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ある音楽家の異世界暮らし  作者: 雨晴罔象
~第2楽章~ 目標と敵
26/37

〈第24音〉嬰・変

前回の〈第23音〉から2か月以上が経ってしまいました。

お待たせして申し訳ありません。

◆ソアン=ガルヴァ◆


 暗闇の方に冒険者風の格好をした人物が立っていた。


「知らないかもしれないが、『音楽家』というスキルを持った人物を知らないか?」


 おばあさんが言っていた人はこの人なのだろうか。確かに長剣を下げている。威圧感がある体をしており、一目見ただけだが強者だとわかる。

 が、その体は透けておらず、もし生きていると言われたら信じてしまうだろう。


「なぜその人物を探しているのですか?」

「お、この俺を見てビビらないとは、かなり肝の座ったやつなんだな」


 彼は顔に驚きの色を浮かべる。


「理由を答えてやってもいいが、お前、『音楽家』のスキルを持ったやつを知っているな? いや、お前自身が『音楽家』だな?」


 その言葉にはっとさせられる。


「図星っていう感じの顔だな」

「……はい、私自身が『音楽家』です。なぜわかったのですか?」

「その前に、その敬語をやめてくれないか? 背中がムズムズしちまう」

「わ、わかった」

「そうだそれでいい」


 満足そうな顔の彼は理由について話しだした。

 前の世界の癖でついつい敬語が出ちゃうんだよね。


「俺が『音楽家』を探している理由、いや正しくは探していた理由だがな、主な目的は俺の力を受け継がせるためだ」


 予想していた通りだったな。


「あれ、驚かないんだな」

「まあなんとなく予想していたからな」

「そうなのか。俺がこの話を聞いた時は人生で一二を争うほど驚いたんだがな」


 がっはっはと彼は笑う。


「おっと、自己紹介をしていなかったな。俺の名前はラッシャー=アモラルド。もともとはお前と同じ『音楽家』というスキルを持っていて、今はここで次の『音楽家』を待つ幽霊だ」

「俺の名前はソアン=ガルヴァ。冒険者だ」

「ソアン=ガルヴァ、いい名前だな。よろしく」

「ありがとう。よろしくな」


 触れることのない握手を交わす。


「しかし初めに見たときは幽霊だとは思わなかったよ。こんだけ体がはっきり見えているからな」

「それに関しては俺も理由は分からねぇな。気付いたらこんなだったな」

「そうか」

「聞きたいことがあったら何でも言え。答えられる範囲なら全て答えるぞ」


 腕を組んで聞きたいことを考える。まあまずはこれか。


「力を受け継がせるとか言っていたが、どんな力なんだ?」

「やはりその質問か。その質問の答えは『嬰・変(シャープ・フラット)』という力だ」


 当たり前だが、初めて聞く力だ。


「それはどういった力なんだ?」

「お前は『ハ長調(Cメジャー)』といったような技が使えるよな?」

「ああ、使えるぞ」


 俺は『ハ長調(Cメジャー)』を実際に使って見せた。


「そう、それだ。『嬰・変(シャープ・フラット)』という能力ははそれらの派生技を作り出すものだ。例えば『嬰ハ長調(C♯メジャー)』とか『変ハ長調(C♭メジャー)』とかな」


 ほう。今は(C)(D)(E)(F)(G)(A)(B)の7種類の技が使えるから、その力を手に入れることで合計……、


「21種類も使えるようになるのか!?」

「ああ、いい能力だろ?」

「多すぎて、使いきれる自信がないのだが……」

「使い切らなくてもいいんだ。自分の手札を多くするための能力だからな」


 まあそうか。選択肢は多いに越したことはない。


「例えばどんなのがあるんだ?」

嬰ハ(C♯)、というより(シャープ)の技全般に言えることだが、(シャープ)は英霊召喚だ」

「英霊……」


 わくわくする名前だな。


「これは文字通り、それぞれに対応した英霊を召喚する技で、自分より前の6代の『音楽家』たちを英霊として召喚できる。そしてソアンのちょうど6代前がこの俺だ」

「てことは、(シャープ)の中のどれかを使えばラッシャーが出てくるということか」

「そうだな。嬰イ(A♯)で召喚できる」


 ならばあの人も召喚できるのかな?


「じゃあ、俺の前の代がファルコン=フロントとかいう名前だったらしいんだが、その人はなにで召喚できるんだ?」


 ラッシャーが驚いた顔をする。


「どこでその名前を知ったんだ……」

「? どうしたんだ?」


 小声で何かを言ったような気がしたんだが。


「いや、なんでもない。もちろん俺もファルコン=フロントのことは知っている。実際に会ったこともあるからな。ファルコン=フロントは嬰ヘ(F♯)で呼ぶことができる」

「ほう」

「ただしある条件が必要だ」

「条件?」


 スキルを発動するだけじゃダメなのか?


「全ての英霊召喚に当てはまることだが、条件は一つ。その『音楽家』に実際に会うこと(・・・・・・・)だ」

「てことは、俺はラッシャーにしか会っていないからラッシャーしか召喚できないということだな?」

「その通り。もう分かっているかもしれないが『音楽家』たちは世界各地に散らばっている。俺みたいにその場でとどまっているやつもいるし、放浪をしているやつもいる」


 そうなのか。


「だからほかのやつらに会いたいなら、地道に探すしかない。すまないな協力できなくて」

「協力できてないなんて、そんなことはない。力を授けてくれただけで十分だよ」


 俺は微笑んでそう返す。


「それならよかった。それで、ソアンたちはこれからどうするんだ?」

「『音楽家』たちを探しながら各地を旅する予定だ」


 王都を襲った魔族を倒して以来、あれほど大きな被害は耳に入っていない。力を蓄えるために少しくらい時間をかけても大丈夫だろう。

楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。


(ソ):ソアン

(ラ):ラッシャー


(ソ)技の種類はもともと7×2の14種類持ってて、今回貰ったのを合わせると、

(ラ)14+7×2×2で42種類になったな

(ソ)……選択肢を増やすためと言ったが、多すぎてどれを使おうか迷わねぇか?

(ラ)それは考えてなかったな

(ソ)おい!

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