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第2話,日本会

海上自衛隊海将補であった北村雷蔵54歳は川で死んでしまったはずだが目が覚めるとそこは昭和15年の日本であった。

そして病院にお見舞いに来たのはなんと、連合艦隊司令長官である山本五十六であった。

北村は山本のお願いで同行、とある場所へ連れて行かれる事になった…


午後1時。

「ちょ…長官。その服装は?」


「ああ、なんせ、命を狙われているからね。変装ぐらいしないと安心してすごせたもんじゃないよ」

山本は命を狙われていた。

そして、北村に警告をする。

「北村君も気をつけたほうがいい、君も下手をすれば命を狙われる側になる」


「は…はぁ~」

そんな警告をうけた後、彼は周りを見回した。

確かによく写真ででてくる昭和初期の日本街並みだ。

ここでようやく彼は、本当に昭和15年の日本にきてしまったと感じたのだ。


「……」


「…」

山本と北村は近くにあるベンチに座ってお迎えの車がやってくるのを待っていた。

しかもお迎えの車の運転手は山本曰く陸軍の将校らしい。

日本会と呼ばれる組織には海軍のみならず陸軍も参加していた。



「おっ、お迎えが来たような」

黒い塗装の1台の自動車がやってきた、中から運転手が降りてきて扉をあけた。

「どうぞ」


「どうも」

2人は後部座席に座る。

そして車はある場所へ向けて走り出した。



「貴方が海軍少将の北村雷蔵さんですか?」


「えっ?ああ、そうですが」


「ッハハハ、敬語なんて使わなくていいんです。自分は大日本帝国陸軍少佐の木之本和哉であります」


「そ…そうなんですか……」


「だから自分のほうが階級は低いんですよ」


「ああ、すまない」


「いや、いいんで……いやすみません調子こいて!」


「はぁ…」

運転手は陸軍の木之本という男であった。

彼も日本会のメンバーである、海軍にくらべると少ないがそれでもかなりの数の陸軍さんが日本会に所属しているとの事だ。


「………しかし、君も大変だろう」


「ええ長官、ただ自分の場合まだこんな事をしているとはバレてませんので」


「そうか」

木之本は幸い、日本会に所属していることを知られてはいなかった。

日本会の存在もバレてはいないが日本会の幹部(山本など)には不穏な動きがあるとされ命を狙われていた。


「日米開戦…ですかぁ…もしなってしまったらどうなるんでしょうね」

木之本が運転しながら喋ると、山本はこう言った。


「おそらく、負けるだろう。日本の国力からして米国の国力には敵わない。ただしやるとなれば止むを得ない…俺はもう、作戦は考えているよ」


「作戦?」

まさかと思いつつ北村は山本に訊いた。

もちろんその作戦とはあれである。


「……航空機で真珠湾を叩くんだ」


「ええっ!?航空機で!?」

木之本はかなり驚いていた。


「うむ、もう戦艦の時代は終わったと私は考えている、これからは空母だ。日本の機動部隊はまだ不十分とはいえ大分強化されている、今やれといわれたら不可能だが翌年松たりなら実行は可能だろう。もっとも私は日米開戦を望んでいない、そうならない為に今我々は活動しているんだ」


「そうですね」

木之本は同意していた、北村も同意はした。

アメリカとの開戦は自殺行為である事ぐらいわかっている。



そして、車で走る事10分、ある和風住宅に到着した。

「ここが?」


「そうだ、日本会の基地だ」

一見はただの家だ、だからこそ秘密基地なのであるが。

ここになにがあるかなんて誰もしにない、ただあの人の家だとぐらいにしか。


ゴンゴンッ!

山本は扉を叩いた、中から声がする。

「誰か!?」


「山本だ」


「長官でしたか、ただいま鍵を」

扉の鍵があけられた。

家は古臭い日本の家であったが真ん中らへんには大きな部屋があった。

その部屋には…ずらりといろんな人がいた。


(山本五十六のいっている事は本当だった…米内光政も井上成美も…服装からして陸軍の人もいる…)


「っふふふ、驚いた?全国にはかなりの数がいたとボグは思うよ」

最初に北村に話をかけたのは米内であった。

この様子だと皆北村の存在を知っているようであった。


「まあ、メンバーを紹介しとくよ」

米内は今ここにいるメンバーの紹介を行った。

もちろんこの中には陸軍もいた。


陸軍と海軍は仲が悪かったそうだがここでは例外であるらしい。

その陸軍の人とは…大将であった。

彼は佐々木整ささきひとし、陸軍大将で数ヶ月前まで支那にいたらしいが今は内地に戻っている。


彼も三国同盟と日米開戦に反対であった人物の1人でいろいろあって日本会のメンバーになったとか。

「よろしく頼む」


「こちらこそ…」


「…さて、一通りの紹介が終わったようだ……っが北村君、いろいろ知っておるんだろう?」


「えっ」

突然米内がそう突っ込んできた。


「山本君からは聞いてるよ、君はいろいろ知っていると」

どうやら北村はいろいろしっているという設定らしい。

無論彼は戦後生まれでいろいろ知っているが。


「…はい、これを聞いて皆さんがどう思うかはご自由です。ただし今後の事だと思って聞いてください」


「うむ、興味があるよ」

まるで米内達は、北村が未来から来たのを知っているかのようであった。

(もちろん知らないが)

北村はここから先日本がどうなるかを簡単に説明した。

もちろん、なにも知らない帝国軍人達は驚きを隠せず嘘だと思うものすらいた。


その中で1人、悩むのは山本五十六であった。

「う~ん……君は最初にいった通り本当に未来から来たみたいだな…すると今までの我々の記憶は?」


「それが自分にもわからないのです。なぜ長官達が自分の事を知っているかも」


「それは謎だ…いや、しかし詳しい事が知れて半分は嬉しいよ、もう半分はほぼ、絶望だが…」


「…」

部屋の空気が一気に暗くなった。

北村が話したのは日米開戦が本当にある事、日本は戦争に負けた事、大勢の犠牲者が出たこと、原爆が2発も落された事、そして戦後の日本だ。


「ボグは…日本が戦後復興した事は嬉しい、やはり日本は勝つべき国ではないんだと思うよ、だが…日本人としての最低限の誇りもないというのは流石にいただけない」


「すみません…皆さん」

北村は謝る、そこで井上が喋った。


「なあに、北村さんのせいじゃありませんよ。元は自分達のせいですよ。とにかく自分は北村さんが未来から来た事を信じる、嘘にしてはできすぎているからね。とにかく、今は共にがんばりましょうや」


「…はい」


「よし、っというわけで、乾杯だ」


「はい!」


こうして皆、酒盛りをするのであった。

しかし北村にとって疑問があった、この日本会はこれからどうするのかという。


「あの、米内さん」


「ん?」


「今後、日本会はどうやって、日米開戦を避けようとするのですか?」


「う~ん、とりあえず今の時点ではひたすらの抗議だよ、ただ。いざという時はクーデター」


「く、クーデター?」

北村は驚いた、その為にクーデターを起こす構想さえあるという。

自分が入ってきたからだろうか、徐々に日本の歴史が変わりつつあると北村は思っていた。


「日本人に帝国主義は100年早い、わからせるために徹底的にやるんだ。ただし……開戦が避けられない場合もあるとボグは思う………そうならない為にこの活動をやるんだが」


「……きっと、成功に導きましょう」


「皆…頼むよ、それと。もしクーデターが成功したならば総理大臣には佐々木さんを任命するよ」


「自分が、でありますか?」


「海軍にもよからぬ考えを持つ輩はいるが、とりあえず止めてほしいのは陸軍だ、陸軍だけでも大分違うはずだ」


「…わかりました、しかしそうなるのは…」


「あくまで…最後の手段…」

こうして秘密裏に結成され日米開戦に反対しイザという時はクーデターまでもを起こそうとする、この日本会……


もちろんその後彼らは全力をあげて開戦に反対した。

…数名の殉職者を出しながらも…

しかし、歴史の流れは止めることができなかった、仏印に進駐を行い経済制裁をくらい、そしてお決まり東條内閣が成立。彼もがんばるがもうこの雰囲気を止めれる者は誰一人といなかった。


史実ならば………


次回は、時は飛んで昭和16年10月末……


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