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第24話.歴史は動く

昭和19年10月、北は北、ソ連スヴェルドロフスク(エカテリンブルク)ではスターリンが立て篭もりモスクワを奪回せよと日夜叫んでいた。


しかしスターリンは日本へスパイを送り込み、その結果日本は密かに対独戦の準備をしているという疑惑が生まれた、これにスターリンは期待した。

たとえ帝国主義の国であろうとも今は祖国が危機、ドイツを倒してくれる味方がいるならはそれでよいと考え、強力な海軍を持つ日本をなんとか味方につけさせようと考えていた。


「なにぃ!?ドイツ軍がまた進撃を始めた!?」


「はっ!我が軍は退却を行いつつ火力を集中させ、冬の大攻勢に備えております」


「退却?それは許さん!!死守するのだ!!ロシアを、ロシアを捨ててはならん!!このロシアを、ロシア人の血で守るのだ!!」


「了解!!後退を止めさせ死守させます!!」


スターリンは腹を立たせながら椅子に座る。

そして腕を組みながら次なる報告を待っていた、その後、死守を命じられたソ連軍はドイツ軍に対し決死の抵抗を見せていた。


無数のT-34、そして兵士達、彼らは一丸となってドイツ軍に迫っていった。

「ウラァァァァァァ!!!!」


「前方、ボリシェヴィキの奴らが多数!!」


「迎え撃て!!ソ連軍など怖くもない!!」


「射っ!!」


ソ連軍はドイツ軍の激しい抵抗に遭った。

しかし、ソ連軍は全く無力というわけではないねソ連軍は実の所、陸戦では物凄く強い軍隊なのである、雑魚というのはまったくの大嘘であった。

「ファシストが逆に攻勢をしかけてくるぞ!!」


「怯むな!!全軍突撃せよ!!母なるロシアを守るのだ!!!」


ソ連軍は凄まじい攻撃を加えた。

それにより、ドイツ軍は決して軽微ではない損害を被る。さらに空でも熾烈な戦いは繰り広げられていた、錬度と機体の性能で劣るソ連軍は数で勝負、ドイツ空軍の航空機よりもソ連軍機のほうが数が多く、空は赤い星で埋め尽くされていた。


「気をつけろ!!敵は数が多い!!」


流石のルフトバッフェも数で圧倒されれば最強ではない。

その分、ソ連は1機を撃墜するのに何機も失っていたが……


「気をつけろ!!後ろからファシストが多数!!」


「うあああ!!!」


海でも…軍事物資を運ぶ艦船がUボートの餌食になっていた。

「用意…射っ!!」


各艦から魚雷が放たれ、連合軍の輸送艦を狙う。

連合軍輸送艦はなす術もなく、ドイツ軍のUボートに撃沈されていった。

「くぅ!!駆逐艦を向わせろ!!」


「ダメです!!ソ連の駆逐艦はもう残りが……」


「ソ連の海軍はもうダメか……」

ソ連海軍は日露戦争で痛手をうけた上にその後内戦でさらに痛手を受けてしまう、この時点ではまだ完全には復活していなかった。ましてやUボートと急降下爆撃機の脅威に晒されソ連海軍は壊滅状態であった。


ただ有力なのは潜水艦隊、しかしドイツが展開させているのも潜水艦隊でありましやドイツは艦隊整備中である…海軍の活躍なんて鼻糞の粒にもならない程度でありUボートを相手に消耗していった。


やはり、メインは陸戦であった。

ところが最近、T-34の優位性が失われつつあった、それはドイツにある戦車が登場したのが原因であった。それはⅥ号戦車ティーゲルであった。


88mm戦車砲を搭載し正面装甲は100mmにもなる、この化け物のような戦車を相手にT-34は次々と撃破されていった。

さらにパンテルも猛威を振るっていた、こちらは中戦車でありながら重戦車並のパワーとディフェンス、そして高い機動性も持っていた。


中戦車であるからT-34がいい相手…ではなく、どちらかというばソ連の重戦車のほうが好敵手であった。しかもその重戦車の85mm砲では火力が少しばかり足りなかった。

「来る!来る!!化け物が来るぞ!!」


「もっと近づけ!!撃破できない戦車なんて存在するはずがないんだ!!!」


中には側面や後面へ接近し、砲撃を行いティーゲルやパンテルを行動不能に陥れる車両もあった、また数で圧倒していた。しかしながらソ連軍の損害はますます甚大なものへとなっていき11月後半、ようやく冬将軍が訪れソ連も大攻勢をし掛けドイツは一端前進を停止するもドイツ軍は一歩も引かず逆にソ連軍は厚い装甲に跳ね返された砲弾のように弾き返されていた。


ソ連にとっての武器、それは冬将軍と数と愛国心。

しかしそれらがあったとしても限度はあった、ドイツ軍はソ連軍の攻勢を防ぎきりそうな勢いであった。


場所は変わって再びスヴェルドロフスク。

「ひ…ヒトラーめ!!思い出せ、貴様が今台頭していられるのもソ連のおかげであるという事を!」


ドイツ再軍備前、ドイツは秘密裏にソ連領内で訓練を行ったり兵器の開発を行っていた。

ソ連があったからこそ今のドイツ軍がある、だからスターリンにしてみればドイツのソ連侵攻は自分の子供に裏切られて自分の子供に存在を消されるのと同じ物であった。


親として、ソ連はドイツを押える必要があった。

「同志スターリン!ドイツ軍は鉄壁の防衛線を貼り、なおも我が軍の攻勢を弾き返しているとの事です」


ドン!


スターリンは力強く机を叩いた。

「おのれ……おのれヒトラー!!!…一体私になんの恨みがあるというのだ!!!…しかし、私は一歩も引かない、たとえウラル要塞がおちてここスヴェルドロフスクも占領されてしまったとしても、まだまだロシアの大地は広いのだ!!ドイツの補給線など伸び切ってしまう!!人もまだいる!!来てみやがれ!!最後に勝つのは我が祖国、ロシアなんだ!!!私は最後まで抵抗するぞ!!!」


スターリンがそう叫ぶのも無理がない。

スターリンじゃくともソ連の人民なら誰もがそう叫ぶ、母なる底へ、母なる大地へドイツが迫っているのだ。当然攻められる側としては祖国を死守し最後の一兵まで戦うと叫ぶだろう。


現にチャーチルがそうであった。

どこまでも英国は抵抗するとかつて言い、既に親独であるヴィシー政権となったフランスでさえ、シャルル・ド・ゴールが自由フランス軍を率いて主にアフリカなどで抵抗しフランスでもレジスタンスを地道に活動させドイツに抵抗していた。


もし…日本にどこかの国が攻めてきたら、今の時代はどうかはわからないが大日本帝国の人間ならば一億玉砕を掲げて祖国防衛の為に戦うだろう。

国を守るために戦うという気持ちはどこの国民も変わらない。


そして、今ソ連人民がその意気込みであった。

ソ連は、スターリンが健在な限りいつまでも、たとえソ連がなくなったとしてもドイツに抵抗すると誰もが予想していた。



そのスターリンの下に今、手紙が届いた。

「どちらからだ?」


「はっ!日本からです!」


「日本から!?どれ!!!」


スターリンは日本からの手紙に興味を示しそれを読んだ。

その内容は、翌年には米国との講和となりそうだという事、そしてそうなった暁には我が帝国は連合国陣営につき対独参戦を行うという者だった。


「…やった……日本は…日本は我がソビエトの味方になった!!!」


「おおおおおお!!!!」


それは決して完全な味方ではない。

現に日本はこの時から戦後、ソ連とは対立するだろうと予想していた。つまり冷戦である。

「これで、完全に背後から攻撃される心配はなくなった!!我々はドイツと全力で戦える!!!」


…だが、この状況ならばたとえどんなのであろうが、味方になってくれるのは嬉しいだろう。そして、手紙に記されている通り日本とアメリカは日米講和へ、徐々に近づきつつあった。

これはある事件のせいである、全米からホワイトハウスへ人々が殺到しルーズベルトへ退陣を迫ったのである。


この事態をうけて流石の側近達も…

「大統領閣下、このままではクーデターすら…」


「クーデター!?それは…合衆国の自由を脅かす!!!」


「大統領閣下…それは仕方ないでしょう、今の合衆国の自由は見た目だけです、現に大統領閣下はドイツ系やイタリア系よりも日系人に対してひどい仕打ちをしているではありませんか?」


「うぅ……うるさい!!!それは戦略的にも重要な事である!!大体まだ合衆国は負けていない!!艦隊だって大西洋で準備が整いつつあり、陸軍だって……そうだ、反攻の準備は整っているのだ……」


その時、部屋に大勢の武装した…アメリカ軍の軍人が侵入してきた。

「な…何事だ!?貴様らはどこの部隊!!」


バンバンバン!!


とうとう国民の怒りは爆発したのであった。

このままルーズベルトに任せておけば西海岸はさらに砲撃をうけ、東にもUボートが進出、すでにニューヨーク沖で客船がUボートに撃沈されUボートの艦砲射撃も僅かながらに行われているという。


アメリカ国民は危機感を感じ今こそ団結して戦うべきだ、そして真珠湾攻撃に至るまでを知っていてどちらかといえば反政府であった者は日米開戦は米国の責任にあると迫っていた。

ハル・ノートを突きつけられたらどんな文明国でもキレて戦争をやるのは当然…というのが今回クーデターを起こした者の見解である。そのクーデターを指揮したのは陸軍はマッカーサー、海軍はニミッツであった。



仲がよろしくない彼らだがいくら反攻を開始したって日本には勝ってもドイツに対しては手薄になってしまう、それに秘密裏に開戦までの経緯を知った彼らはこれは日本が怒っても当然だろうと思いアメリカを戦争に引き込んだルーズベルトを打倒しようという所で利害が一致、お互い協力しあったのである。


日本時間で昭和18年12月8日、クーデターが終了、かつて昭和16年に日本で起きたクーデターのようにそれはあっさりと終了した。


偶然にもこの日は大東亜戦争開戦から2年目であった、大統領候補であるニミッツは太平洋に展開している艦隊全てに戦闘停止命令を下し、日本側もそれを受け入れて一端戦闘を停止。

陸軍も戦闘を停止、ここに事実上、日本対アメリカの戦争は終結した。


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