していた。


Bf109もFw190も日本軍の予想を遥かに上回る強さであったるそれはパイロットがベテランである事や日本が持っているものよりも性能がいい改良型であるせいだ。それでも史実だとP-51を相手に戦う事ができた疾風は強力なドイツ空軍機とも互角に戦う事ができた。


この日の空中戦はドイツ、イタリア軍機の迎撃には成功したが日仏軍戦闘機隊は13機が撃墜され8機が行方不明、5機損傷、痛手であった。

しかし同時に都合のいいニュースが入ってきた。山下とド・ゴールにもそのニュースは伝わった。


「…ソビエトがモスクワを奪回したようです」


「おお……っしかし山下大将、冬が終わればまたドイツ軍が攻勢に転じてモスクワが再占領されるというのがオチではないのか?」


「…いや、うちの首相曰く、ドイツは既に限界を超えているらしく以後東部戦線は赤軍が有利に戦いを進めるそうです」


「本当か?」


「もちろん予想ですからね。まあ賭けてみましょう。この一連の反攻作戦を行うには赤軍が東部戦線でドイツの主力部隊を釘付けにしてくれなきゃできないわけですからな」


それから数日後、南雲機動部隊はセイロン島へ到着、客船や漁船までもを投入したイギリス軍輸送船団と戦闘により消耗している為貧弱になっていた東洋艦隊と合流、マダガスカル島を目指した。

さらに北村機動部隊や山口多聞中将率いる機動部隊も大西洋を目指して補給を受けつつ航海をしていた。物資を運ぶ艦艇の護衛も行いつつ。


赤軍はモスクワを奪回した勢いにのり独ソ戦開戦時の位置に押し戻すべく大作戦を発動、冬将軍に助けられながらかなりの進撃速度でドイツ軍を押していた。それでもナチス・ドイツは抵抗を続ける。まだまだ戦争はどちらが勝つかわかったものではない状況でありこの先何年続くかもわからない。


ただ一つ言える事は連合軍の反攻作戦が開始されようとしている事であった。そしてその中に対米英蘭講和を果たし上手な外交と相手の動向、そして運もあって日英同盟が復活、アメリカとも相互に協力し遭う日米同盟条約を締結し、敗戦への道を歩まず開戦当時以上の勢いがある日本が健在している事であった。








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