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第12話,ガダルカナル島攻防戦 ソロモン海戦 上

日本軍の飛行場建設は実をいえば予定より遅れていた。

その遅れていた理由もこのガ島の要塞化のせいであった。3万を越える兵で固められたガ島は各地に塹壕やトーチカが存在、制空権が敵にありながらも高射砲陣地もしっかりしており航空機が襲来してもある程度抵抗できるようにはなっていた。


さらに増援として日本軍はこれから4万を投入予定、中国と満州からの撤兵により生まれた予備兵力、どれも日中戦争を戦って生き残った精鋭部隊である。

それを護衛するのは5隻の正規空母、8隻の戦艦を含んだ北村艦隊である。



アメリカ軍上陸から1日が経過しようとしていた。百武中将が指揮するガ島守備隊は辻参謀らと多少の揉め事はあったにしてもなんとか持ちこたえ飛行場が占領されるという最悪の事態には陥らずに済んだ。流石のアメリカ海兵隊も1日経ったにもかかわらず日本軍の巧みな作戦の前にはなかなか前進ができなかった。


「………」


「おい!!うし…あ゛あ!!!」


2人のアメリカ兵が日本兵に射殺される。

「よし、次!隠れろ!!」


日本兵は機敏に動きジャングルに再び姿を隠す。

「…くそ…ジャップどもはどこに!?」


「敵のトーチカを発見したぞ!!」

トーチカから砲撃が行われアメリカ軍を襲う。

直撃しなくても破片などで兵士達が負傷する。


「いたか日本兵!!」


っと勢いよく叫ぶ。

っがあのトーチカはあくまで囮にすぎない。主力の日本軍はまさに彼らの背後であった。

「射っ!」


「ああ゛あ!!てっ…敵だ!!」

突如砲撃が加えられる。さらに生い茂る草や木の陰に隠れていた日本兵が一斉に登場、なんとかくアメリカ軍は気配には気がついていたがトーチカとそこにいる日本兵に目を奪われ完全に騙されてしまった。アメリカ軍らしくない失敗である。


これによって背後の日本兵が攻撃するチャンスがでてき一斉に攻撃を始めた。

さらにアメリカ軍を震えさせたのは戦車であった。

「敵戦車接近!!」


「くそっ!攻撃用意!!」

アメリカ軍は対戦車砲による攻撃を行おうとしたがさらに背後からも日本軍陣地の攻撃、アメリカ軍は増援を待つ以外手段がなくなった。


すでに前日の上陸作戦で死者500人、負傷者1720人、行方不明者47人という大損害を被っていたのにここでさらに戦死者や負傷者が増えてゆく。


「味方だ!!」


「きたか!!」

先頭を走っていたのはM3軽戦車であった。

これなら日本軍戦車を圧倒できる。しかし………


「右方向に注意しろ!!」


「あああ!!!」

アメリカ軍が見ている前で日本軍は体当たりを敢行、九五式軽戦車が思いっきりM3軽戦車に対し体当たりを行った結果行動不能に陥り相撃ちという形になった。

さらに九七式中戦車5両がM3軽戦車の背後に接近、ほぼ零距離で集中射撃を開始し砲撃を受けたM3軽戦車も行動不能に陥った。


しかしチハはその後あっさりと撃破される。

日本軍戦車の悩みどころであった。その為陸軍は現在新型戦車の開発を急いでいた。


それが一式中戦車である。しかも開発は佐々木中将の働きかけで開発は急ピッチで行われた。っとはいってもようやく今試作車が完成、翌年にならなければ戦力化は無理という所である。


さらにドイツのスパイによってシャーマンの情報を入手する事に成功した日本軍は九〇式野砲を搭載した新式戦車の開発を命令した。

遅れていた日本陸軍の戦車、新政権になってようやく改善しようとしていた。


初日で陸軍は目覚しい活躍を見せフロリダ諸島でも玉砕寸前になりながらなんとか日本軍は持ちこたえていた、しかしそろそろ海軍の支援がないと負けそうであった。そこで北村は作戦を開始した。


加賀、翔鶴、瑞鶴からなるガ島部隊と飛龍、蒼龍からなるフロリダ諸島部隊に別れて作戦が発動、また日も上り視界がよくなった事によりラバウルからの航空支援も開始された。

……っとはいうもののラバウル航空隊が到着するのはまだ数時間後の事である。


「よ~し、索敵機射出開始!」


「射出用意!」


水上偵察機の射出が用意された。

重巡熊野などの巡洋艦から4機が射出された。

「射出よし!」


バン!


射出された零式水上偵察機は勢いよく飛び出し空に浮き上昇を始めた。

米海軍にはワスプしか残されていない、日本海軍の接近を恐れてワスプには艦載機がいつでも発進できるように待機していた。


「ん?」


「どうした?」


「あれを!」


「ああ?………」


アメリカ軍はその姿を捉えた。

一方で日本軍も熊野の索敵機が米艦隊の姿を発見、報告した。


機動部隊旗艦『加賀』……

「索敵3号機より入電、敵大部隊見ユ、空母1、他巡洋艦、駆逐艦等多数。敵空母ワスプ」


報告を聞いて参謀は北村にあつく言った。

「長官!やっぱりサラトガの姿はありません!伊号がやってくれたみたいです!」


「そうか、だとしたら作戦はやりやすい。……よ~し、第1次攻撃隊、発進!」

北村の命令により、第1次攻撃隊120機が米艦隊目掛けて出撃。

出撃してゆく海鷲達を整備兵や居残り乗組員が帽子を振り見送った。


「敬礼!」


艦橋からは数十名の海軍将校が攻撃隊に向けて敬礼を行う。

出撃してゆく機からも敬礼する搭乗員がいた、当然攻撃隊指揮官は答礼を行っていた。

やがて艦首の菊が遠ざかり、一方でさらに飛行すると米艦隊の姿が見え始めた。


しかし流石にアメリカ軍はもう日本軍の接近に気がついておりワイルドキャットを迎撃に向わせた。

「敵迎撃機接近中!」


「加賀の制空隊が行きます!」


加賀の制空隊が増槽を捨ててワイルドキャットの迎撃に向った。

7.7mmも20mmも同時に放ちながら零戦が攻撃をしかける、ところが正面の撃ち合いでは機体が頑丈なワイルドキャットのほうが強い。しかし格闘戦に持ち込まれるとワイルドキャットは劣勢に追い込まれた。


「敵さんなかなかやるなぁ…」


斉藤がそう呟きながらワイルドキャットと戦っていた。

しかし空母1隻分の戦闘力など知れたものに過ぎなかった。ワスプが猛攻撃を受けていた。


「ようそろ……」


「ようそろ…!!」


「…射っ!!」

九七式艦上攻撃機は水平に飛行し魚雷を放つ、九九式艦上爆撃機は上空から得意の急降下爆撃を仕掛ける。ワスプさえなければ最強の日本軍水上艦艇が残りをお相手する。機動部隊艦載機の任務はまさにワスプの撃沈にあった。


ワスプは回避行動をとるが魚雷が1本命中、爆弾も今の出で1発が命中した。

「よ~し……!!!」


凄まじい対空砲火を潜り抜け1機また1機、ワスプへと襲いかかる。

「……投弾!」


勇敢な九九式の搭乗員が対空砲火を恐れずに突撃、2機が撃墜されながらも1機は無事に突入し爆弾を投下、ワスプに命中させた。直撃である。

「爆弾新たに1発命中!!」


「うっぅ!!」


「魚雷1本左舷に命中!!」


日本海軍航空隊の勇猛果敢なる活躍により、アメリカ軍は甚大な損害を被った。もはや手段としては撤退するしかなかった。しかし撤退するにも大破し航行不能に陥ったワスプを引っ張っていくのはあまりにも危険すぎる。先ほどのサラトガやノースカロライナの二の舞になる可能性があるからだ。


「提督!」


「できれば最後の空母は失いたくない……」


「しかし提督!また日本の潜水艦に!!」


「そうです!!乗組員の犠牲にはかえられません!それにあともう少し耐え抜けば念願のエセックス級が!それに我が国の工業力ならすぐに空母戦力は回復できます!今だって大西洋艦隊から引っ張られてくる可能性はあるんです!」


「提督!」


ターナーは決断を迫られる。

「…わかった、ワスプを処分する」

提督としては、最後の空母、ワスプを失いたくはなかった。

しかし日本軍を恐れ、ワスプは自沈処分、ガ島沖に沈没した。


一応アメリカにはまだ大西洋に空母がある、それを引き抜く必要がでてしまう。

アメリカ軍はちゃっちゃと撤退しようとする。しかし一応不安なのでクラッチレー少将率いる巡洋艦、駆逐艦の艦隊を残すことにした。連合艦隊もこれを撃滅すべく三川中将率いる巡洋艦、駆逐艦の部隊を向わせた。


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