第17話:パナマ運河攻撃作戦
10月1日、パナマ運河を目指して怪しげな2隻の艦艇が太平洋を航海していた。
2隻とも星条旗を掲げており一見アメリカの艦船に見えるのだが…実は日本の艦船であった。
人や人がきているものは日本のもの。
日本軍が最初嫌がったこの作戦は大東亜戦争の今後の運命を決める作戦である『パナマ運河攻撃作戦』である。
作戦名は『S作戦』、丁度その頃サモアへ向けて北村艦隊が向っておりサモア攻略作戦であるかのように見せかけた。
っが北村艦隊はサモアを空襲するだけであった。本当はパナマ運河を攻撃する作戦であった。
その為にアメリカから鹵獲した航空機を無理やり空母『冲鷹』に詰め込み、見た目はアメリカ軍の艦艇であった。
艦長、石井芸江大佐はずっと窓から海を眺めていた。
「艦長!米国の哨戒機を発見!」
「まあ仕方ない、ここはパナマから350kmの地点だからね。やっぱりいくら星条旗を掲げているとはいえ怪しまれているかな?」
「でしょうな…だから我々は決死隊なのですよ」
「決死か……絶対死ぬとは決まっていないがまあ決死隊だよな、これは」
石井艦長は笑いながらそう言った。
確かにパナマ運河の守りは堅い、そこを怪しげな2隻の艦艇で向うのはあまりにも危険といえば危険である。
こんな作戦を立案した山本五十六の頭は一体どうなっているんだと思っている人間は日本会のメンバーにすらいた。
「艦長!米哨戒機がなにをしていると聞いてきました」
「うむ、発光信号、我損傷機ヲ運搬中、パナマ運河ヲ通過予定」
「了解!」
一方、これを受けたアメリカの哨戒機は……
「…怪しい……あれは商船というより空母」
「ですが星条旗を掲げています」
「日本軍の艦艇じゃないのか?」
「まさかぁ…あんな事するのはドイツの船ぐらいでしょう」
「念の為に写真を撮っておこう、怪しすぎる」
「んもぉ、マーク大尉は心配しすぎですよ。いくら日本が破竹の勢いで勝ち進んでるといっても、パナマに来る力はないでしょ」
(そんなはずがない……日本は今にもニューカレドニアを落そうとしているんだ………ハワイだってすでに落ちている…パナマに機動部隊を送り込む力があってもおかしくはない!!)
しかしアメリカ軍は日本軍を甘く見ていた。
一部の者はパナマまで来てもおかしくはないと考えていたが馬鹿な参謀達がそんな事があるはずがないと異論を唱えたのである。
パナマ運河にある司令部でも…
「提督、そんなわけありませんよ」
「君はまだそんな事を……ではなんでハワイは攻撃された!?」
「それはハワイの奴らが貧弱だったからでしょう。それに万が一来たとしてもパナマは鉄壁です。そう簡単には攻撃されませんよ」
「…そうだといいがな……」
しかし日本は来ていた。
パナマ運河から350kmの地点に、すでに発艦用意をしていた。
「パナマ運河は約80km……その通りに飛べば大丈夫だが………心配だ、アメリカの航空機で大丈夫かな?」
「なぁに、多分大丈夫ですよ」
飛行甲板では着々と発艦の準備が行われていた。
数十分後……発光信号が発艦せよと伝えた。
「発艦始め、発艦始め!」
まずは護衛機隊が出撃、続いて攻撃隊指揮官の市谷大尉が操るドーントレスが出撃しその後にも攻撃隊が発艦した。
出撃したのは艦爆5、米軍色に塗った九七式艦上爆撃機5、護衛機6であった。
あまり大編隊だと怪しまれるのでこの程度にしたという。
やがて編隊はパナマ上空に到達、日本兵達は眼下に広がる風景を見て快感を感じていた。
「遂にここまで来たかぁ…」
「開戦からもうすぐ1年…やっぱり我が帝国は強かったんだなぁ、ざまあ見ろだぜアメリカ人」
「後方!米陸軍機!!B-17です!!」
編隊の姿はB-17に見られていた。
しかし………
「なんだ、敵機かと思ったが海軍さんだったか……」
これが日の丸を描いた日本機だったらすぐに行動に移るだろう、ところがすべてが米軍機塗装である航空機を見て流石の陸軍航空隊も海軍だと見間違えてしまった、これが日米講和の話を加速させるパナマ運河攻撃を成功させてしまうきっかけになる事を、まだ一部の海軍軍人しかわかっていない。
司令部では提督と参謀達の大喧嘩が行われていた。
「なにぃ!?パナマ上空に20機以上の海軍機!?…そんなのを飛ばした覚えはない!!日本軍だ!!奴ら卑怯な真似を…」
「しかし提督、偵察機によれば日本の艦船はどこにもいなかったと……」
「これだ!!」
提督は1枚の写真を参謀達に見せつけた。
それは先ほど哨戒機が撮影した『冲鷹』の写真である。
「星条旗があるからって騙されるな!!!これは日本の艦船だ!!!」
グワーン!!
「!!!……ま…まさか!?」
彼は窓を見た、すると米軍機がパナマ運河を攻撃しているではないか。
ここにきて参謀達はようやく気がついた、20機以上の編隊は日本機である事に………
「…だから私は警告した!!!すぐに迎撃しろ!!!」
「りょ…了解!!」
しかし時は既に遅かった、パナマ運河は既に破壊され大量の水がさらに被害を拡大させた。
ここにパナマ運河は封鎖され、アメリカ軍は今後しばらく大西洋との主な連絡路を遮断されてしのったのである。
対する日本軍も大損害を被った。
迎撃に上がったアメリカ軍機にほとんどを撃墜されさらに行き残って着艦しこれから旗艦という所で米潜水艦が空母1、タンカー1を撃沈、石井艦長以下数百名が戦死し残りはアメリカ軍の捕虜となった。
ここに来て日本海軍は始めて空母を失いおまけに乗組員全員が戦死、あるいは捕虜になり失ってしまう、艦載機もなにもかもすべてが失われた。
山本はこの事を「自分が犯した最大の悪であろう」と後に語っている。
逆にルーズベルトは「合衆国最大の失態」と語った。
パナマ運河を攻撃された事は戦略的に大きい、たとえ攻撃部隊が全滅したとしても日本が挙げた今まで出一番の戦果であっただろう。
これを聞いたスターリンは翌日、日本宛に親書を送った。
「…なになに?パナマ運河攻撃に成功した事をここに祝う、これを機に日本帝国はナチスとの同盟を断ち切りソビエトと共に手を組み共にナチスと戦おうではないか…っか」
佐々木首相はそれを読み米内はそれを聞いていた。
「う~ん、スターリンは日本と手を組む…なにを企んでいるのやら」
「もう一通、ヒトラーからの親書があります。パナマ運河攻撃は我がドイツにとっても非常に有益である。ここにそれを本当にやった日本に感謝の言葉を送る。太平洋の米艦隊が大西洋に戻ってくるという事態がなくなった、後は太平洋を支柱におさめいつかは大西洋にも進出、米英の艦隊撃滅を行ってくれる事を信じている、そして東からソ連を挟み撃ちにしてくれる事も願っておりそれをしてくれればノボシビルスクを境にその東を日本領に、西をドイツ領にし共に恒久平和の為に世を統治しよう…という事です」
「条件は悪くないが…自分としてはドイツとは手を組みたくない」
「一体何故ドイツがソ連に勝っているのですか米内さん?」
「それはおそらく……我々が勝ちすぎてその分米英の対ソ支援が疎かになっている事が影響しているのでしょう」
最初、ドイツをどうにかしようとしていた米英であったがあまりの日本の勢いに対日対策を本格化する必要に迫られてしまいヨーロッパへの支援が最近、疎かになっていた。
その為ドイツはモスクワを占領し次の作戦に向けて準備をし始めだしたのである。最近になって連合軍がとった唯一の勝利はロンメル率いるアフリカ軍団をスエズ運河で食い止め90km押し戻した事ぐらいだろう。
それほど連合国は追い詰められていたのである。
また、ドイツにも北村のような存在があった事も影響している、これは同盟国である日本やイタリアですら知らない事であった。
その男は今、ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの目の前にいた。
ハインツ・メッケル陸軍大佐である。元々はドイツ連邦軍の少佐であったのだが開戦前に北村同様に転移、すべてを教えヒトラーを利用してドイツの戦争を有利に遂行させているのである。
「メッケル君、君はすごい、君のような男が我が第三帝国にいてくれて総統である私も嬉しいぞ」
「いえいえ総統、ドイツの為でありますから」
「ふふふ…同盟国の日本も我が国同様破竹の勢いで勝ち進んでいる、イタリアはゴミだが日本は違う……私はヨーロッパを征し日本をアジアを…そして……そして!!」
ナチズムのイデオロギーに「ドイツ民族には、世界の文化発展を指導する使命がある」というものがある。ヒトラーにしてみればそれは世界をドイツ、あるいはドイツに従う国ばかりにしようとしいう事なのかもしれない。
なので今は味方でも裏切る可能性がある日本を密かに警戒しヒトラーは日本海軍に対抗すべく、空母建造を妨害しているゲーリングを暗殺、かわりに自分が信用できる男、エーリヒ・フォン・レンデルブルクというそれまではだたの空軍の人間に過ぎなかったヒトラーの知りあいというだけの無名の男を空軍大臣にした。
そして日本海軍との戦いに備えてドイツは空母6隻の建造を命じ1944年には戦力化するようにと命じた。
そして、太平洋で行われている日米戦は徐々に膠着への道を歩んでいた………
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流石に勝ちすぎだと思ったので少し痛い目にあってもらいました。