エピローグ
新連載です!
「レン、お前は一匹も雑魚のコブリンも倒せないのに勇者を名乗っているのは何故だ?」
と賢者のアルテークが言った。
「なぜって言われても……神様から与えられたジョブ《役職》だし……」
と答える俺。
「もういい、今までは『勇者』というジョブが与えられているし、荷物持ちとしても優秀だったからこのパーティーに居させたけどもう我慢ならん!さっさと荷物をまとめてここから出ていけ!」
と追放宣言をしたアルテークに反対した人が一人いる。
「ちょっと待ってください!」
幼馴染の聖女、ルリだ。
「なんだ?聖女様よぉ」
「レンは必要です!」
「必要ねぇ……じゃあなんであんたは戦わないんだ?回復魔法しか使えないくせに」
「それは……」
「そうだろう、戦うのが怖いんだよ、だから勇者を盾にして後ろに隠れている」
「違います!」
「へぇ〜じゃあさぁ魔物を倒してこいよ」
「え?」
「だからさぁ魔物を倒してこいって言ってるの、今すぐ行ってこい」
「分かりました」
そしてルリは出ていった。
「さて、なぜまだここにいるのかね?元SSランクパーティ『光の聖剣』所属の元勇者さん?」
とやたらと元という言葉を使っているアルテーク。
それに便乗して言うメンバーもいた。
「ははっ!やっとこの邪魔者が消えるのか〜」
「そうね〜正直言って報酬の割り当ては私たちだけで山分けなはずなのにこいつがいるせいで報酬額が少ないのよね〜」
邪魔者扱いをするタンク|《盾》のドランと魔術師のミリア。
「……わかったよ。今までありがとうございました」
「ふん!せいぜいあとで「もう一度入れてください」と言わない事だな!ははは!」
俺は、後ろを振り返らずに冒険者ギルドの一角にあるパーティー部屋を抜けた。
ギルドを出ると、魔物を倒しに行ったはずのルリがいた。
「追放されたみたいね」
「あぁ、そうっぽいな」
「なんで最強のレイを追い出したんだろう?」
「あいつらの考えていることなんて知らないよ」
「さ、一回家に帰ろ?」
「ルリもパーティーを抜けるんだろ?」
「あはは、バレちゃった」
ルリは頭をぽこっと自分で叩いた。
「流石に何年も一緒にいたらわかるよ」
「そうだね!じゃ、私は抜けることをあのクソザコメンバーに言ってくるね!」
そう言い、ギルドの中へ突入していった。
「いつもいつも世話の焼ける聖女だな……」
数分後、ギルドの扉を蹴飛ばして出てきたルリは、
「家まで競争だ〜!」
「やっぱりそうなるか……」
「だってあいつらが追いかけてくる前に逃げたもん勝ちでしょ!」
「そうだな」
二人は家までの約100キロリ《Km》を走り始めた。
その時から、『光の聖剣』パーティーに影ができ始めた……




