第1話,すべての始まり
昭和16年12月8日…
日本海軍は米太平洋艦隊の拠点、真珠湾を攻撃。
一方陸軍も東洋のジブラルタルと謳われているシンガポールを攻略すべくマレー半島に上陸し進撃した。
その後日本軍は勝利の波に乗り蘭印、フィリピンなどを攻略、海でも大戦果をあげまさに連戦連勝。
日本の快進撃は止まる所をしらなかった。
しかし……昭和17年6月の事……ミッドウェー海戦で赤城、加賀、飛龍、蒼龍という4隻の空母と多数の艦載機を失い、それ以降戦争は日本優勢からアメリカ優勢へと変わっていった…
その2ヵ月後にはガダルカナルやツラギなどに上陸され以降長期間にわたって行われるソロモン諸島の戦いが始まった。
それはまさに、消耗戦であった。
資源が乏しく工業力も低くましてや通商破壊で補給も満足に行えずさらに戦況をよく理解しなかった大本営は無策に戦力を送り込み、日本軍は負けた。
昭和18年4月18日、連合艦隊司令長官山本五十六がブーゲンビル島上空で戦死。
ほかには、あろうことかアッツ島の守備隊も玉砕した。
日本軍は相変わらずの死闘をづつけるも圧倒的な物量を相手にはどうすることもできず翌19年、この頃になるとほぼすべてにおいて米海軍に劣っていた日本海軍機動部隊はマリアナ沖海戦で大敗、サイパンやテニアン、グアムなどの拠点も占領される、方や陸軍もインパール作戦に失敗し崩れていくことになる。
勝利の波にのった連合軍は日本へと徐々に迫った、日本が総力をあげて行った比島決戦も敗色濃厚となり…さらにレイテ沖海戦で大敗した連合艦隊は事実上、壊滅した。
翌20年、硫黄島、沖縄に上陸され長期間抵抗はするがもはや日本軍に勝利という言葉はなかった……
その頃、ヨーロッパではあのドイツ第3帝国が敗北、とうとう日本は1国で世界を相手にしなければならなくなった。
前年から激化していた空襲もさらに激化、あの巨艦大和も沈められ僅かにのこった戦艦、空母も燃料不足で動かせず空襲で使用不能に……本土決戦も間近であった。
そして8月…6日に広島、9日に長崎に原子爆弾が落されさらにソ連も参戦、ソ連参戦は日本にとってトドメとなった。
8月15日正午、玉音放送により終戦がつたえられた…
9月2日、アイオワ級戦艦ミズーリにて、降伏調印がなされ、ここに第2次世界大戦が終結した。
……日独伊その他、枢軸国は敗北、戦後日本は連合国に占領され後に独立を果たすがいろいろと滅茶苦茶になった………
では、もしこの歴史を、変えようとし、変わってしまったらはたしてどうなっていただろうか?
ルールは簡単だ、誰かを転生させる=そいつはすべてを知っている…ただし日本の技術レベルからそんなに進んだ兵器がでてきたりはしない、工業力からアメリカのように週に何隻とは建造できない。
…っというわけで事の始まりだ。
平成某年某月某日。
「あなた……台風が近づいているのよ。明日からお仕事でしょ?やめてよ」
「俺は大丈夫だ、何年海で仕事をしていると思っているんだ?」
彼は海上自衛隊海将補である北村雷蔵(54)、たまたま休暇で釣りに行こうとしたが今日は嵐だ。
「じゃあ、夕方には帰る」
「あなた気をつけるんだよ」
「わかっておる」
そういって彼は川に行くが…まあこういう小説だ。
オチは容易に読める。
案の定川は増水していた。
それでも彼は男の修行だと思いつつ釣りをおこなっていた。
そして…
「まったく、全然釣れないな……う~ん……あっ!!!!!」
その時であった、彼は川に流されたのだ。
ひどい嵐の日に水の近くにいってさらわれ死亡するというのはよくありがちな事だが今回の場合、貴重な海将補がさらわれたのである。
さー大変だ、彼は死んでしまった。
………はずであった。
「……ん…んん…」
「おお、北村少将!!」
「…ここは?」
「海軍の病院です」
「海軍?」
「はい!…あっ、そうだ。もうそろそろ長官がやってきます」
「長官?」
北村はあたりを見回した。
一見はただの病院だ、しかしなにかが違う。
カレンダーの日付まで…
彼らが去ったあと北村はよく今日の日付をよんだ。
マルがかかれているのですぐにわかった。
「昭和15年11月20日……はぁ!?」
驚くのも仕方ない、もう終わったはずの昭和、しかも15年とは開戦1年前だ。
実にありえない話である、しかし北村はそのありえない話に巻き込まれてしまったのだ。
(どうなっているんだ?昭和15年といえばあの太平洋戦争開戦の1年前…ナチスと手を結んだ年ではないか………なにがあったんだ、第一私は戦後生まれだ…一体?)
そして北村は嫌な予感がした。
このまま戻れなければまちがいなくあの戦争に巻き込まれる、しかも自分は海軍少将という設定らしく下手をすれば前線に送り込まれる可能性があった。
(……ど…どうすれば?私は………私は、あの戦争の事を一応は知っている。いつどこで各国がなにをしたか………知っているのはいいが、もし前線で指揮をとることになったら…まけるはずの戦いを指揮したら…死ぬか?勝つか?…いや勝てばどうなるかわからない、やはりそうなった場合負けるべきか…うん、私はここで歴史改変を行っても私の世界ではなんの影響もないと思う、某博士の説だと………しかしこの戦争、勝てるとは思えん、どうなる……畜生、さっぱり検討がつかん)
北村は大いに悩んでいた。
自分がどうなるか、このあともし前線におくられたらどうするべきか。
もし戻れなかったらどうやってこの時代を生きるか、皆に戦争がどうなってゆくかを教え歴史改変を行うか、それとも黙って見過ごし敗戦の時を待つ、つまり歴史に逆らわぬようにすごすか。
すべては彼の決断…・・・いや正確にはそれだけではなかった。
その時だ、部屋にある男が訪れた。
(!!………あの人は…)
「大丈夫かね北村君?」
「あ、はい長官!」
(…間違いない、この人は山本五十六だ。しかしなぜ山本長官が私の事を……運命の悪戯か、かつて大日本帝国に私が存在しているという設定が新たに組み込まれたのか?)
しばらく黙り込む北村、すると山本が話しかけた。
「ああ、悩んでいるんだろう。心配するな。お前を呼んだのは俺達だよ」
「えっ?」
「……実はだな、我々は前年より活動を行っていた」
わけのわからないことを山本は語る。
だがそれは、山本ら海軍左派と陸軍の一部が…日米開戦を避けるべくに結成したある秘密部隊の存在を明かすものであった。
「……前年、米内さんをトップとするある秘密部隊を我々はつくった。その名も『日本会』だ。この日本会は日米開戦反対、三国同盟反対をしていた、しかし三国同盟はされた、せめて日米開戦だけは避けたかった。だが日本は破滅の歴史を辿っている、無論これは日本会で出された予想に過ぎんが我々はせいぜいあと1年、持てばいいほうだと予想した。我々としてはなんとしても日米開戦は避けたい。その一心で活動しているんだ」
「そ、そうですか」
(なんだ?私が過去にきてしまったからか?微妙になにもかも違い始めているみたいだ…日本会なんて組織、私は聞いた事がない)
「そこで俺は君に目をつけた、君は海軍内でも目立たない軍人だったがいろいろ知っている事に気がついた」
「えっ?」
(やはり、私は元々、海軍の軍人だったという設定になっている…だとしたら山本五十六が私の事を知っていても不思議ではない…か…)
「いいタイミングで君は瀕死の重傷を負っていた、そこで私は日本会の基地がある場所に近い病院にわざといれさせたんだ」
山本はありえない事をいっている、しかしその表情は真面目だ。
そして、北村に要求した。
「北村君、体は大丈夫かね?」
「あ、はい。もうなんともないようで」
「そうか、是非とも、俺と一緒に日本会の秘密基地に来てくれやせんか?大歓迎する、いろいろ話したい事もあるんだ」
「……了解…しました」
山本五十六のお願いなんて早々断れるものではない。
その理由はなんだか異常に失礼な気がするからだ。
こうして北村は、日本会の基地へ向かう事になり驚く事になる。
また……日本の運命は徐々に…かわってゆくことになる…
っというわけで『超』不定期更新のこの物語始まりました。
あちこちの小説に影響されて自分も…っというわけです。
完結目指してがんばります。
あと御意見や御感想、要望、批判などお待ちしています。