表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある音楽家の異世界暮らし  作者: 雨晴罔象
~前奏~ 新世界への旅立ち
7/37

〈第7音〉第1回戦

この物語始めての戦闘シーンです。

◆ソアン=ガルヴァ◆


「さて」


 今日は全校対抗戦予選準決勝がある。自室で起きた俺は軽く伸びをしながら洗面台へと向かう。


「おはよう、ソアン」

「お、アルフ。おはよう」

「いよいよだな」

「うん」


 神妙な面持ちで応える。


「対戦相手は強そうか?」

「いや、わからない。名前とスキルしか公表されてなくてな」

「そうか。まあ、ソアンなら大丈夫だよ」

「ありがとう」


 アルフとそう言葉を交わしたあと、寮の食堂で朝ごはんを食べ、出発の準備をした。


「じゃあ、いってくるよ」

「ああ。俺も試合は見に行くから」

「応援よろしくな」

「おう」


――――――――――――――――――


「ここか、会場は」

「うわ、もう人が集まり始めてるよ」


 会場へ向かう途中でキエラと出会った。

 会場へ着いた俺たちは会場の人の集まりように驚愕する。観戦者の受付には長い行列ができており、受付の先生たちも忙しそうに対応している。


「うう、緊張してきた~」

「そうだな。俺もこの観戦者の数を見たら緊張してきたな。でもいつも通りいつも通り」

「わかってるけどさ~」

「2人とも、こっちよ!」

「あ、先生だ」


 声をした方を見るとダリル先生が立っていた。


「体調はどう?」

「俺は大丈夫です。キエラは?」

「私はこの人混みを見てから少し腹痛が……」

「そんなに心配しなくても大丈夫よ、あなたたちは強いんだから。少なくとも、私が教えてきた生徒よりもね」


 先生が優しく言葉をかけてくれた。


「応援ありがとうございます」

「では先生、いってきます」

「いってらっしゃい」


 笑顔で見送られた俺たちは、受付で出場者判別用のリボン(出場者が対戦中に大怪我をしないように防御魔法がかけられている)をもらい、控え室へと移動した。

 控え室はクラスごとに分かれており、部屋が2つに分けられていた。


「ここに来るまで何人かの出場者とすれ違ったけど、皆やる気マンマンな感じだったね」

「うん。おれたちも気圧されないようにしないとな」

「だね」


――――――――――――――――――


 しばらく控室で待っていると、


「―――1年1組のソアン=ガルヴァ君とキエラ=サージェンさんは東入場口に来てください。繰り返します。1年1組の……―――」


「お、呼ばれたな。じゃあいくか!」

「うん!」


 放送で呼び出された俺達は東入場口へと向かう。


 入場口にてリボンは付いてるか、武器は持っているか等の持ち物検査を受け、選手入場の合図を待ってから入場した。


 対戦場の中心で対戦相手と向かい合った。対戦場は石で作られた台座(体育館くらいの大きさか?)でできており、その外側では負傷した出場者の手当てをするために先生が待機している。

 そして向かい合って右側の、白い服を来ていて右手に杖をもっている茶髪の彼女がリサ=パールで、向かって左側の、軽く武装したいかにも戦士の風貌をしている彼がトムソン=カーターである。


「それでは、両者向かい合って、始め!」


 放送による校長先生の合図で試合が始まり、歓声が沸き起こった。

 俺たちはすぐに臨戦態勢をとり、襲撃に備えようとした。その瞬間、リサとトムソンの2人が俺の方に攻撃を始めた。


しかし―――


「それは、読めてたぜ! 『旋律(メロディー) ハ長調(Cメジャー)』!」

「うわっ!」「くっ!」


 そう唱え、火の玉をリサとトムソンに当てた。観客席からも歓声が沸き起こる。が、そこは相手も流石で、しっかりと防御し次の攻撃に備えていた。


「やっぱりそう簡単にはいかねーか。キエラ! パールの方を頼む!」

「! わかった!」


 俺たちの作戦はこうだ。


 俺が『職業系スキル』持ちだから相手は警戒して先に俺を潰そうとしてくるはず。だからそれを迎撃し、その後は1対1の戦いに持ち込み各個撃破するという単純なものだ。


「くそっ、カーター! 援護する!」

「させない! 『弾岩(ロックバレット)』!」

「なにっ! 『防壁(バリア)』!」


 パールは飛んできた石礫を、魔法で自分の周りに結界を作ることによって防いだ。


「ソアン君、こっちは任せて、そっちに集中して!」

「ありがたい!」


 俺は、剣を持って構えているトムソンと向き合った。


――――――――――――――――――


◆キエラ=サージェン◆


「今度はこっちからだ、『活性化』!」


 パールがそう言うと彼女の足が速くなった。『活性化』は身体能力を上げるスキルのようだ。


「いくぞ、『火球(ファイヤーボール):封』!」


 『火球(ファイヤーボール)』単体だけではただの火の玉だけど、パールは速くなった足を使いながら、私の四方八方から『火球(ファイヤーボール)』を出してきた。


「バっ、『防壁(バリア)』!」


私は攻撃を防ぐために魔法を展開したが、数が多すぎて防ぎきれない。


「まだまだぁ!」

「こっ、こうなったら! 『私の魔法(オリジナルマジック) 転送する門(フォワードゲート)』!」


 魔法を唱えると、私の周りの魔法が一瞬で消えた。『私の魔法(オリジナルマジック) 転送する門(フォワードゲート)』は、その門に入ったものを任意の場所にワープ(転送)させるものである。その行き先はというと……


「なにっ!? 私の『火球(ファイヤーボール)』はどこに……」

「後ろよっ!」

「まさかっ……」


 パールが振り向いた瞬間、大量の『火球(ファイヤーボール)』が出現し、彼女に直撃した。


「ぐはっ!」


 パールの腕に付いていたリボンが青色から赤色に変わった。リボンの色が赤色になると、それにかけられていた防御魔法の耐久値が0になる。すなわち、撃破となる。


「―――キエラ=サージェン、リサ=パールを撃破!! これで4組はトムソン=カーター1人に!!―――」


 実況でリサ=パールが撃破されたことが知らされる。


「私の方は終わったけど、ソアン君の方はどうだろ?」

楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ