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第25話.日米講和

昭和19年1月28日……ワシントンにて……


この日は歴史に残る運命の1日であった。

日本とアメリカの2年に渡る戦争が日米講和という形で終結したのである。


これは両国の新聞の一面に載った。

日本の新聞。

日米、遂に講和せり!2年に渡る戦火に終止符が打たれる!


アメリカの新聞。

Japan-U.S. peace A war toward Japan ended.


この戦争、誰が見てもアメリカが勝つはずであった。

日米の国力の差は凄まじい、たとえ緒戦で敗退しても後から反攻が開始されやがて日本は負けるはずだった。ところが山本の思惑通りそうなる前に日米は講和し対米戦争は終わったのであった。


この日米講和は多少の揉め事があったものの日本はハワイ諸島とフィジーやサモアをアメリカに返還し、さらにフィリピンやニューギニア、インドネシアなどの国々を正式に独立させアリューシャン列島からも手を引いた。


アメリカも日本が独立させたアジアの国々を承認、さらに日本とのまともな国交も回復させ石油などの資源の輸出を再開、これで日本は当分資源には悩まなくて済む。


しかし領土返還と独立は日本にとってあまりメリットはない、だからかこれを決定するまでにはかなりの揉め事があったのだが佐々木首相らの努力や天皇のお言葉によりなんとか決定される。


その結果日本の委任統治領はそのままとなりそして新たにミッドウェー諸島は委任統治領となる。以降一方はここに航空基地を設営し万が一の対米開戦に備える事になる。なお中国もこれに便乗してアメリカと講和を果たしこの一ヵ月後にはイギリス、オランダとも講和をする。


特にイギリスの場合、元々日本との戦争に乗り気ではなかったため「アメリカがやめるなら俺達もやめようか」という事でイギリス側から講和を申し入れたのである。

講和までの会談で日本は対独戦参戦を検討中と米英に伝えておりこれによりイギリスの議会では日英同盟復活の検討までしていた。



アメリカも自軍の太平洋艦隊を壊滅させパナマや西海岸までもを攻撃した日本がアメリカも悩んでいる対独戦に参加してくれるのは好都合であった為、日米英による三国同盟締結への働きも見え始めていた。

日本政府は次の相手であるドイツ、イタリアを中心とする枢軸国との戦争に備え、準備を始めていた。



対米英戦での消耗から今すぐの参戦は不可能でありある程度の準備が必要であった。さらに日独伊三国軍事同盟を脱退する必要もあった。4月10日、日本はそれを脱退、ヒトラーは当然怒った。


ベルリン……

「黄色い猿どもめ!!!これでは我が第三帝国が連合軍どもに包囲されてしまうではないか!!!」


「ご安心ください総統閣下、自分の予想では日本の参戦は1945年までないものかと」

メッケルはヒトラーの怒りを静めようとそう言ってみる。


「…本当だな?メッケル君」


「はい、既に日本はアメリカ、イギリスと2年に渡り手を交えておりあの貧弱な国力からすればそろそろ限界であるはずです。ただアメリカ、イギリスの支援を受ければ1年で復活するでしょう。その事を考えれば1945年までは日本の参戦はありません。我々は今までどおりソビエトを攻撃、念のため西部の防備も堅める。そして対日戦をするなら当然インド洋に進出する必要があるのでその為にもマダガスカル島は占領する必要があります」


「う~ん、マダガスカル。未だに奴らが抵抗しているのが不思議だ」


マダガスカル島では現在ドイツ、イタリア、ヴィシーフランス軍とイギリス、南アフリカ軍が戦闘を行っておりすでに連合軍は島の南側に押されようしているが抵抗を続け枢軸軍を苦戦させていた。

「このままだと1946年になっても戦っているでしょう、それは避けなければなりません総統。少なくとも来年までに全島を占領しなければ日本海軍の思う壺になるでしょう」


「奴らの場合、陸軍は貧弱だからほっといても問題はなさそうだが……海軍は我が国の上をいっているからな…」


「ええ、規模ではね。ただし電子技術や兵士の質では我が海軍のほうが上かと思います」


「奴らに勝つには技術か?」


「その通りです。それにまもなく地中海にて機動部隊が編成されます」


ドイツは現在、地中海艦隊たるものを編成中であった。

しかもそれはドイツ海軍始めての機動部隊である。ドイツ海軍は第一次世界大戦敗戦以降、艦艇保有数が制限されてしまい再軍備後は海軍復活に向けて軍備を整えていったものの開戦には間に合わず非常に貧弱な海軍しかもっていなかった。


その為、ドイツ海軍は小型でしかも強いUボートを大量に建造し、一方で大型艦の建造は行われなくなった。しかしメッケルの策略によってゲーリングは暗殺されかわりの人間が空軍大臣となる。また空軍はバトル・オブ・ブリテンでの敗北などにより発言力を失っていた。つまり海軍は誰にも妨害される事なく艦隊を編成できるようになったのだ。



既に正規空母ではグラーフ・ツェッペリン級航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」「ペーター・シュトラッサー」、エウパロ級航空母艦「エウパロ」「ナッサウ」が竣工、さらに現在ベルリン級航空母艦「ベルリン」「オルデンブルク」「アドミラル・リュッチェンス」が建造中であった。


これだけではない、軽空母なども用意されておりイェーデ級2隻のうち1番艦の「イェーデ」は竣工、2番艦の「エルベ」はもうすぐ進水予定、元アドミラル・ヒッパー級の「ヴェーゼル」も就役し元フランス軽巡「ド・グラース」の改装工事も進んでいた。


それでも現在正規空母4隻、軽空母2隻が健在でさらにマッケンゼン級巡洋戦艦4隻もうち3隻就役、1隻建造中、ヨルク代艦級1隻就役、2隻建造中、H級(H39)として計画され今は建造中止となっていた2隻を航空母艦として就役させる事になったバイエルン級航空母艦2隻が建造中であった。


このようにドイツ海軍は強力な艦隊を地中海に用意しようとしていた。イタリアも空母2隻を建造し竣工させマダガスカル島攻略部隊を支援していた。

ドイツの地中海艦隊だが当然機動部隊には艦載機が必要である。しかしドイツは空軍の妨害により艦載機の量産を行っていなかったことと海軍航空隊の規模が小規模であった為相当の苦労をしていた。



とりあえず現在は複葉機ではあるがFi167が量産された。

このほかにも艦載機用にJu87C及びEが生産され戦闘機としてはBV155を予定していたが開発が遅れている為急遽Bf109を改造、Bf109S(最高速度620km/h、航続距離720km、武装13mm機銃×2、20mm機関砲×2、30mmモーターカノン×1)を開発、生産した。



しかしBf109は航続距離が短くJu87及びFi167も日本海軍やアメリカ海軍の艦載機と比べれば遥かに劣っていた。そこでドイツは雷撃も爆撃もできる航空機の開発をドルニエ社に指示、結果Do299シュバルツウフォーゲル(黒い鳥)が開発され現在試験中である。


スペックとしては最高速度542km/h、航続距離1320km/h、乗員3人、12mm機銃×3(後部旋回機銃×1、機首×2)、爆装 胴体500~800kg爆弾1発、または250kg爆弾2発、翼下30-60kg爆弾4発 雷装 850~1,060kg魚雷1と航続距離以外は現在日本で生産が開始されている流星とほぼ同じ性能であった。

しかし流星とは違い機上レーダーがあり索敵能力が流星に比べて増している。さらにエンジンパワーは流星より上であった。


そして44年になるとドイツ軍はジェット機やロケット機の運用を始めたりミサイルを実戦に使おうとしていた。この時点でドイツにしかないものであった、精々ジェット機はイギリスがもうすぐ実戦配備をしようとしたりアメリカで開発中であったり日本でも盗んだ設計図を元に開発、研究が行われている程度であった。



日本の北村、ドイツのメッケルの2人の存在は戦争の早期終結はおろかむしろ戦争が長期化する原因となっていた。メッケルはその気であったが北村は自分が日本にすべてを教えてしまった事を後悔していた。

昭和19年になっても枢軸国が優勢、第二次世界大戦ははたしてこのあとどういう展開になるのだろうか、世界はますます混乱してゆく。



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