〈第8音〉決着
戦闘シーンの描写、苦手……
◆ソアン=ガルヴァ◆
「さてカーター、俺たちも始めるか」
「ああ、望むところっ……だ!」
カーターは力を込めると、剣を構えながら俺に突っ込んできた。
「おらっ、どうだ!」
「どうってことないっ……ね!」
カーターが剣を振り下ろす。俺はカーターの剣を自分の剣で受け止めた。そして、『旋律 ヘ短調』を心の中で唱え準備しておく。
するとカーターが、
「『風付与』!」
「なにっ!」
突如風が巻き起こり、俺は後方に吹っ飛んだ。
「そこだ! はー!」
カーターが掛け声とともに剣を振り下ろすと、風の刃が俺に飛んできた。
近距離と遠距離両方対処できる、いいスキルだな。
「なるほどね。じゃあ、俺はこうだ!」
俺は『旋律 ヘ短調』を発動させた。石の壁が下から一直線に走り、風の刃をかきけしながらカーターを狙う。
「―――キエラ=サージェンがリサ=パールを撃破!!……―――」
キエラの勝利の報せが耳に届く。
『お、キエラ勝ったのか。だったら俺もちゃんと勝たねえとな』
「そんなものあたらねえよ! ほっ」
カーターがジャンプでその壁をかわす。
「それも読んでるよ。『転調 ハ短調』。はっ!」
俺が指揮棒を振り上げると石の壁が火の玉にかわり、上空のカーターに向かって飛んでいく。
「くっ! これは防ぎきれ……がっ」
直撃。カーターは地面に落下して、リボンが赤色に変わった。
勝ったな。
「―――なんと!! ソアン=ガルヴァもトムソン=カーターを撃破!! 予選第1回戦は1年1組の完全勝利となりました!!―――」
観客席からは大きな拍手、歓声が聞こえる。
『そういえば、アルフはどこから見てるんだろ。人が多すぎて分かんねえな』
するとそこに、
『奏一さん、お見事でした』
突然のクリフの声。
『うおっ、ビックリした~、クリフか。とりあえず対人戦はこんな感じ?』
『はい。まだ少々ぎこちない点はありますが、『音楽家』の戦い方はそんな感じです』
『ま、取り敢えず勝ってよかったよ。次の決勝戦に備えて、頑張るか~』
ぐっと伸びをしていると、
「やった~! 勝てた~!」
今度はキエラが来た。涙目である。
「あ~よかった~! 本当に勝てるとは思ってなかったからさ~」
「毎日放課後にあれだけ練習したからな。勝ててよかったよ」
キエラが涙を拭く。
「よし! 次の試合に向けて、対戦相手の試合を見に行きますか! ソアン君も来るよね?」
切り替え早いな。
「ん? どうかした?」
「いや、なんでもない。今行くよ」
――――――――――――――――――
◆ソアン=ガルヴァ◆
「―――第1試合からすごい戦いでしたね。全校対抗戦予選1年生の部、続いての試合は、1年2組代表のナタリー=ローランさん、カタリー=ローランさんと1年3組代表のジオ=アドラム君、ステラ=エメリーさん、との戦いです。約15分後に始まるので、それまで席についてお待ちください。繰り返します……―――」
「さて、アルフはどこにいるかな?」
観客席に来た俺達は、見に来てるであろうアルフの姿を探した。
「ソアン! キエラ! こっちだこっち!」
「お、いたいた」
アルフの両隣の席が空いていたのでそこに座る。
「2人とも、予選決勝進出おめでとう!」
「「ありがとう!」」
「んで、ここに来たということは決勝戦の相手の偵察だな?」
「ああ。ところでこの対戦の4人のスキルは何なんだ? 訓練が忙しくてあまり知らないんだ」
アルフに質問する。
「えーと、1年2組の方から説明すると、ナタリー=ローランとカタリー=ローランは双子で、スキルは、ナタリーの方は『飛行』と『四大属性』。カタリーの方は『俊敏』と『四大属性』だな」
「『四大属性』?」
『火属性』とか属性単体のやつは聞いたことがあるが。
「四大属性、すなわち火、水、風、土属性を得意とするスキルだな」
「かなり強そうだな」
「ああ、実際かなり強い。なんせこの国の宮廷魔導師候補だからな」
「そうなんだ。知らなかったな」
肩書スゲー。
「え、ソアン君知らなかったの!? かなり有名なのに」
「生憎、世俗に疎くてな。んで、3組の方はどうなんだ?」
このペアを相手にする3組、かなりのプレッシャーだろうな。
「ジオ=アドラムのスキルは『霧魔法』で、かなりの剣の使い手だ。そしてステラ=エメリーのスキルは『連射』だ」
「ガトリングって、あの、武器の……?」
「違うよ。『連射』は魔法を少ない魔力量で連発できるスキルなんだ。単純なスキルだけど、侮れないスキルだな」
「3組もまた厄介そうだな」
てかこの世界、ガトリングあるんだ。
「ソアンはどっちが勝つと思う? 私は2組だと思うけど」
「俺も2組が勝つと思うが……。アルフはどうだ?」
宮廷魔導師『候補』とは言ったが、かなりの実力があるのだろう。
「俺も2組だな。宮廷魔導師候補が2人もいるんだから3組が勝つのは難しいと思う」
「―――それでは、両クラス代表の入場です―――」
「お、そろそろ始まるみたいだな」
楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。