〈第4音〉初めての魔法授業
投稿スピードが遅すぎる…
◆ラティアス=ガルヴァ◆
『ソアンのやつ、学校にちゃんと馴染めるかな~。もしいじめられたりしたらどうしよう……』
新しい教室に向かう途中、俺はそんなことを考えていた。弟への不安が募るなか4年生の教室の扉をくぐった。
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◆楽成奏一(ソアン=ガルヴァ)◆
入学式は滞りなく進み、俺達新1年生は各教室に入っていく。全員緊張しているのか誰かと喋る奴はいない。
席に座って待つこと数分、先生が1人教室に入ってきた。筋肉質の体つきでとても強そうだ。
「俺は、この1-Aのクラス担任のアラン=ポートだ。担当教科は歴史で、剣術も教えている。そして、この場にはいないが、副担任のダリル=セーシュもいる。担当教科は数学と魔法だ。一年間よろしく頼む。では早速、教科書を配る」
アラン先生、その見た目で歴史の先生かよ……。
前の人から教科書約10冊が配られる。表紙には「数学」「剣術」などと書かれている。
「教科書は行き届いたか? 届いてないやつは手を挙げろよ」
そういわれて手を挙げる奴はいなかった。
「よし、いないな。では次に自己紹介をしてもらう。各自名前と、スキル名、それと自身の目標を言ってもらいたい。では最初は……」
自己紹介は何事もなく進んでいった。そして俺の番。
「ソアン=ガルヴァです。スキル名は『音楽家』、将来の夢はまだ決まっていませんが、とにかく頑張りたいと思います。あ、あと友達がいないので友達になってくれる人がいたら嬉しいです。よろしくお願いします」
俺の自己紹介が終わると、周りから、「『職業系スキル』だ……!」「凄いな……」などと、あちこちから聞こえた。
やっぱり結構レアなスキルなんだな。
「ありがとう。では次は……」
そうして自己紹介は終わり、俺達は寮の方に向かった。
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寮は相部屋になっており、相方は完全ランダムで決まる(さすがに男女は別だが)。
俺の相方はアルフレッド=ラークという。スキルは『二連剣撃』。剣撃を入れた後、任意のタイミングでもう一撃入れることができるそうだ。
「それと、俺はもう1つスキルを持っていてな。『剣聖』というスキルで、剣撃の威力が爆発的に上がり、さらに剣術のレベルが上がりやすくなるんだよ」
「スキル2つ持ちとは、凄いな!」
「ありがとよ。まあ、どっちも剣関係のスキルだから、魔法はあまりできないんだがな」
そう言ってアルフレッドは恥ずかしそうに頭を掻いた。アルフレッドはとても話しかけやすい人物で、俺とすぐに友達になってくれた。
その夜、寮の食堂でアルフレッドと一緒に晩ご飯を食べ、それぞれ風呂に入り、床に就いた。
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次の日の授業は1時間目から大変だった。
「1時間目は魔法訓練だ。昨日初めて会ったばかりの人も多いと思うが、3人組を作って欲しい」
先生がそう言うと、生徒達は仲間になってくれる人を探して、散り散りになった。
俺はというと、
「アルフレッド、一緒のチームになってくれないか?」
「お、いいぜソアン! あ、それと昨日いい忘れていたが、俺のことはアルフって呼んでくれ。友達からはそう呼ばれてる」
「わかった、アルフ」
「おう。それはそうと、もう1人はどうする? 誰か当てはあるのか?」
「いや、全くないな……」
「すいませ~ん!」
そんな話をしていると、1人の女の子が声を掛けてきた。いかにも魔法使いっていう感じの、長い髪が似合う人だ。
「あの、キエラ=サージェンと言います。一緒に組む人が見つからないので、組んでもらいたいのですが……」
「もちろん! アルフはどう?」
「ああ、俺も組んでもいいぜ!」
「あ、ありがとうございます!」
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「よし、全員3人組になれたようだな。では今回の授業の説明をする。今回は火と水魔法の練習を行う。では各自、教科書の6ページを開けてくれ」
そこには火魔法についての説明が書かれていた。
「火の魔法は特に、十分に気をつけて練習しなければならない。火傷したり、他のものに燃え移って爆発することもあるからな!」
それはそれは、注意して使わないとな。
「『火球』と『火槍』か」
初めて聞く名前である。
「ソアンは使ったことあるか? 俺はあるが……」
「使ったことないな。スキルの練習しかしたことなかったから。キエラはどう?」
「私はあります。親に魔法の練習は1通りやらされたので」
そうして俺達は各々魔法の練習に取りかかった。
『ねえクリフ、ちょっといい?』
俺は頭の中でクリフに話しかける。
『はい、なんでしょう』
『『音楽家』の魔法は全部習ったけど、こういう普通の魔法も覚えておいたほうがいいよね?』
『まあ、そうですね。選択肢が多いことに越したことはありませんから。それに、指揮棒がないときは、普通の魔法のほうが強い場合もありますからね』
そうだったのか。ちゃんと練習しないとな。
俺が「『火球』」と唱えると、小さな火の玉が放たれた。それを2人が見ていたようで、
「本当に初めてか?ソアン。上手いな!」
「きれいに真っ直ぐ飛んでいきましたね。凄いです!」
「ありがとう、2人とも」
2人に誉められて、とても照れくさかった。
楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。